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1000日チャレンジ 957日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 37 Building Blocks

ゴールまで43日

★BMI:22.6

「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)

◎CHAPTER 37 Building Blocks
★主な内容
20世紀の初めには、「生命とは何か?」という問いに対する研究成果が、生物学だけでなく、物理学や化学によって進展した。アメリカのライナス・ポーリング(1901-1994)はX線回折技術を使って、赤血球中のヘモグロビンのアミノ酸1つが欠けるだけで重大な疾患を引き起こすことを解明した。この研究は、現代につながる分子生物学の幕開けを意味していた。彼は、遺伝子の機能を担っていると思われるDNA分子がコイルが3重に絡み合うような構造であるという説を唱えた。
ロンドン大学の物理学者、モーリス・ウィルキンス( 1916-2004)と化学者のロザリンド・フランクリン( 1920-1958)もX線を使った研究で分子生物学に向き合っていた。また、ケンブリッジ大学のジェイムズ・ワトソン(1928―) とフランシス・クリック(1916-2004)のチームまた同様にDNA構造の謎に取り組んでいた。1963年、ワトソンとクリックは、DNAが2重らせんの構造をもっているという説をNature誌に発表する。ウィルキンスとフランクリンの論文も同じ号に掲載されていたが、彼らは2重らせん構造にはたどり着いていなかった。ワトソンとクリックは、その後、構造だけでなく、DNAがどのようにして複製されるかについても解明した。ワトソンとクリック、ウィルキンスは1962年にノーベル賞を受賞するが、その時、すでにフランクリンは亡くなっていた。クリックはさらに、DNA配列が遺伝子としてのコードをもっていて、アミノ酸配列はそのコードに基づいて作られることも究明する。DNAの研究は、がんについての研究にも大きな進歩をもたらすことになる。

★単語
the periodic table
;周期表、chromosome;染色体、heredity;遺伝、intricate;複雑な、inherit;継承する、revealing;明らかにする、destiny;運命

★フレーズ
sickle-cell anaemia
;鎌状赤血球症、secret of life;生命の神秘、role in;~における役割

※ロザリンド・フランクリン;「Rosalind E. Franklin(1920―1958)イギリスのX線結晶学者。ケンブリッジ大学で学び、パリでの研究ののち、キングズ・カレッジのウィルキンズのもとで、DNA(デオキシリボ核酸)のX線結晶学的研究に取り組んだ。DNAの繊維は水分含量により結晶型(A)と濡(ぬ)れた型(B)の2種類のX線図を生じることをみいだし、二つの型がはっきり区別できるよい写真を撮るのに成功した。とくにB型については、1953年、螺旋(らせん)構造であり、その螺旋は34オングストロームで1回転し、その間に10個の塩基を含むこと、またリン酸基の骨格は外側に、したがって塩基は内側にあるなど、重要な知見を含むX線図を得て、J・D・ワトソンとクリックによるDNA分子モデル作成を導いた。のちバークベック・カレッジに移り、タバコモザイクウイルスの構造を研究した。」(小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)より引用)

ロザリンド・フランクリンは、DNAの構造をめぐって、悲劇の研究者あるいは研究成果を盗み取られた女性研究者として、後に脚光をあびる。しかし、彼女はウイルス研究の第一人者として、当時も現在もその功績を認められた優れた研究者であり、ノーベル賞を受賞しなかったことが、その功績や才能を貶めるものではないと思う。


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