東京芸術劇場Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』(まつもと市民芸術館)観劇記録(一部ネタバレあり)
◎ 『三人吉三廓初買』
【公演日】2024年10月5日(土)
【会場】まつもと市民芸術館主ホール
【作】河竹黙阿弥
【監修・補綴】木ノ下裕一
【演出】杉原邦生[KUNIO]
【出演】
田中俊介 須賀健太 坂口涼太郎 / 藤野涼子 小日向星一 深沢萌華
武谷公雄 高山のえみ 山口航太 武居卓 田中佑弥 緑川史絵
川平慈英 / 緒川たまき 眞島秀和
【主催】一般財団法人松本市芸術文化振興財団
【後援】松本市、松本市教育委員会
【制作協力】一般社団法人ベンチ
【企画制作】東京芸術劇場・木ノ下歌舞伎/一般社団法人樹来舎
【助成】文化庁劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業
一般財団法人地域創造
(以下、公式web siteより引用)
「キノカブ渾身の5時間を超える、一大エンターテインメント作品!
2006年から京都を中心に活動を始め、多数の古典作品の現代劇化に取り組んできた木ノ下歌舞伎(通称:キノカブ)。昨年上演した、演出・美術の杉原邦生とのタッグによる木ノ下歌舞伎『勧進帳』は、東京をはじめ各公演地で好評を博しました。
同じく監修・補綴の木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)、演出・美術の杉原邦生による『三人吉三』は、2014年にKYOTO EXPERIMENTで初演。翌2015年には、東京芸術劇場が若手演劇団体と提携して公演をおこなう“芸劇 eyes 公演”としてシアターウエストに初登場。本作は、読売演劇大賞2015年上半期作品賞部門のベスト5に選出され、キノカブ代表作の一つとなりました。
今回の再演では、演劇界注目の若手、ベテラン俳優陣が新たにキャスティングされ、木ノ下が再補綴に取り組み、さらに国内外の古典作品から新作を問わず、精力的な活動で演出実績を積む、杉原邦生(KUNIO主宰)の再演出にも注目です。
江戸幕末の動乱期に生まれ、今日まで愛され続ける歌舞伎演目「三人吉三」。今や幻となった「地獄の場」を完全復活させ、黙阿弥オリジナル版の全幕通し上演が見れるのは、キノカブ版のみです。
ご期待ください!」
★初めての木ノ下歌舞伎鑑賞。まさに、江戸時代の歌舞伎の存在感って、こういうことだったんだろうなというお芝居だった。松竹の歌舞伎座などで行われる公演は、江戸時代以来の伝統をそのまま受け継いでいこうというのが基本線で、そこに新作で新たなチャレンジをしようということかと思う。一方、木ノ下歌舞伎は、”そのまま”というわけではなく、当時の人にとっては、これくらい”新しい””刺激的な”存在だったというところを、引き継ごうとしているのかなと。2幕目の前半は、オペラかミュージカルかという音楽劇になっていたが、これも歌舞伎で伝統的な、舞踏劇のようなものなのだろう。
お話は、そんな偶然あるかい!と突っ込みたくなるくらい、登場人物同士が複雑に”実は”という隠された関係で結びついている。双子の兄妹と知らずに恋仲になってしまう2人など、韓流ドラマにでもなりそうなものも含むややこしいお話で、どの登場人物にもなかなか感情移入はできないなぁ。
役者さんでは、MVPは”坂口涼太郎さんの怪演”で間違いないだろう。舞台上でこんなにいきいき躍動している役者さんもなかなかいないだろうというレベル。この人を上手くいかせる演出家がどんどん出てきてほしい。シェイクスピア劇にもどんどん出てほしいな。
次に、元BOYS AND MENでシス・カンパニーに所属する田中俊介さん。舞台を観るのは初めてだが、第3幕での迫力のある演技が際立っていた。
それから、元劇団四季の深沢萌華さん。ミュージカルの出演が多い役者さんのようで、今回が私は初めましてだった。可憐さと艶っぽさをだした演技に魅了された。他の作品も観に行きたい。
5時間を超える公演だったが、素晴らしく楽しい時間を過ごさせてもらえた。ありがとう。
何度も行っている、まつもと市民芸術館大ホールだけど、あの上等な感じの椅子の座面が、こういう長丁場にはちょっと不向きなのかも。第3幕あたりでお尻の痛みは頂点に。。。今度こういう機会があったときは、座布団持参しようかと。
※今回のお土産
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