寝返り

演奏の仕事の6割以上は座って弾いていました。長時間ベースを弾くことで首痛や腰痛が慢性化していて、2019年までの健康状態における最大の心配事でした。寝て、起きた時の体の痛みがしんどくて、色々聞いたところ横向きに寝て、ちょうど胎児のように腰を丸めるのが良いといったアドバイスに出会いました。

方法を各種とことん調べ尽くしたわけではありませんが、試してみるとそれが結構効いたみたいでした。以来横向きに寝るようしています。

元来、私は、棺に収まるように「気をつけ」の姿勢で真っ直ぐ仰向けに寝るのがスタイルでした。両手は始め地面に向けていましたが、後に上を向けるのが体に正しいと聞き、それだけは直しました。

ずっと昔の話、彼女と旅に行って、並べられた布団で寝た際にも、寝付く間際の姿勢を揶揄されたし、起きた時に、寝たままと同じ姿であったことを笑われました。寝返りを打たないのか、さもなくば元通りの姿勢に戻しているかです。布団はさほど乱れておりません。指摘されるまで、誰もがそんな風だと思っていました。

だいたい、眠れない、ということがないので、布団に入って体の位置を決め、目を瞑ったら朝が来ています。起きた時に上を向いていますから、私は寝返りを打っているのでしょうか?

ここ数年のことですが、弾く仕事が激減したし、運動量もなくなり、家のソファでだらしなく座ったまま作業、といった日常となって、時々激烈な首痛に苛まれます。

整形外科では、原因のひとつとして枕を挙げられました。吉岡里帆さんがFM番組で紹介していた、ご自身も使われている枕を買って、5年か10年か、長きにわたって使い続けていて、それ自体を不満に思ったことがありません。

で、最初に話を戻して、横向きで寝た時に、足を重ねると、硬い骨同士で痛みを感じるので、抱き枕をそこへ挟むようにしています。腕も重なると少し不快ですから胸の前にも抱き枕を、文字通り抱くようにしたく、それほど長いものが入手しづらかったので、2本を、下半身用、上半身用といった具合で抱っこしているわけです。

結局、私の寝姿勢というのは、横向きになっても左右対称の配置にしたいらしく足も手も同じ位置に設定して重ねないと安心できないのでした。頭を置く枕については、問題を感じません。

昨晩のこと、寝姿勢、それも右が下か左が下か、どちらが良いのか諸説あるようですが、私は心臓を上にする右向き(右が下)の方が寝やすいのですが、もう少しそこからうつ伏せ気味にできないかと試みてみました。

というのも真横を向いている時に右肩が、その部位の重みを支えているわけで、加えて少し内向き、というか背を丸めている姿勢になっているのが良くないのではないかと、初めて疑いを持ったのです。ベースを弾くことで肩の位置が内向きにクセが付いているのを矯正したいとも思っていました。

ですから右腕を体より後へ回して胸が付くように上半身をうつ伏せに近づけようとしました。足も、ですから少しズレて骨盤がやや下を向きますから重ならなくなります。ただし斜め姿勢になるので、それを支えるように体の下に抱き枕を置くようにします。なんか、体が今までに無く楽に感じました。

問題はそのときの首で、まだ真横を向いていますから、うつ伏せの体とは向きが異なり、左へ回転させたままということになります。これで寝て、「寝違え」のような後遺症が起きたら困ると察知して、顔自体も体に合わせて下を向きます。そうなると枕は使えません。

というわけで壁にへばりつくような姿勢で斜めのうつ伏せ、というのをやってみたところ、腰とか肩とか首とか、リラックスできているような気がしました。いつもと違う格好のために、自動的なストレッチをしている、というようなことでしょうか。

例によって、目を瞑れば意識が無くなるので、その後のことは朝起きるまで記憶にありません(夢以外は)。起きた時、私は天井を向いていました。両手は体の横にあり、またお棺に入ったように「気をつけ」になっていました。起き上がると少しだけ腰が痛い感じがあります。夢の中で怒られでもしたのでしょうか。横向きですらなかったのが驚きでした。

というわけで、今後も俯せ寝を試みてみようかと思いますが、これでわかったことは寝返りを打っていたということです。でなければ、誰かが部屋にやってきて、私の体を真っ直ぐに直し、布団を掛け直したのでしょう。不思議な一夜でした。

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