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ベースでHX STOMPを使う話を少し

今やYAMAHA製です

Line6もヤマハの傘下に入りまして、Ampeg、Steinberg、ベーゼンもそうか、Nexoもだ。というわけで、あ、Edenもだ、枚挙に暇がありませんね。マーシャルも? 仮名と英字が混ざってますけど…。別にいいや。

Line6はデジタル技術をエフェクターに生かす先端企業でしたが、そのような訳でバックボーンが強化され、ベンチャーでは賄えない、ちゃんとしたものをますます世に送り出している印象です。とは言え、購入し、使ってみたものは、このHX STOMPが初めてです。あまりエフェクターには熱を上げてなくて(でも相当数持ってましたけどね、キャリアが長いからです)、稀に興味が湧いたものを、たまたま中古良品で見たりすると買う程度です。前々回までのDarkglass Hyper Luminalもそうです。「必要」というより「興味」です。

ところがマルチエフェクターというものには、まるで食指が動きませんでした。我々のような分野の仕事で、ギタリストの方は、そうしたものが現れて以来、たいていマルチを使われているのを見てきました。移動が多い、足元にスペースがないことが多い、セッティングの時間が取れない、などと1台で済ませてしまいたい願いは、よく理解できます。私も、同様の条件から、逆にエフェクターなど排除したくて、最小限(ボリュームペダルとチューナー)のアイテムに抑えてきました。

なぜ買ったか

そんな中、Zoom社のMS-100BTというのは縁あって所有しており、ジャズ系の演目の中に1曲だけサンボーンのマーカス曲を弾くための、根本から音を変えたい案件があった時だけステージで使ってみました。その時も、その曲だけ繫いで、それ以外は外していましたので、好きじゃない加減をおわかり頂けると思います。

それでも今回、HX STOMPに惹かれたのは、大きくは二つの理由からです。ひとつはエクスプレッションペダルを使ってボリュームペダルを信号経路から排除できる。もうひとつは、アウトボードプリアンプのトーン設定をHX(めんどくさいのでこの記事ではSTOMPを以後省略します)の外部ループに組み込んでプログラミングできる。の2点です。

しかし、そもそもはリバーブを探していたんです。MS-100BTではイマイチに感じました。昔PA仕事もやるような時代に、Lexicon LXP-5をボーカルに使ってて、あれが凄く好きなのですが、入手困難です。Lexiconエンジンを積んでいるというDigi Designのペダルエフェクターを、何種類かあったので店頭で試しましたが満足いかず。Neunaberを買ってみたけれど満足せず、と決め手に欠ける中、Line6製品のお勧めがあったため、調べていくうちに、これはトータルなシステムを組むのに使えそうだ、もう十分なクォリティに達していそうだという判断で導入を決めました。ちなみにStrymonのblueSkyは気に入りました。ただそこへ行くということは将来でかいペダルボードを組むことになりそうな予感と、ボリュームペダル問題の解決は先送りですので、その予算をHXに使ったわけです。

ちょっと逸れますが、ベースでリバーブ使いたい時にプリディレイの設定ができないと困ります。ちょっと時間差を付けて残響がくるようにして、ドライ音を埋もらせないようにします。ペダル型の小さいのだと、そのパラメータがないんですよね。Strymonでは作りたい残響成分がきちんと設計でき、音的にもたいへん結構でした。誰かがくれるのなら喜んで使います!

導入へ至る道のりは以上です。

アンプシミュレータは使わない

マルチエフェクターの「現在」は、DAWにおけるシミュレーションを搭載してきているところに特徴があります。アンプモデリング、スピーカーモデリング、マイクモデリングなど、実際のレコーディングにおいて物理的に供される様々なツールとメソッドをパラメータ化して擬似的な再現を行うPC上のプラグインが数多あり、その技術が落とし込まれているわけです。むしろステージ上でそれがやりたくて求められる製品と言って過言ではありません。ギタリストはバッキングをフェンダーアンプで、ソロをマーシャルアンプでと、録音現場では別録りで行うような作業を、全てシミュレーションされたパッチプログラムの選択のみで連続的に交換していくことができます。デジタルがもたらす、夢の現実化の一つですね。

HXにもベーシスト用のモデリングデータは入っており、伝説的な名機のトーンを味わうことができ、それはスピーカキャビネットに及びますから、夢の機材構成で音作りできるわけです。

ただですね、やっぱりそこはエフェクターなのですよ。どれも言ってしまえば歪みの選択に過ぎません。ディストーション/オーバードライブペダルを選んでいる錯覚に陥ります。ここでAmpegのフリップフロップがいい、と選んでも、なんかその音でライブやるって気にはとてもなれません。私はこの領域は遊びの部分と捉えています。したがってエフェクトブロックにアンプシミュレータを使う意義を感じることができませんでした。

そのかわりに有意義な4ケーブルメソッド

HXその他には4cable methodという結線方式があります。他愛もない話ですが、ループにギターアンプのプリアンプ部分を挿入しようという考え方です。HXをストンプボックスとしてのみ使って満足なら必要ない措置ですが、ギタリストがお気に入りのコンボアンプを持っていて、そのアンプの音作りを生かしたエフェクトルーティングを試みる際、大きな武器になります。

ここで重要なのはループポイントをHX内のどこにでも置けるということなんですね。歪みやワウ、コンプならギターに近いところ、アンプでの音作りをした後でモデュレーションや空間系を使う、といったルーティングが自在に設計できます。普通だったら、ギターからペダルボードを通ってギターアンプに入れたら、ギターアンプのエフェクトループを使ってディレイ、リバーブを足す。みたいなことがHXにプログラムできます。まぁアンプなんにも無しで一台完結のPAへはライン送りのみ、みたいな潔さにも対応してますけど、それじゃ無味乾燥じゃん、という向きに、リアルなアンプヘッドをバーチャル世界の延長に据えられる、という、ここが一歩進んだところです。

私の場合は、前項のAlbit A1FD proにエフェクトループがあるのを生かすべく、4ケーブルメソッドを基本としています。というわけで、本日はここまでにして、明日、パラメータを具体的に紹介していこうと思います。購入して1週間くらい弄って落ち着いたのがこの状態です。4ケーブル以外のパッチも組んでありますが、単なるエフェクトの組み合わせだけですので省略。では






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