Alusonic Aluminium Instrumentsの1

金属のアルミはaluminumと書くと思いますが、このベースビルダーのサイトではaluminiumとなっており調べてみると英国英語、すなわち北米以外ではその方が一般的らしいことがわかり勉強になります。日本語でもアルミニウムですものね。それに近い発音です。私の受験英語的な知識ではnumとなっていなければ誤りとされるであろう認識こそ誤りでした。どうでもいいけど

一昨日触れたとおり、Alusonicの楽器を5弦ベース中心に在庫分を弾かせていただきました。色々思うことがありましたので、何回かに分けてお話しします。

一昨年くらいから楽器店のGeek In Boxが代理店をやっているようなのですが、本家サイトの方でも"Showroom"としての記載がありますから、そうした認識で良いのでしょう。コンスタントに入荷しており、期待通りに売れていっている模様です。すでに中古品も出てきておりますから、国内流通量から言って、すでにウルトラレアでは無さそうです。しかし、10数年前からブランドは始動しており、当初のモデルは見たことがあります。オールアルミボディで、ドブロギターの変種のようなイメージがありました。キワモノっぽかったのでアンテナにかかってもスルーでした。

あれから時間も経ち、ビルダーはウッドボディにアルミトップという構造を主力に据え、より汎用性の高さをアピールするのに成功したようです。従来のオール金属ボディが、楽器としてどのような立ち位置にあったのか、試せなかったために不明ですが、もしかすると案外普通に使える音色だったのかもしれません。しかし現在のラインは、受け入れやすさ以上に、発色の良さを武器にした新鮮な外観を得ることに成功し、おそらくそれが故に人々の物欲を刺激し、本来持っていた楽器的質の高さを認知させる契機を拡大したのだろうと思います。

銘木による天然の美を意匠にして、しかもそれが音の優劣にまで寄与するようなイメージ戦略が、これまでの高級楽器ブランドのやってきたことだとすれば、ますます木材の調達に困難さが増す未来に向けては、興味深いアプローチと言えます。派手な木目の稀少材に数倍のコストをかけて、その分音が良くなっていると信じなくては割に合わない、というのが皆が目を背けていた事実かも知れません。

Alusonicの創業者が、どのようなバックグラウンドの持ち主で、何を目指しているか、寡聞にして存じません。しかし現ラインナップを弾かせていただく中で、強く印象に残っているのは「わかってるな」という納得感です。私は意外にも感銘を受けました。彼はたぶん、ちゃんとベーシストだろうと思います。

ひとまず、個人的な話からさせていただくと、2019年末までの多忙な演奏生活の中で、仕事の道具としたならば5弦ベースが何より頼もしく、あらゆる現場で演奏している自分が聞こえやすい音色、かつ長時間、あるいは立ったり座ったりといった要求される多様な演奏環境に馴染むことを求め、理想を追求するというより、むしろ不満を消す方向で、ありとあらゆる楽器を現場に持ちだして試してきました。

40代、50代、と年齢を重ね、身体能力の衰えを意識せざるを得ない変遷があって、最終的には細身のネックを好むようになります。厚みではなく幅です。具体的にはナット幅45mm以下、ブリッジのサドルで弦間18mm以下が目安となります。その2点が数字的に条件を満たしても、実際のネック幅が、ちゃんとそれに見合う細さでなくては意味が無く、ものによっては19mmピッチのブリッジと両対応のものなどあるので、ちゃんと18mmに特化した仕様のネックを理想としました(もっと細くても良いです)。

そうしたことで長年愛用したSadowsky NYCを手放し、持ち替えたのがCrews Maniac SoundのBe Bottom' 21というモデルで、これには満足していることを度々書いてきました。私の使っていた(もう売ってしまった)サドウスキーはPUがジャズベースと同じながら24フレットのモデルで、本当はフレットは少ない方が好きですが、ソロを取る必要性から音域を拡大したく、24フレット以上ある5弦ベースについては、以後も検討を続けていたのでした。

同じクルーズでもBe Bottom' 24というモデルがあって、これをオーダーして完成した楽器が手許にありますが、こちらはネックの仕様が21とはかけ離れており、私の求めていたものと異なりました。楽器としては素晴らしいできでしたが、弾き心地に満足できず、今はその代替品をゆるゆる探しているといったところです。

一方、普段フレットレスの6弦ベースで練習をしているので、フレット付きの6弦がメイン楽器の座に着ければよいのですが、ネックの細いモデルは、より見つけがたいのはご想像の通り、ひとつ手は打ってありますが、完成はまだまだ先なので、じっと待っている状態です。6弦だったら、ナット幅50mm以下、サドルで弦間16mmにしたいところですが、しかも軽く作ってほしいとなると無理難題です。

話が逸れていきましたが、今日はここまで。試奏したアルソニックの話はまた明日。



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