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1000日チャレンジ 953日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 33 Moving Continents

ゴールまで47日

★BMI:22.7

「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)

◎CHAPTER 33 Moving Continents
★主な内容
19世紀の地質学者は、化石・岩石の分析や地震・火山の影響調査などから地球の歴史について考察していた。しかし大きな3つの疑問があった。1つ目は地球上の隣り合った大きな大陸の海岸線が似た形状をしているのは偶然か、2つ目は遠く離れた南アフリカとブラジルの地層がよく似ていること、小さな大ブリテン島の中に様々な地形が存在することアラスカとアジアは続いていたのではないかなどという疑問。3つ目は動植物の分布と現在の地形の関係を説明するのが難しいこと。
これらの疑問を解決する説として、大陸どうしがかつて「陸橋」でつながっていたというものだ。オーストリアの地質学者エドアルト・ジュース(1831-1914)などの説がそれだ。それに対して、大胆な説を唱えるものが現れる。ドイツのアルフレート・ヴェーゲナー(1880-1930)は、1912年に大陸は移動しているという説を提唱した。彼の説は、2億年ほど間には、地球に「パンゲア」という一つの大きな大陸が存在していて、その後、この大陸が徐々に分裂し海を漂い、やがて新しい大陸となった。そしてその移動は今も続いているというものだった。この説はすぐに多くの人々に受け容れられたわけではなかった。第2次世界大戦中、潜水艦を使った海底調査が盛んになる。アメリカの地質学者 ハリー・ヘス(1906-1969)は、海底には地上と同じような地形があり、断層もつながっていることを見つける。これによる陸塊と海底は一続きのものであることが明らかになり、大陸がどのように移動するのかという疑問が提示される。 イギリスの地質学者アーサー・ホームズ( 1890-1965)は、地球の内部では対流が起こっており、それを起こしているマントル層の一部は地表に上昇し冷やされるという説を提唱する。その過程で火山から溶岩が噴出するのだと。
その後に放射性同位元素による年代測定法や地磁気、対流などの研究は進み、現在ではヴェーゲナーの大陸移動説を多くの科学者が受け容れている。カナダのジョン・ウィルソン(1908-1993)らは、地球上のマントルの上部が大きな数枚のプレートで構成されているという説を唱えた。彼の理論は「プレートテクトニクス」と呼ばれ、地球上の地形や動植物の分布と化石の関係などを説明する理論となっている。

★単語
wholesale
;大規模な、terrifying;恐ろしい、convincing;説得力のある、catastrophist;激変説論者、germinate;生まれる、成長する、undoubtedly;間違いなく、seismologist;地震学者、molten rock;溶岩

※パンゲア;「【Pangaea】アジア・ヨーロッパ(ユーラシア),アフリカ,南北アメリカ,インド,オーストラリア,南極の諸大陸が約2億年前に分裂し,移動を開始する前につくっていたと考えられる超大陸。大陸移動説の提唱者A.L.ウェゲナーによって名付けられた。南極大陸をとりまく塊をゴンドワナ大陸,北半球の巨大大陸をローラシアLaurasia大陸と区別することもある。両大陸の西半分はテチス海によって隔てられていた。また,パンゲア大陸全体を囲む超海洋をパンタラッサPanthalassaとよぶ。」(平凡社世界大百科事典 第2版より引用)

※プレートテクトニクス;「地球表層部で起こる地震、火山噴火、造山運動など、地学現象の原因やメカニズムを、地球表面を覆うプレートの水平運動で説明する考え。地球表面は厚さ約100kmの10枚余りの硬い板(プレート)で覆われていて、各プレートが違った方向に動いているため、互いの境界は離合し、衝突するか、または、ずれる。離れる部分(リフト)は中央海嶺や大地溝帯、ぶつかり合う所は海溝や大山脈で、ずれる部分がトランスフォーム断層。海底は中央海嶺で誕生し両側へと拡大、海溝から地球内部へ沈み込む。地震の発生機構と海底の拡大速度などから、プレート運動がある軸のまわりの回転運動であることが証明され、旧来の静的な地球観は覆された。プレート運動の原動力として、沈み込むプレート自身の引っ張り力や、マントル内で上昇・下降するプルームによる流動などが考えられている。ドイツの気象学者ウェゲナーが唱えた大陸移動説を裏付けた。」(朝日新聞出版発行「知恵蔵」より引用)

大陸の話は、前回の量子力学や相対性理論に比べれば、おおつかみに理解することができる話だった。多くの地道な調査結果をピースとして組み合わせて理論家が新しい理論を打ち立てていく、そういう協力関係・役割分担があってこそ科学は進歩していく。


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