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総合商社の就活〜虎の巻〜

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元商社パーソンとして世界規模のトレード・投資に携わりました。 約10年間の勤務経験の中で、日本と駐在地での本業の側、新卒・中途採用に面接官として関わった経験があります。 本社…
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#商社

商社志望動機の落とし穴

なぜ商社を志望されましたか? 面接でよく聞かれる志望動機です。 私が面接官をしている中で、多くの学生がこの質問に誤解をして取り組んでいることにきづきました。 「学生時代途上国を回って貧困地域を見てきた。水ビジネスで途上国開発を支援したい」 「ゼミで日本経済の弱点はエネルギー確保だと学んだので、エネルギー部門で投資に関わり、日本へのエネルギー安定供給に携わりたい」 全て素晴らしいモチベーションだと思います。入社後もこの気持ちを忘れないでほしい。 ですが「これだけ」で

総合商社内定に効く「軸」の定め方

これまでの記事(「商社志望動機の落とし穴」や「商社でハマる自己PR」)では、「本来商社入社の真の動機はビジネスを実現するための努力を生涯し続けたいからであるべき」、「集団の中での自分の貢献の仕方やそれに向けた努力を論旨にすると、ご自身の経験、自己PR、志望動機が一気通貫したものになる」とお話しして参りました。また「信頼を得る上で、相手の立場を理解する(=客観的に自他を認知する)力が欠かせない。それは商社がさまざまな形で信頼を売り物にしているからだ」ともお伝えしています。 今

総合商社でハマる自己PR

今回は、商社面接で自信を持って話せる自己PRを、面接官の立場から分析したいと思います。 私が就活時代に、商社への就活準備で一番悩んだのは志望動機と自己PRでした。商社の事業があまりにも幅広く、この事業でこんなことがやりたい!と言えるほど、過去の経験にリンクしたものもなかったので、商社環境・商社パーソンへの憧れというざっくりした動機しかありませんでした。 自己PRも同様に難しかったです。人は強みや良さをいくつも持っているし、自分はこんな人です、って一言で言い切れるほど単純で

総合商社って実際何してるの?

もう10年以上前の話ですが、就活シーズンになると総合商社の説明会ブースがスーツ姿の学生で溢れかえっていたのを思い出します。 私も学生時代説明会に足を運んで一生懸命社員さんの話を聞いていましたが、事業分野や事業形態が多岐に渡りすぎていたため、一言で商社ってどう説明するんだろう?志望動機なんて言ったらいいんだろう、と最後まで不安だったのを覚えています。今の就活生の中にも、同じ疑問や不安を持った人がいるんではないでしょうか。 振り返れば仕方のないことです。商社の説明会では、人事

総合商社の解体新書

前回、総合商社って実際何してるの?で商社を一言で表すとMulti-Finance Companyがいいのではないか、とお伝えしました。何年もかかりましたが、つまるところ商社の提供しているバリューは様々な形のFinanceに尽きる、と漸く思えました。今回は事業形態別に、どうFinanceなのか?を説明していきます。 商社で一番わかりやすいFinanceといえば事業投資で、既存の事業を買収するM&Aや、油田・鉱山発掘等への出資、そしてトレードで必要になる輸送拠点の建設・買収、ま

商社のリアルな社風とその背景

前回記事(総合商社の解体新書)で、商社のイメージの代表格である「残業」「飲み会」「勢い」「駐在」について取り上げました。今回はこのイメージの実態と、なぜその様な社風が形成されたのか前回記事を踏まえて解説していきます。 商社の信用力が求められる時 前回記事の大半を割いて説明した商社の提供する「信用力」、商社社員はこれを個人として体現し社会に提供していくことが求められます。いかに会社としてお金やネットワークがあろうとも、担当社員が毎回遅刻してきたり、ルール違反をする様では信用

総合商社のDX戦略とその行方

今回は商社の新事業戦略の中でもDXについてお話しします。商社の次世代事業とは、三菱商事で言えば産業DX部門、三井物産ではICT事業本部、丸紅の次世代事業開発本部が該当します。AIや機械学習をはじめとする昨今の技術革新は商社にとってチャンスなのか脅威なのか。 商社にもテクノロジーにも興味がある就活生向けに書いています。 これまで商社は、巨大な資本と情報網を背景に、物や権利(所有権・販売権等)を中心に効率よく運営させ、周辺アセットを獲得することで、他社の参入障壁を高めて安定的