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#53 気候変動政策は天候を変えられるか?

おはようございます。バスケワールドカップの日本の偉業をみてめちゃくちゃに泣いたすなっちゃんです。

さて、今回お話しするテーマは「気候変動政策は本当に天候を変えるほどの影響を与えられるのか?」 です。

それではいきましょう。

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時は2025年1月。バイデン大統領は、2023年後半に気候変動の緊急事態を宣言し、ぎりぎりの勝利を収め、2期目の大統領に就任した。米国の指導的役割に触発された他の国々はすぐにこれに追随し、世界は気候変動の成功として長い間認識されてきた排出量と気候の軌跡(専門的にはSSP1-2.6と呼ばれる)をたどるようになる。

このような想像上の未来から思考実験をしてみる。世界が将来、SSP1-2.6の軌道をたどると仮定しよう。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた現在の理解に基づいて、気候政策の成功が実際の気候に与える影響を検出できるのはいつになるだろうか?

バーナーらは、大気中の二酸化炭素濃度から逆算して、炭素排出量をどれだけ正確に評価できるかを定量化した。例えば、各国が排出量を過少に報告した場合、大気濃度と排出量の間にギャップが生じるはずである。

彼らの答えは、もし実際の排出量と報告された排出量のギャップが5年間で4.4%(または二酸化炭素100万分の1)より大きければ、95%の確率で誤報告があると判断できる、というものだ。逆に、SSP1-2.6の軌道をたどった場合、排出量の減少が濃度に及ぼす影響を検出できるのはいつになるのか、と問うこともできる。

SSPデータベースによれば、その答えは8~9年後、つまり2035年までである。その時点で排出量はプラトーを4.4%以上下回り、その差は測定によって検出可能である。


では次に、世界の平均気温を見てみよう。ここではさらに気候政策による変化の帰属が難しくなる。SSP2-4.5の2100年までの気温変化の中央値(オレンジ色)は、SSP1-2.6の95%範囲をぎりぎり超えている。SSP2-4.5の95%範囲は示されていないが、他の2つのシナリオで示された範囲と非常に類似していると考えられる。つまり、気候政策によって気温が変化したという確証は、2100年には50%程度になり、2050年にはもっと低くなるということである。


次に世界の陸地降水量の変化を見てみよう。この図から明らかなように、2100年までの世界の陸上降水量の変化について、IPCCはシナリオ間の違いを明確に示すことはできないだろうと考えている。

さて、最後の例として、ハリケーンや洪水などの極端な事象について説明しよう。IPCCは、さまざまな変数について、気候変動のシグナルが出現したことを検知する予想能力を親切にまとめてくれている。


図では、最も極端なシナリオであるRCP8/5/SSP5-8.5を仮定した場合の、様々な現象に対するシグナルの出現予想値を、現在、2050年、2100年について、白いセルに示している。極端なシナリオを仮定した場合、2050年または2100年までにシグナルの出現を検出できなければ、SSP2-4.5とSSP1-2.6の結果の違いを検出することはできない。

この結果は何を示しているのだろうか?私はここから3つの学びが得られると考える。

第一に、気候政策は実際に地球規模の地球システムに検出可能な影響を与えることができ、その影響は10年以内に検出し始めることができる。つまり、2025年から始まるSSP1-2.6の軌道の場合おそらく2035年までということになる。

第二に、気候政策が気候システムに検出可能な影響をもたらすことができると期待する人々にとって、例えば50%以上の確実性というレベルで、気候政策が世界の平均気温に及ぼす影響についてそのような帰属が可能になるのは今世紀後半になってからであり、世界の降水量の変化については、それよりもはるかに長い時間がかかるだろう。

第三に、気候政策があなたや私の経験する天候に影響を与えることができると信じている人々にとって、それは単に、今日過熱している原因究明の主張と、排出量が災害を制御するつまみであるという空想から生まれた空想に過ぎない。これをお読みの皆さんが生きている間、そして子供たちが生きている間に、異常気象の変化を気候政策に起因させることは、高い信頼性をもってしても不可能であろう。


まとめ

今回は「気候変動政策が天候を変えられる術はあるのか」というテーマでお話していきました。

私にとって、気候政策が天候に検出可能な影響を与えることができるという限定的な期待は、2つの結論に帰結します。ひとつは、極端な天候に備えるためには、適応が常に最も重要なアプローチであるということ。もうひとつは、緩和政策は異常気象だけでなく、より広範な行動基盤の上に構築されなければならないということです。

今回は以上です。ありがとうございました。


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