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1000日チャレンジ 934日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 19 Ordering the World

ゴールまで66日

★BMI:22.9

「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)

◎CHAPTER 19 Ordering the World
★主な内容
17-18世紀になると、ヨーロッパの探検家たちが遠く離れた異国から動植物を持ち帰るようになった。それらの中には、全く異なるものもあれば、よく似たものもあった。このような微妙な違いや多様性はどのように説明すればいいのか?が科学者たちの課題となっていた。その主な回答として2種類があった。1つ目は、神は偉大なのでありとあらゆるものを作り出し、それらは大きな連鎖となっている。珍しいものが見つかるのは、失われた環(ミッシング・リンク)を埋めているだけのことだというもの。2つ目は、神は様々な種類を生み出したが、現在の多様性は、それぞれが子孫をつないでいくうちに生まれたものだとするものである。
18世紀にこの議論の中心となった1人が、ジョルジュ゠ ルイ・ルクレール(1707-1788)である。彼は大著『博物誌』に様々な動植物の構造や特徴からその利用方法、食べ方に至るあらゆる情報を書き残した。彼は、「自然は 個のみを知る」と語り、動植物の種の間に序列はないと考えた。
ルクレールの最大のライバルが、カール・フォン・リンネ(1707-1778)である。彼はあらゆる自然のものは変化しているため、一定の規則で分類して理解することが必要だと考えた。彼の作った分類の中で「属」「種」は特に重要であった。リンネは、 生物は様々な 階級で類似点と相違点があることを知っていた。そして彼の分類体系は、植物界、動物界、鉱物 界の3つの「 界」で始まり、 「綱」(脊椎動物など)「目」(哺乳類など)「属」「種」 と続いた。また、リンネは人間を他の生物と区別する証拠はなく、一つの「種」であると考えていた。
ルクールは「個」だけが大事と考えたのに対して、リンネは「種」が大事だと考えた。2人とも神が「個」あるいは「種」を想像したという点では同じだった。特に植物研究の分野でリンネの分類は機能し、研究の発展に大きく寄与することになる。

★単語
endangered
;絶滅の危機にある、acorn;ドングリ、fascinated;魅了された、peculiar;特有の、ape;類人猿、lemur;キツネザル、framework;枠組み

★フレーズ
The Great Chain of Being
;存在の大いなる連鎖、missing link;ミッシング・リンク、失われた環

※カール・フォン・リンネ;「Carl von Linné;1707~78;リネーともいう。スウェーデンの植物学・分類学者。ルンド大学,ウプサラ大学で医学を学ぶかたわら植物を研究。53年『植物の種』を著し,分類学を大成させた。動植物の分類に二名法を採用した。鯨をはじめて哺乳類に加え,また人間を霊長目に入れ,ホモ・サピエンスと名づけた。」(山川 世界史小辞典 改訂新版より引用)

博物学的な興味が大航海時代の一つの動機にもなっていて、膨大な数の自然界のものを理解するのに”分類”が必要と考えるのは自然なことだったのだろう。今でもリンネの分類体系は修正されながら使われている。ただ、主に形態を中心とした分類は、遺伝子解析の発展によって、修正をされる場合も少なくない。


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