初めてのWarwick

手を休めると、つい机上での検討を始めてしまうのは色々障害になってきました。先日はMTDを4本弾かせていただき勉強になりましたが、今日は「そのために」外出して、ネックの幅が狭い3本の6弦ベースを試奏させていただき、具体的なイメージを得ることができました。

まずIbanezのSR5006ですが、アウトライン的には本命でありながら、Ibanez SR系の音質傾向がタイプじゃない先入観がずっと気になっており、自分の音楽に使えそうか否か、判断する必要がありました。マホガニーボディをウェンジでサンドイッチして、ネックもウェンジを主体に使っています。想像した通りのサウンドでした。良い意味でも悪い意味でも引っかかりのある音で、とろみの上にエッジが乗っかっているような、言ったらエキゾチックなタイプです。この楽器をレコーディングに使用して、あ、フェンダーの音だね、という風に聞こえることは絶対にないでしょう。これは価値に序列を与えたいのではなくて、抽象的なことをわかりやすく伝えたいが為の言い回しです。フェンダーの音が偉いわけではありません。Ibanezにはずっと昔から、ある種ダークなベーストーンの追求があって、筋が通ったものであることを確認しました。形状としては弾き易い部類ではないでしょうか。

結構多くのデザインで私が嫌いなのは、ショートホーン側が外向きに湾曲しているスタイルです。足の腿に刺さります。F-bassとか。だから軽いの、と声高に言います。右足の腿に痣が残るんです。ですからタオルを折り畳んで、その上に楽器を載せたりします。ストラップで吊って、浮かせてしまうのも、立って弾いているのと変わりませんから肩や腰に疲労が来ます。Ibanezのショートホーンは外向きではありませんが、その短さのせいで先端が腿に食い込むのを感じました。

次にModulus Graphiteを弾かせていただきました。このメーカーの、ごく初期のQuantumは、当時に弾いたことがあります。4弦でありながら35インチ・スケールだったのを覚えています。とてつもない破壊力を感じました。いわゆる"cut"ってやつですね。日本語では抜けると言えばいいでしょうか。EMGが付いていました。今で言うアクティブ臭いというのと違って、印象としては立ち上がりのスピードが超速で、下から上まで広帯域だったのは新感覚でした。その魅力は今でも変わっていません。ベースの音域でアコースティックギターのような分離の良さで聞こえます。試奏させていただいた物は標準的な35インチ仕様で、聞くところによれば5弦と6 弦は同じネック、だから6弦はネックが細い、みたいな正誤の程は存じませんが、今は理想のネックシェイプです。良いと思いますが、弾いたものはロッドの入っていない時期で、やや順反りのため、もうちょっと真っ直ぐに調整したいなぁと思いました。もちろん35インチは除外したいのですが、普通に弾いて弾きにくくは決してありません。長時間の練習、あるいは練習はオールキー、全音域を使うという意味で、その時の負荷が不安です。すぐ手首が痛くなりますから。

3本目に弾かせていただいたのはWarwickです。Warwickは5弦を検討していたときにVampireを検討したことがありましたが、購入に至りませんでした。今回のはThumbでもなくStreamerでもなく、Corvetteですが、15年以上前に、とある生徒さんがWarwickマニアで、色々買い集めていたのを弾かせていただいたときに、中で一番弾き易く感じて記憶していたのがCorvetteでした。

今年の2月、大阪行脚の際にInfinityの6弦があったので、初めて弾いてみましたが、それは期待したほど弾きやすくありませんでした。ひとつはネックがごつい、厚みがあるというところでしょうか。近年弾いたどれよりも、今日のCorvetteも然りで、まずうわぁと思います。手の内側に沿うように収まり、リンゴを握っているかのように「触れている」感がありました。ただし、弦間という点では、左手の仕事範囲も、右手のそれも、かなり良好です。ネックの厚みは慣れかな、と思います。一方、指板がかなりフラットだなと感じました。

サウンドは、ボルトオンなので音にバウンス感があります。スルーネックではその淀みが少なく、真っ直ぐ音が伸びますが、味気ない感じもします。私には好印象でした。ボディ材はアッシュで、ネックがウェンジなのでIbanez同様、個性を放ちますが、その中ではやや中道に近いです。もちろん録音した音でフェンダーかもと思ってもらうことは不可能でしょう。第2の理由はマイクの位置です。Thumbほどブリッジ寄りではないですが、ネックPUはかなりブリッジ側に寄せてある印象です。計測しました。

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ネックPUのセンターはナットから74.75mm、ブリッジPUは同81.65mmでした。ブリッジPU内に納まるダブルコイルのうち、ネック側の方が70'sのJBと同じ位置です。Moon MBCが731mm / 816mmで、リアPUは全く同じ、ネックPUは更にブリッジ寄りという(MBCのフロントPU内のリア側コイルがCorvetteの同フロント側に一致)配置ですので、本質的には好きなわけはありません。とは言うものの、測定したことでおわかりのように、今これは家にあります…。

重量5kgです。多面的にNG要素ばかりですが、どうしても、この欲求不満に対処すべく、研究素材として導入いたしました。USB接続による充電池内蔵のタイプになります。ただいま絶賛充電中。

まったくの余談ですが、今年の頭くらいに市場にあった新品のMTD634はsuper系の電装部品を積んでいたということがわかりました。もしそれが売りに出たら、弦間・ネック幅のイシューは忘れて買ってしまうかもしれません。あれとあれを組み合わせれば、と理想は頭に浮かぶけれど、オーダーしないと実現しないのは切ないですね。生きている時間に間に合わないかもです。





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