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1000日チャレンジ 367日目 美術で英語を学ぶ『How To Read Paintings』(Christopher P Jones)(9)"Wanderer above the Sea of Fog"(Caspar David Friedrich)

ゴールまで633日

★BMI:24.3

★『How To Read Paintings : Western art explored through a close-reading of painted masterpieces (Looking at Art) (English Edition)』(Christopher P Jones著;Thinksheet;2020)を読んで英語と美術のお勉強を一緒にしていこうかな。この本は、美術史家であり小説家でもあるChristopher P Jonesさんの美術の見方入門的なシリーズの第1弾。今月3冊目が出版されているということは、それなりに売れているということなのだろう。調べる限りでは日本語翻訳版はでていない。1枚の絵を題材として何を読み解いていくのか?というテーマで20枚程度の名画について記されている。1日1枚のペースで英文を読みながら、名画の鑑賞も楽しんでいきたい。著作権に配慮しつつ、勉強のメモを残していく。

(9)『雲海の上の旅人』;18-19世紀ドイツ・ロマン派を代表する画家 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Caspar David Friedrich、1774 - 1840)が1818年に描いた作品。

Wanderer above the Sea of Fog(ハンブルク美術館蔵)

山の霧に覆われた谷を見下ろす岩山の上に男が立っている。他の尾根は霧の中で海に浮かぶ島々のような印象を与えている。男は探検家なのだろうが、そのような服装ではなく高貴な紳士然として立っている。Christopher P Jonesは、この絵は作者のCaspar David Friedrichがよく用いたRückenfigur(後ろ向きの人物)の構図を用いることで、鑑賞者に男の心情を考えさせていると指摘している。つまり、高いところまで登った高揚感や満足感、雲海を足元に見降ろす優越感のようなものを得ているという見方と、無限で力強い自然を前にして、男は自分が一人であることや無力感にさいなまれていると言う真反対の見方ができるように描いているのだと。実際、この絵を見た後の批評家たちも男の表情が見えないことによって複数の解釈がうまれる絵だと記載している。また、Christopher P Jonesは、Friedrichは黄金比についてよく研究した人であり、この絵でも山の稜線による水平方向の分割や横方向の男とその左右の部分が、黄金比になっていると指摘している。

一目見て、かっこいい絵だなと思った。確かに男の表情はわからないが、凛とした立ち姿からは絶望のようなものは感じられない。いわゆるロマン主義の自然との一体感とか、知性や理性よりも情緒や想像力を重視する感覚で描かれている絵であることがわかるような気がする。技術的には、雲の色の微妙な描き分けがすばらしいと感じた。

ridge;尾根、scale;登る、cane;つえ、sombre=somber;重苦しい、portentous;驚異的な、verge;境界、contemplation;熟考、transitory;一時的な、はかない、dignify;威厳をつける、fascinate;魅了する、depiction;描写、grandeure;壮大な


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