最初からいい音質で配信したい人のためのポッドキャスト収録・編集ガイド + iPadを使った音声編集の流れ(2022改訂版)
Image Clubという何か作る人のゆるい集まりをやってるんだけど、最近それを一緒にやってる鉄塔さんとポッドキャストを始めた。Image Castという名前で、基本リモート収録で2020年11月から毎週1本のペースで続けている。
やってみたらわかったこととして、ポッドキャストは楽しいが、毎回編集するのにはそれなりに時間がかかる。他の人に聞いてもだいたい最終的な収録時間の2~3倍ぐらいはかかるっぽい。せっかくやるなら最低限ちゃんと聴けるものにして出したいという気持ちはあるが、とはいえ編集が時間かかりすぎてめんどくさくなってやめてしまっては元も子もない。
そんな情熱と面倒くささの狭間で回を重ねていくうちに、PCとiPadを使ってなるべく楽で効率的に、そこそこちゃんと編集できるような流れがなんとなく固まってきたので、誰かの役に立つかも知れないと思ってまとめておく。
また、最初は「マイクなんて音が録れりゃなんでも良いだろ」ぐらいのノリで始めたが、続けているうちにやっぱりノイズが少なくて音がしっかりしてる方が聴いててストレスのない、良いポッドキャストになるという当たり前のことに気づいた。それ以来いろんな機材を買ったり売ったりして行き着いた収録環境やソフトなどを記録しておく。今からポッドキャストを始めるにあたって、僕のように余計な回り道をせずに最初から良い音質で始められるならそれに越したことはないので、ぜひ参考にしてほしい。
収録機材
続けるためのコンセプト「悪い収録環境でも良い音に」
前提として、「家に妻と赤ちゃんと犬がいて部屋の戸は薄く、机の真上にエアコンがあり、真横には窓があって鳥が鳴いている」という、理想とはほど遠い収録環境で、できる限り雑音の少ない高い音質を目指すというコンセプトで、後述のノイズリダクションも含めた収録・編集環境を組んでいる。
ポッドキャストは継続が何より重要なのに、状況が完璧に揃わないと録れないようだとすぐにやらなくなってしまう。「今日はちょっと雑音があるから難しいかな…」と気にしながら収録するかどうか考えるよりも、「雑音は入るかもしれないけど、後で消せばOK」と細かいことを気にせずに録り始められることは、個人での継続にとってとても重要なことだと思う。その点を意識して機材とソフトウェアを選定している。
別の方法としては、ドングリFMの鳴海さんのように日帰りでアパホテルを借りて5本ぐらい一気にとるという方法もある。
マイク
マイクの選択肢は大きく分けてダイナミックマイクとコンデンサマイクがあるが、居住空間の不要なノイズを出来るだけ拾わないよう、コンデンサマイクではなく単一指向性のダイナミックマイクから選ぶことになる。部屋に吸音材があって反響が少ないとか、一人暮らしで住居が道路に面してないとか、かなり恵まれた状況でないとコンデンサマイクを普段の収録に活かすのは難しそうというのが現状の結論。
僕は今まで3本ぐらい乗り換えて、2万円ぐらいで買えるShureのMV7Xというダイナミックマイクに落ち着いた。MV7(3.5万ぐらい)からUSB接続機能などを抜いた廉価版として最近発売されたマイクで、メーカーが「ポッドキャスター向け」を謳っている通り、個人のポッドキャストとしては十分にいい音質で録ることができる。また、形がプロっぽくてテンションが上がるという点も見逃せない。
さらに上を目指すと6万近くするSM7Bという銘品があるが、さすがにこれ以上は個人だと手が出しづらい領域なので、(予算が潤沢にあるなら別として、)マイク以外の機器や後述のノイズリダクションなどに投資したほうが効率はいいと思う。
マイクアーム
マイクアームはBlueのCompassを使用している。以前は机に置くタイプのミニマイクスタンドを使用していたが、手元が埋まって邪魔なのと、机に置いていると手がぶつかる音やキーボードを打つ音、コードが擦れる音などが机を伝ってノイズとして入ることが問題だった。
マイクアームを使用することでノイズが減るほか、無理のない位置にマイクを固定することができ、安定した音で録れるようになった。特にダイナミックマイクはノイズを拾いづらい代わりにマイキングがとても重要で、マイクが口から20cmくらい離れてしまうだけでだいぶ音が小さくなる。口元5〜10cmくらいに安定して配置できるようになったのは心強い。
(笑い声の息や破裂音が直接マイクに当たらないよう、斜め手前に配置して収録している)
約1.4万円(僕はメルカリで1万円で買った)ほどと、個人用マイクアームとしてはかなり高額の部類に入るのだが、動きのスムーズさや使用時の安定感が昔買ってすぐ使えなくなった安物とは雲泥の差。使わない時の姿もゴチャゴチャしておらず、机の景観を妨げない。
注意点としては、マイクの重さで垂れ下がらないようスプリングで持ち上げてくれるタイプなので、手持ちマイクのような軽いものだと重さが足りず、必要以上に持ち上がってしまう可能性がある。
オーディオインターフェイス兼レコーダー
オーディオインターフェイスはYAMAHAのAG03を使っていたが、公開収録イベントを期にレコーダーとして購入したZOOMのPodTrak P4にもオーディオインターフェイス機能があって十分に使えることがわかったので、AG03を手放して普段もこちらを使うようにしている。本体の録音機能でリモート収録相手の声も収録できるので、バックアップとして本体で録音を回しながら、PCに繋いでAudacityで自分の声を録音している。
始める前は気づかなかった重要な機能として、自分の声のモニタリング(返し)ができることが挙げられる。対面なら普通に喋るだけなので平気だが、リモート収録でヘッドホンをしてしゃべると、相手の声は聞こえても耳が塞がっているため自分が喋ってる声が自分で聞こえなくなったり、声量のバランスが悪くなったりして不安になる。
USBマイクなんかだとオーディオインターフェイスが必要ないので一見便利な感じがするが、モニタリング機能がなかったり、あってもマイクの音量と連動していて使いづらかったりする(した)。長く続けるつもりなら、モニタリング機能のあるオーディオインターフェイスを使った方がいいと思う。こちらはAG03でもPodTrakでも可能。
参考: ダイレクトモニタリングとは? - 島村楽器
また、レコーダー本来の用途として、たまに外に持ち出して対面収録するときにも、電池駆動なのでこれとマイクだけ持っていけば収録できるという点がありがたい。(電池切れが怖いので結局PCも持って行ってUSB接続しながら収録してるけど…)
AG03のように細かい設定はできないものの、プリアンプ内蔵でダイナミックマイクを繋いだときの音量がAG03よりしっかりと入ることに気づいた。
今から買うなら、対面収録にも使える上に、AG03よりも安く手に入るので、P4を買うことをおすすめする。
P4を買う前に使っていたオーディオインターフェースYAMAHAのAG03はこちら。デスクに固定してリモートで録音するのであれば機能や安定性に特に不満はなかった。また、普段使いにも有用で、自分は常にPCと接続している。スピーカーと有線ヘッドホンを同時に接続して別々に音量を操作できるので、普段音楽をかけたいときはスピーカー、打ち合わせの時だけヘッドホン、といったようにスムーズに出力を切り替えることもできる点も便利だった。現在コロナ禍で価格が高騰しているが本来の価格は18,000円ぐらい。
ヘッドホン
ヘッドホンについては、有線で、外の音がそこまで気にならない密閉型なら正直なんでもいいと思う。Bluetoothヘッドホンはレイテンシ(音の遅れ)が大きく、会話のタイミングが掴めなくなったりしがちなのでおすすめしない。
僕はAmazonで2500円で売ってたDJ用有線ヘッドホンを2年ほど使っていたが、耳の上のところのヒンジが折れてしまったので、SonyのモニターヘッドホンMDR-7506に乗り換えた。この機種を選んだ決め手は見た目がプロっぽくてかっこいいことと、その割には値段が安いことだ(1万円ちょっと)。音質については収録用途なので気にしていなかったが、試しに音楽を聴いてみたらプロユースだけあって今まで買ったどのヘッドホンよりも音の解像度が高く感じてラッキーだった。
アーティストが立って収録することを意識してか、ぐるぐるのヘッドホンケーブルは普通のものよりかなり長く作られている。椅子に座って収録しながら多少姿勢が変わっても決して抜けたりズレたりしないという安心感がある。
ちなみにプラグの形はステレオミニ端子の上にゴツい標準ステレオ端子の切り替えプラグが刺さってる2ウェイプラグ仕様で、着け外しすればどちらでも使えるようになっている。(この記事を読んで買った人が外せることに気付かずに変換アダプタを買いに行ってしまう事件が発生したので追記)
通話・収録ソフト
収録は、二人で通話しながらお互いの手元で自分の声をローカル録音して編集時にミックスする、いわゆるダブルエンダー方式で録っている。
ここから先は
¥ 1,280
あなたのコーヒー1杯ぶんのお金が、私のコーヒー1杯ぶんのお金になります