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1000日チャレンジ 395日目 SOMPO美術館『シダネルとマルタン展』(1)アンリ・ル・シダネル

ゴールまで605日

★BMI:24.5

★先日、東京新宿のSOMPO美術館で開催されている『シダネルとマルタン展』に行ったので感想など書いておきたい。

◎『シダネルとマルタン展』
「19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)に焦点をあてた、国内初の展覧会です。印象派を継承しながら、新印象主義、象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立した二人は、幻想的な主題、牧歌的な風景、身近な人々やその生活の情景を、親密な情感を込めて描きました。「最後の印象派」と言われる世代の中心的存在であった二人は、1900年に新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)を設立、円熟期には共にフランス学士院会員に選出されるなど、当時のパリ画壇の中核にいました。
二人は深い友情で結ばれ同じ芸術観を共有しながらも、それぞれの活動拠点に由来して、異なる光の表現を追求します。シダネルは北フランスに特有の霞がかった柔らかな光を、マルタンは南仏の眩い光を描き出しました。本展では、世紀末からモダニスムへ至るベル・エポック期に、独自の絵画世界を展開した二人の道のりを、約70点の油彩・素描・版画を通して辿ります。」(以上、SOMPO美術館web siteから転載)

https://www.sompo-museum.org/wp-content/uploads/2022/02/pr_20220217-01.pdf

◎アンリ・ル・シダネル(Henri Le Sidaner, 1862-1939)
ごめんなさい。全く存じ上げなかった。いわゆる印象派の人たちからは20年くらい後に生まれていて、パリの高等美術学校エコール・デ・ボザールで学びサロンに出展した”正統派”。しかし、彼の絵の多くは屋外で印象派の画家のように描かれていて、”点描””筆触分割”といった印象派の画家たちの技法を取り入れている。すでにこの頃のサロンは、それら印象派的なものを取り入れていたということなのだろう。

★『ジェルブロア、テラスの食卓』(アンリ・ル・シダネル;1930年;個人蔵)

ジェルブロア、テラスの食卓(フランス;個人蔵)
(『シダネルとマルタン展』会場にて撮影許可)

シダネルは、1901年にフランス北部人口100人程度の小さな村、ジェルブロア(Gerberoy)に家を購入した。中世には要塞として機能していたこの村で、彼は、要塞の遺跡の上に広がる果樹園を借りて、何千本ものバラで彩られた薔薇園や庭園を造った。村を見下ろせるテラスからの風景。夕景なのだろうか、画面の半分は日陰になっている。人の姿は描かれていないが、食卓が描かれていることで、穏やかな人の生活が感じられる。細かいタッチで色をおいていく手法は印象派を感じさせるが、陽光きらびやかな風景というわけではなく、落ち着いた雰囲気は独自のもののように思う。
ジェルブロアは、彼の薔薇園を中心に今ではバラの村として、フランスでも有名な”美しい村”として知られている。日本からも、ここを目当てにしたツアーがあるくらい人気の村のようだ。
この絵と同様、他の展示作品も、落ち着いた色調で、近くで見ると、あまりくっきりはっきり描かれておらず、少しもやがかかったようにも見えるくらいだ。モネのように抽象主義的なものに発展していくのではなく、シダネルのほうが、印象派の一つの到達点であるようにも思える作品が多かった。
明日は、アンリ・マルタンの作品について、記述しておきたい。

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