次に買うべきオーディオインターフェイス、決着まであと少し

いよいよ佳境に入ったと言いますか、今日は体が空きましたので、いえほんとは確定申告を急がなくてはならないのですが(税理士には1月中に資料を渡すことになってました…)、居ても立ってもいられない性分だもんでRock On Companyさんへ相談に出掛けることにしました。有力候補であるPrism Soundに関しては、事実上ここしか入手先が無いので、もしかすると違う物を違う場所で買うことになってしまうかもしれませんが、その辺りを含みつつ試聴の予約をいたします。

チェックしたいことの要点をまとめます
・Lyra2よりも7万円安いLyra1にしても満足できるだろうか?
・仮にLyra1の17万円を上限とした場合に、ほぼ同価格のSymphony Desktopと、DACの出音はどちらが上か?
・ElementシリーズとSymphony Desktopは、DACの出音はどちらが上か?
・カタログ上Discrete4より8の方がダイナミックレンジが上になっているがZen Tourと同等の音がするのか(4、8、Tourの3機種の出音はどう違うのか)?
・これらと比較しRMEに出番はあるか?

RockOnさんに視聴の予約が完了したのでこれから出掛けます。思惑と若干異なりますが、Lyra2とDiscrete4SC、Symphony Desktopを比較させていただくことになりました。後は対応して下さる店員さんとの質疑応答で解決策を見いだしていくことになります。

8月に中古で買ったMINI(自動車)が初回の車検時期を迎え午前中に代車と交換になりました。同じくMINIのCooperSDで、私のより半年くらい若いため、いわゆる後期型=ユニオンジャックのテールランプ、5 door、グレードからわかる通り2リッター4気筒のディーゼルターボエンジン、ATは7速DCTと思われます。カーナビがタッチパネルに替わっていました。

14時〜の予約で13時に出たのですが、ここで悪い癖、試乗レポートネタもと欲張ったので高速へ。するとゲート前でアラートが鳴ります。そのまま行くと、そうかETCカード、自分の車に挿したままだったことに気付きました。周りに全く車が居なかったので10mくらいバックして(すみません)手動でカードを受け取るレーンへ向かいます。そのまま首都高へも乗り入れるつもりが、現金払いの料金を尋ねると1320円!!!。ETCなら360円です。というわけで乗ったはいいがすぐ下りるというドタバタと、ロックオンさんの周辺で使っていた駐車場が閉鎖され建物に替わっていたので、駐車難民となった結果、25分遅れの到着となりました。次の予約もあったので、あえなく試聴時間は正味30分ほど。3機種の比較には十分と言えないかもしれません…。

はじめにD4SC(Discrete4 synergy core / Antelope Audio)とLyra2(Prism Sound)の対決となります。iPadに視聴用のトラックを入れていたのですが、事情によりSpotifyで聴くことになりました。少し残念ポイントです。

アンテロープは4と8の違いが気になっていましたが、伺うと、やはり同じ音だとおっしゃっていました。Zen Tourは少しいいとのことで、AMÁRIまで傾向は同じ華やかな音だそうです。実際聴くと、確かに解像度の良さがわかります。ただ例えば弦楽器と打楽器が、本来だったら全く違った音質傾向を備えていて欲しいわけですが、それがそうでもなく聞こえ、悪く言えば一色でした。均一性、一貫性にくるまれる感じ、と言えばいいかな。それがフラットだと主張されればそうかも知れませんが、かつて自宅でもある種のオーディオセットでは擦弦楽器、金管楽器、金属を叩く打楽器と革を叩く打楽器の違いが、非常にリアルで、一組のスピーカーから鳴っているとは思えないような出音を経験している身からして、物足りなさを感じました。よく言えば、一聴して広がりがあって、混濁しない見通しの良さは優れている点と思いました。

Lyra2は、1と同一であると確認しました。マイクプリアンプを2基積んで、ラインアウトも2系統のステレオ(4アウト)、デジタル入出力の仕様も異なりますが、回路等変更無しで、そうした加算部分を実装した際の電源の引き回しなどが微かな音の違いは生むでしょうけれど、人が聴いてそれはわからないだろうとのことでした。

Lyraはやはり良かったです。微小音をよく気付かせてくれます。私が繰り返し言っていることですが、この曲にこんな音が入っているんだと驚かされることがあります。

具体的には、"Morph The Cat"の1'46"からRchに入ってくるマリンバの音(シンセサイザーのようですが)がそうです。何度も聴いている曲ですが、そこにその音が加わってくることに意識が向いたことがありません。はじめD4SCで聴いて、Lyraに切り替えてそれに気付き、D4SCに戻して該当箇所を聴き直します。あ、確かに入っている。となります。注意深くと思っていても聴き流してしまってるんですね。Lyraでは、録音された楽器の全部(とは言えないのでしょうが)が各々にマスキングされることなく姿を見せてくれます。もうひとつ例示します。

"Rainbow Seeker II"はイントロ5小節目からピアノ以外が入ってきます。私はこの曲を採譜しており、ピアノはソロまでトランスクライブし、オーディオチェックにも度々使っていたにもかかわらず、ギターが入っていることを忘れていました。イントロでLchに現れたアコースティックギターのような音の(たぶん)エレキギターは、テーマが始まるといなくなります。またすぐに戻ってくるのですが、私の耳はピアノを追い続け、コントラバスの挙動を注視する余り、ギタリストを視界から消していたのでした。その事実に気付かされたのもLyraでの再生時でした。先に聴いたD4SCでは、いつも通りに、特にベースの再現性に着目し、にじみがないかなどをチェックして聴き終え、Lyraに切り替えた時に、あ、ギターいたんだ、とハッとさせられます。もちろんD4SCに戻せば、ああ(やっぱり居る)、となります。

ここで試聴した曲を並べてみます
・I.G.Y. / Donald Fagen(Night Fly)
・Morph The Cat / Donald Fagen(Morph The Cat)
・Luz Negra / Stefano Bollani(Carioca)
・Rainbow Seeker II / Joe Sample(Sample This)
・Rainy Day And Mondays / Carpenters(Carpenters)
・Saturday / Carpenters(Carpenters)
・Let Me Be The One / Carpenters(Carpenters)
・高野雨 / 津吹みゆ(single)

Lyra2とD4SCの間では結論が出ました。Zen Tour Synergy Coreには依然興味ありますが、今日聴くことは叶いません。D4SCをApogee Symphony Desktopに替えてもらいます。Apogeeには廃番寸前となっているElementシリーズがあり、チャンネル数で22、46、88とラインナップされています。ここまで隠してきましたが、私の本音は、これらのうちどれかを買うつもりでいました。かつて愛用したYAMAHA GO44を彷彿とさせる、入力端子以外、表面に何も付けないシンプルな顔立ちで機能美を誇ったつもりが、まったく支持を得ずに消え去ろうとしている機種です。Thunderboltですから3〜4年前に登場しています。商品企画的には失敗だったみたいですが、私にとってはストライクでした。音さえ良ければ喜んで導入するつもりでした。

そこから数年を経て起死回生を狙うSymphony Desktopは品質の割にバーゲン価格と言われています。AntelopeのZen Tourをライバルとみなしているのでしょうか。新鮮味のあるプラグインの提案もあり、それらのバンドルは新たな魅力となっています(ボブ・クリアマウンテンを登場させています!)。宇多田ヒカルさんの、それまでのApogee→RMEからのリターン導入がTwitterなどで知られると、これの売れ行きは更に上がったとも聞きます。Elementよりも確実に良いのならばこっちでも構わないと思っていました。

"I.G.Y."から聴きましたが、くっきりとしているのでベースラインやピッチがわかりやすく、密度の濃い力強い音という印象です。これぞ王道であり、正解ですとの主張すら垣間見えます。最高レベル、という概念のキャラクター的なイメージを具現化する音です。文句を寄せ付けない自信。誇張して書いていますが、そういう立ち位置というのは、スタジオ機材っぽさ、業務機的イメージとも繋がり、これいいなと思わせるのに効果的です。

ただし、Lyraで起きたようなショッキングな気付きはありません。私の思う、Symphony Desktopの仕事ぶりは、形有る物をバラバラに分解し、それを精緻極まる技術で組み戻しているかのようです。それはまさにA/D変換後のD/A変換ですから、理屈に合います。それに対し、Lyraはあっちに有ったものがここに有るというリアルさです。アナログ的とも言えます。再構築という作業性を悟らせません。ありのままです。むしろ、リアルに直視した風景を写真画像で提示され、あ、ここにこんなものがあったんだ、と気付かさせる役務でも担っているかのようです。さて、音楽を真剣に聴く、音を聞き取っていくという作業をする上で、どちらが「あり方」として正しいのでしょうか。

私はプロ・エンジニアではありませんので、「オーディオインターフェース」を直接的な成果のために活用する予定がありません(完パケまでの楽曲制作とかマスタリングとか…)。今購入を思い立ったわけは、なるべく正確に機材の音を記録してみたい、録音で聴ける音でもって機材を評価したい、という願望をある程度ハイレベルに叶えてくれる道具を持ちたいからです。録るにしても、聴くにしても。

ここまでチャンネル数の件では、バンドも録れるといいな、などと久々のライブをやった後だけに発想してしまったがために、8ch欲しい、Elementなら88だ、Discreteなら8だ、Zen Tourは8ch録れる…etc、と騒ぎ立てました。ただそれをするのは今すぐではありません。いわゆる、どうせ買うなら、というやつです。

Lyraにしようと思っています。こんな風に馴染み深い音楽の違った側面を顕わにしてくれる機材なんて、そうは出会えません。7〜8年前の登場のようでUSB接続です。いつまで現役でいてくれるでしょう。いつまでメーカーが面倒見てくれるでしょう。ヤマハにGOシリーズを見捨てられた過去があります。不安ではありますね。ただLyra1の17万は、安いんじゃないかと思います。数年前から見れば半値くらいに下がっているようです。

Lyra1の入出力の少なさは、私自身の使用局面に於いてはいかがなものでしょうか。実を言えば、合致しています。ベースの音を録音するだけですから。はい。最後の迷いを告白します。それだけの為にこの金額を使って良いものでしょうか。問いは、いまや、それだけになりました。

最後に1本の動画のリンクを貼っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=hve8iZg9LXY

Forssellを聴いた時、鳥肌が立ちました。ただし、これは買えません。次のPrism Dreamも100万越えのようです。続いてのPrisim TitanはLyraの8chバージョンと見ていいでしょう。メーカーは同じ音だと言っています。なかなかのものだと思いませんか?


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