言っていいこと悪いこと

見たいコンテンツが溜まってしまって時間が足りません。昨晩は帰宅して、先週のアベマトーナメント(ひとつ前の回)、将棋のチーム戦を3局目まで漸く見まして、F1は本日に回しました。女子ゴルフは2日目、土曜日の配信をあと3ホール分残していますので、最終日は見ていません。F1予選は、スタート順が決まるところまで見ていたので、レースを残していたのですが、結果はSNSで知ってしまいました。前日を踏まえると予想通りですが、そのプロセスを確認するような視聴でした。

偉大なレースレジェンドを父親に持つ2世ドライバー、カルロス・サインツ・ジュニアの優勝はめでたいです。ついにこの日がやってきました。かつて、ぎりぎりのところで逃したレースを見た覚えがあり、初優勝かどうか、俄に思い出せなかったですが、勝てたのは確かに初めてですね。表彰台の顔ぶれがまた良かったです。(2022年イギリスGPで初優勝し、本戦が2勝目でした。訂正いたします)

F1は個人的に、面白くなくなってきていて、それは選手権のオーナーが替わって以来つとに感じ、時代に合わせて変化を模索する方向が、老齢の嗜好に沿わなくなっているだけのことですから、善悪の判断はしようがありません。好きでなくなれば見なければいいだけのことです。が、かろうじてまだ「見ない」態度は保留のままです。

ですが、どうもスポーツマンシップからは縁遠い競技であることは手付かずのまま。根源的には車両の性能を競い合う中で、ドライバーの才覚が要素に加わる複雑さは、ドラマに多層性を与え、楽しむべき視点が多様になります。と、F1論は専門家に任せるとして、私はチーム代表や、トップレーサーの舌戦の醜悪さが昔から馴染めません。彼等は本気で憎み合い、罵り合っているようにも見えるし、欧州流のジョークの範疇なのかもしれず、不快な感情は否定できないけれど、これもまた私自身の感情が正しいかどうかが不明です。人によっては、場外の泥仕合は楽しむべき余興なのかもしれません。

そもそも貧富の差を始めとする差別的な価値観が保存されたまま成立している競技なので、その世界観を覆すのは容易では無いかもしれません。卑近な例で言えば、レッドブルの上層部がメキシコ人ドライバーを表して、南米的気質だから云々とコメントして、これが断罪され、本人は発言を取り消す反省を見せます。権限を握る人間の、文化の差違について偏見に基づくコメントを成すことは過ちですが、それを感じることが現場の人間として間違っているとまで言うことはできません。

思うのと実行するのは異なる話で、少年が万引きの誘惑に駆られるのを、思いとどまるか、やってしまうか、そこに境界が引かれます。キリスト教では「盗みを働こうと思ってしまいました」と告解しなければならないですが、ほぼ一般社会では「思う」ところまでは罪となりません。

もちろん、その首脳の発言は「相手」があり、その属する同朋をまとめて非難するものと解釈されるのは正義であり、不快を与えた不祥事を詫びるのは当然でしょう。ただ、物事の考え方として間違っていたか否かは外部から断定することはできません。舌戦という話題からは逸れてしまいましたが、そうした衆目の中で、あまり醜い争いはよくないよね、という感想をここでは書き留めます。

ところで、またまたこの話になりますが、日本人の「クレバー」は褒め言葉のつもりでしょうが、英語の感覚としてネガティブな意味を含んでいると私は常々思っていて、適切だと思えないナレーションが多々あります。優勝直後の無線でチームはカルロスに、スマートなレースだった("what a smart race!")と言っていますが、中継アナウンサーは、わざわざ「クレバー」と翻訳しています。彼はずるかったねぇ、と繰り返し述べているように聞こえて、正直言うと不快なのですが、言語感がまちがっているかな…。

ついでにもうひとつ関係ない話。らんまんの今朝の回、さきほど見まして長屋での家族のシーンは美しかったです。成人した子供達、親はしかし子供のままであり、微笑ましかった。浜辺さん激推しなのは、先日の店へ来た早川逸馬氏を長屋へ連れてきたとき、万太郎がその再会を驚き喜ぶであろう事を予期しながらの雄弁な表情のシークエンスは完璧すぎました。今朝も相変わらず。私は往時の松田聖子の天才的な歌唱能力に通じるものを感じます。

南総里見八犬伝を愛した「おたく」寿恵子にちなんで、NHKは少し前に人形劇のダイジェストを放映していました。この『新八犬伝』は庵野さんによる『シン〜』の先駆とも言えるタイトルで、私は当時、毎日楽しみに見ていました。犬好きなのも手伝って夢中になりましたが、宿命的な仲間が出会い、何かを達成する世界観に憧れました。マンガの『アストロ球団』はモチーフを継承し、同じく愛読し、チューリップもバンド編といったストーリーでLPレコードに絵本(イエローサブマリンへのオマージュでもある)を付録させたものがあった気がするのですが、ちょっと記憶に自信がありません。そうしたこともあって『らんまん』は琴線に触れる作品となりました。あっという間の半年が過ぎようとしています。


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