クルマをどうしよう3 ミニの現在地

私の乗るF56型は、2014年に販売開始された独BMWによる英国車・クラシックミニの継承としては3世代目でした。初度登録は2018年なのに2016年式と書かれており、10年間に2回の大幅アップデートが施された区間で示せば初期型となります。前期・中期・後期とするなら前期の終わり頃。日本では2018年の春から中期が販売され、2021年に後期となります。これが現行車種であり、昨日たまたま見た動画で新型のミニの画像を確認しました。いよいよフルモデルチェンジなのですかね。

というのも、ロンドンの地名「カムデン」に因んだ限定仕様、カムデン・エディションがF型最後の特別モデルになると銘打たれて発売が始まりました。終わりの始まりです。次世代ミニのシリーズから消滅する大柄なクラブマンはファイナル・エディションを謳っておりますが、ミニはミニとして続くので、モデルチェンジがこれではっきりと宣言された形となります。

2020年に、私が中古市場から探し出した6速マニュアルミッションの"クーパーS"は、中期に移行した瞬間にはまだ生産されていて、すぐにそれが終了となります。こうした現象は珍しいですが、たぶん単純に輸入を止めたということでしょう。きっと日本向け以外には作られ続けたはず。というわけでユニオンジャック・テールランプのマニュアル車というものも少々は走っていますが、私のは丸目のテールライトです。

仕様の詳細は、毎年変わる、というか、輸入のタイミングごとに違うと言って過言でないくらい、あるいは個々のオーダーできる領域が広いために1台1台が一筋縄で語れません。何年式、何年製だから○○を装備しているといったことが一律に示せないのです。オプション範囲が広範なのと、その内容が、著しく変動します。

例えば、クルーズコントロール。マニュアル車の私のにも、一定速度をキープするためだけのクルコンが装備され、高速道路などではよく使います。前車に追従して設定上限の範囲内で速度調節をしてくれるアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)は、30km/h以上でしか作動しないというものでした。停止領域まで動作させるには電気制御のブレーキが必須となるからです。

高速道路などで一定速度で走っていて、前方に渋滞があって速度が低下し、やがてストップするという流れを電子式のブレーキを備えたクルマでないと実現できず、そうでない手動式サイドレバーのブレーキでは自分の足で止めてやる必要があります。同じ年度内でも全速度域対応のACCと30km/h以上限定のACCが混在しています(非搭載車も普通にあります)。

新車でも注文時期によってその仕様が異なっていたのではと想像します。中古車となると同年式の同型・同グレードでもレバーのブレーキとスイッチのブレーキと、インテリアの画像を見ると多種多様。典型例があるようですが、個性的に外れたモデルをよく見つけます。

次にメーター。ステアリングコラムに設置される速度計などを収めたアナログ針のメーターボックス。右側に追加される燃料計の形状が、最初期では樹脂に一灯ずつ埋め込まれたLEDのバーグラフとなりますが、前期の終わりである私のだと、ガラスケースの内側でパネル化されています。モデルが中期に切り替わっても、それが継続されているので、初期型で2種類あり、私のタイミングだと中期に使うものが先行して搭載されたようなのです。

それが平板な液晶パネルに切り替わるのは、はっきり後期型の特徴なので、ここは区別に迷うことはありません。薄い液晶ディスプレイはデジタル機器のような印象を与え、ミニの伝統に反する言語にも感じますが、回転計の針は相変わらずアナログで、このデジアナ融合はデザイナーの苦心が感じられて萌えポイントです。アナログの針がクールなガラスの中では液晶表示、つまりアニメーションに見えるのですが、実はフィジカルであるというマニアックな遊び。初期型のアナログメーターを愛するユーザーの気持ちを少しは顧みてくれています。

円形のセンターモニターは、従来カーナビのディスプレイとして利用されるのがデフォルトでしょうが、中期型になってタッチパネルへ変わりました。初期型は特に文字入力で痛痒が激しく、ガラスをぶち割りたくなるくらいイライラさせられます。もっとも、一回行ったところへは履歴で出すからさほど苦痛でもありませんし、もはやスマホなりタブレットのナビソフトでも同時に見ていますから、実は車載のルートよりもモバイル機器の情報を重用したりしています。ただ電波受信状態の悪化でルートを外したり、GPSやビーコン類からの情報取得などの面で車載のメリットもあるから、無くして欲しくないと願うのは旧世代の感覚でしょうか。理由は半導体不足と説明されますが、現行ではナビゲーションが搭載されていません。

中古車を見ていくと、カーナビの有無が、これもはっきりとした年次で別れていません。クルマの本質ではないものの、個人的にはあった方がいいなぁと思うのですが、それも条件に加えてクルマ選びをするのは結構制約となります。

輸入車であるミニが為替の関係で高騰することは不可避、かつ相次ぐ物価上昇による諸コストが嵩んで、青天井ばりに新車価格へ転嫁されました。2020年頃の新車価格が、現在の中古車相場といった具合に、ミニの新車は既に手の届きにくい場所に行ってしまいました。

些末ではありますが以上のような仕様の細部を点検し、個人的に必須オプションであるシートヒーターを譲れない条件としながら相当数の中古物件を見てくると、その価格高騰ぶりから、むしろ新車でも良いような感じがしてきました。前回考察したように残価設定型ローンを利用した際の「無理のない」計画を立案するために、これがファーストオウナー物件であることは後々有利ではないかと。F型最後の限定仕様であるカムデン・エディションをメモリアルなアイテムとして検討してもいいかも、なんてね。



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