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Citron BO-4が思い通りになった

以前にも紹介したことのある、ハーヴェイ・シトロンによるハンドメイドベースです。一度手放しましたが、中古市場に出てきたのを見逃さずに買い戻しました。自分の所有物を売却した後に買い戻すのは愚かですが、微塵も後悔していません。むしろ再び出会えた幸運に感謝しています。

私自身がオリジナルユーザーでした。新品時に、EMGのダブルコイルとEMGの3バンドのサーキットが組み合わされていました。この状態でクールな音が出ていましたが、どうもEMGはニュアンスが付けづらく、どう弾いても安定の同じ音が出る印象が、現場では辛く思えました。また割と強めにデッドポイントが出ていることに気付きます。それらを理由に手放しました。

取り戻してから、やはり手を加えずには居られず、PUはノードストランドのデュアル・ブレイド・NEO(廃番)を手に入れ、同社の3バンドEQと組み合わせて使ってみました。これはパラレルハムバッカーとして使用するためのダブルコイル構造でしたが、パラレル・ハムの音が、タップしたシングルと較べてしょぼかったのが、もしかしてカタログから落ちた理由かなと邪推します。

だいたいアメリカ人の発想では、PUがそうならプリアンプで補えばいいじゃん、となります。両者良いに越したことはありませんが、メイクアップして使えるなら(あるいは整形して美しければ)不満がない、というカルチャーです。私は日本人ですので、本質を重視します。内側、または素の状態。なんてね。

パッシブで音良くなきゃ、アクティブにしてもなぁ…、みたいな。でもこのブレイドPUはシングルの時、とても力強くて魅力的です。別にJB的に使うのならHBはオプションだ、ということでOKです。F-BassのPUがスタックハムキャンセルなのに、デフォルトをシングルにしているのと同じ考えです。デュアル・ブレイドを着けていたとき、各々をハム/シングル切り替えられるようにしたのですが、それらを組み合わせても意味なかったと思います。

数年経って今年、ダンカンのSJB-1をEMGシェルに収めた特注品がオークションに出ていて、これを試すのをためらうことはありませんでした。リアルなシングルコイル、しかも最も標準的な構造、ということで。

と同時に、ノードストランドに、トレブル・バスのブーストのみ可能なプリアンプが出ていたことに気付きます。トータルで言えばサドウスキー・インスパイアドということになりますが、結果は如何に。

まず、このBO-4はリンバボディにハードメイプルトップ、3ピースのメイプルネックにウェンジ指板という、MTDなどにありそうなフェンダーからは遠い材構成となっています。そこにフェンダーの文脈に位置するサド系のモディファイをやってみたものの、どうもしっくりきませんでした。

そもそもアコースティックな特性としてローもハイも出ていません。スナッピーな鳴り方をして、アッシュに似てるというコメントも見られる材ですが、いかんせんレンジが狭い。となると、少しPUに頑張ってもらわなければなりません。なるほど初期設定のEMGは理に適っていると思いました。

かといって色々探索するのもいやでしたのでブレイドに戻し、2バンド・ブーストのみのプリアンプと組み合わせます。もちろんここにはパッシブトーンフィルターも追加しています。そしてDPDTのスイッチで一括してハムとシングルを切り替えられるようにします。ということでご覧の形になりました。

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現在スイッチのあるところには、初期にはマスターボリュームがあり、サイドの4ノブにはPUバランサー、トレブル・ミッド・バスが並んでいました。3バンドの時には、ボリューム(タップ付き)・ボリューム(タップ付き)・ミッド(アクティブ/パッシブ付き)・トレブル/バススタックと4ノブのみ使用していました。

穴が空いたままなのも、ある意味もったいないので、9.5mm径ではありましたが、なんとか6mm径のスイッチを取り付けることができ、現在の形になりました。ちなみに4ノブがボリューム・ボリューム・トーン・トレブル/バススタックとなります。

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HATAノブを3個使って、スタックにはAtelier Zから取り寄せたアルミを使用しています。50kのスタックのポットが、シャフトの長さのせいでノブが浮いてしまっています。美観を損ねているのが、未だ不満ですが、うまく被せられるノブか、シャフトの短いポットを見つけるかしか解決策はありません。

なお、PU内に鎮座するブレイド型ポールピースに巻かれたの2個のコイルは、片側がメインで、片側がサブとなっています。ブレイドの厚みが違い出力が異なります。メインで使う方は、ネック・ブリッジの外側に配置されるコイルです。私はブリッジ側のコイルを逆さまにセットして、ネック側にメインのコイルが来るように取り付けています。両者ネック側を生かすことで、シングルコイルで使用するときに70’sのジャズベースと同じ位置で音を拾うことになります。ネオジミウム・マグネットの強力な磁力を利用する設計のためか力強い音がピックアップされます。

ネック側のみをパラレルハムバッカーにして、ローとハイをぐいっとそれなりに持ち上げるとPBのニュアンスが色濃く得られます。これが望外の結果となりました。JBとして使うときも、ブーストする量はノブのハーフより上、7や8くらいまで回すのですが、材によってミッドレンジに集中しがちなトーンに申し分ないパンチ力を備えさせてくれます。

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リアPUは逆さまに取り付けていますが、カバーはそのままにしてロゴの位置がひっくり返らないようにしています。

いま、4弦で24フレットまで上に行ける楽器がこれしかありません。もともとリンバは好きな方で、もしエボニー指板だったら、もう少し素でしゃんとするかなと想像したりしますが、ウェンジはそれよりやや薄いのかなと感じます。ただ、スラップでの反応とかはエボニーより良いかもしれません。

弱点を補うという意味で、良い補強を加えることができ、かなり広範囲に使える楽器に仕上がりました。4弦を持っていきたいがソロが回ってくることがわかってるので24フレット欲しい、と言うときに期待通りに働いてくれるでしょう。デッドポイントの件は忘れました(笑)。

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