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スナックかすがい in 名古屋 第五夜(最終夜・オンライン)「世界を変える男たち 〜変態研究者が拓く新しい生き方」体験記

Text by 真下 智子|Satoko Mashimo
Photo by 野村 優 | Yu Nomura
Beer by キリンビール|Kirin Brewery Company, Limited

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スナックかすがい 初のオンライン配信

 昨年の11月より毎月第一水曜日の夜、廃校となった旧那古野小学校の元職員室を会場に、好奇心旺盛で話好き、もちろんお酒も好き!という大人たちが集う場としてスタートした「スナックかすがい」。主催は、名古屋を代表する菓子メーカーの「春日井製菓」。キリンビールをはじめとした、さまざまな協賛企業の協力もあり、ビール飲み放題、グリーン豆食べ放題、時にちょっとイカしたおつまみ付きで、2時間1,000円ポッキリの、一風変わったスナックだ。おもてなし役は春日井製菓の社員。そして毎回、ちょっと気になる2人のゲストを迎え、軽妙かつ聞き手の心をぐいっと引き寄せるトークで多くのリピーター客に愛されている、スナックのオーナーが進行役を務めている。

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 もともと2018年の11月に東京で開店した「スナックかすがい」。本社のある名古屋でもぜひ!との熱い地元のラブコールに応える形で名古屋でも始まり、その人気はクチコミでグングン拡大。常に100名の満員御礼で、その熱気と活気は東京店を凌ぐほどで、地元のテレビでも取り上げられた。
順調に4回まで終えて、いよいよ名古屋では最終夜となるはずだった3月。すでに多くの方からの予約が入っていたものの、世の中は新型コロナウィルスの猛威がじわじわと押し寄せていた。

 その頃、進行役を務めるマスター豆彦さんから、体験記を書く私を含め、撮影スタッフ、進行スタッフらに何度も相談の連絡が入る。緊急事態宣言が発令される1ヶ月以上前のことだ。
「人が集まるスナック。不安は拭えない。やはり延期か中止した方がいいのではないか?」
「いやいや、毎回多くの方が楽しみにされているから、対策を十分にとればできるのではないだろうか?」
などなど、あれこれ意見交換をし、結局、いったん延期ということになった。
最終夜だっただけに、残念だけど止むを得ない。中止ではないからと、気持ちも持ち直し、開催日の連絡を待つこととなった。

 それから2週間ほど経って、4月の上旬に開催したいとの連絡がマスター豆彦さんから入った。しかも、無観客でオンライン配信の形式でやるつもりだと。
今でこそ、様々なライブなどが無観客でオンライン配信されるようになっているが、その時はまだまだ少なかった無観客ライブ配信。体験記のフォトグラファー、野村優さん(ノミーさん)チームが動画配信の準備に動き出す。

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 ところで、このスナックかすがい。どんなスナックか、もう少し紹介したい。
まずこの店名。もちろん春日井製菓の「かすがい」でもあるが、実はもう一つの大きな意味が含まれている。それが「鎹(かすがい)」。建築などで材木をつなぎ合わせるための金具のことだが、この鎹のように、人と人がつながり合うことを意味している。
この場に来て、たまたま隣に座った人との出会いが、その先の人生を大きく変えることになるかもしれない。もちろん恋に落ちることだって。そんな出会いの場が「スナックかすがい」である。
また今の世の中で、ちょっと面白い生き方をしているゲストの話から、自分自身の生き方のヒントをもらえることもあるかもしれない。そんな気づきの場でもあるのが「スナックかすがい」なのだ。

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 そもそもスナックかすがいが、無観客で成り立つのか? 2時間の開店だが、通常はお客さんとゲストとの掛け合いや、マスター豆彦さんが客席を回って、マイクを向けながら進行する。が、無観客となると、マスター豆彦さんと2人のゲストによるトークオンリー。もっとも、マスターとゲストとの会話を垣間見るという、スナックのリアリティ感は増すものの、果たして2時間トークだけで、画面の向こうのお客さんは退屈しないだろうか…。そんなあれこれについて10日ほど前から話し合いを重ねた。配信となると、映像も重要な要素となる。3人の出演者が同じ場所で話し続けるわけで、固定カメラ1台では映像の変化がなく、見ている方も飽きてくる。そこでカメラ4台を使い、ゲストとマスター豆彦さんらの表情に寄ったり、引いたり、カメラを切り替えることで変化を持たせようと、ノミーさんチームが1週間前からリハーサルを始めた。

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 ネットの接続状況の確認、カメラの配置などを決め、リラックスした雰囲気を出したいと、ゲストにはソファに座ってもらう設定でカメラを回す。ほぼ完璧な状態まで準備し、当日開始4時間前にノミーさんチームは現地入り。この段階で、急遽ママ役がもう一人加わることになり、マスター豆彦さんを含めて店内は4人に。さらにもっとスナックっぽい雰囲気を出すなら、やはりカウンターがいいのでは?現場でのやりとりから、撮影場所もソファからカウンターへ、カメラの配置を変更した。
「全体を映すような引いた絵を固定するのはおもしろくない。ゲストの表情や仕草を追いかけたい。カメラを左右に振ったり、ズームにしたり、撮り方にも工夫したかったんです」とノミーさん。この日の撮影チームはノミーさんを含めて3人。4台のカメラと音声の調整、さらに体験記用のスチール撮影と、3人の緊張感がビシバシと伝わってきた。
本番ギリギリまで調整が続き、ゲストとホストの4人全員が着席し、ピンマイクを装着したのは、開始3分前だった。

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18時30分
「皆さん、こんばんは!」
マスター豆彦さんの、いつもの元気な掛け声で開店したスナックかすがい。
初のオンライン配信というスタイルであることを説明し、いつもはお客さんと全員で乾杯!と始まるところだが……。
「今回はこんなご時世なので…。エアで乾杯!」
ハツラツとしたマスター豆彦さんの張りのある声と笑顔が、画面の向こうのお客さんに届けられた。

今回、マスター豆彦さんと一緒にホストを務めるのは、本日限りの万琴ママ。スナックかすがいの会場となっている、那古野キャンパスのプロデューサーでもあることから、急遽カウンターに入ってもらうことになった。

オンラインながら、キリンビールさんはご協賛くださり、ゲストはビール飲み放題。春日井製菓のお菓子セット(同じものを視聴予約した方の自宅に事前に発送)から好きなものを選んで、グラスに入れ、つまみながら飲みながらのスナックがオープンした。画面の向こうのお客さんたちもポリポリグビグビと楽しんでいる様子を想像しながら。

さて、このスナックかすがいにはこれまでにも、一見、肩書きだけだと何をやっている方なのかよくわからない、いや、その活躍ぶりが多方面にわたりすぎて、何がその方を作り上げているのか、パッと見だけではわからない方が、たくさん来店してきた。
名古屋最終夜はまさに、その究極バージョン!
人呼んで「変態研究者」。


肩書きが3つあるゲストのおふたり

まずは免疫学を研究する大学院生時代に、仲間と一緒に会社を立ち上げてしまったという井上浄さん。

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:専門は免疫学の研究をしているんですが、ベンチャーのサポートもやっています。研究でも新しい分野が生まれる瞬間って、既存の分野と既存の分野からはみ出た人たちが何かを起こした時なんですよね。そこに興味があるんです。
「世界初」であれば何でも興味がある。誰も知らないことをやっていくということにおいては、研究分野とか関係なくて、面白いなと思ったら僕も僕ができることで、一緒に何かやりたい!と思うんです。

こうして大学院生15人が集まってできた会社が、株式会社リバネスだ。大学院になって研究に本格的に取り組み始めると、「世界初」のことが自分の目の前で起こる。それがたまらなく面白く、世界で一番面白い研究所を作りたいというのが起業のきっかけだった。

自分のやっている研究がめちゃくちゃ面白い!その想いだけで立ち上げてしまったリバネス。技術もお金も経営知識もなし!ならどうやってこの思いを形にするのか…。たとえば、10年後に自分たちの面白い研究所ができたとして、そこで一緒に研究している仲間は今の自分たちと同じ24歳ぐらい。10年後に24、25歳になっている人たちはどこにいるかと考えたら、中学とか高校生だった。そこに未来の仲間がいると思った浄さんたちは、出前実験教室を始める。小、中、高校へ出かけて、最先端の研究の面白さを伝えて回った。これがリバネスの企業としての活動の始まり。18年も前のことだ。

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:要するに、僕らが作っているのは、「知識のプラットフォーム」で、我々に関わってくれている中高生の研究者、ベンチャー、大企業の方々など、多くの人たちがリバネスに関わり、繋がり、ここから旅立っていく。そんなイメージでやっています。

エリック:私もリバネスに入ります!この後、面接をよろしくお願いします!

豆彦:まずはインターンからね。

相変わらずタイミングよくジャブを入れるマスター豆彦さん。今宵も舌好調!

:初めは本当に大変で。本も読まず、会社の立ち上げ方も分からず、とりあえず銀行に行って口座を作るか!ってそんなノリ。それこそ実験教室も1人500円で、20人集まったからやろう。そんな感じでした。すごく辛い時も当然ありましたよ。でも18年間やってきてよかったなと思うのは、創業当初からメンバーがほぼ変わっていないことですね。やりたいことをやろう!と集まっているから楽しいことの方が多い。みんな同じ思いなんですよね。

本来、研究室にこもっているのが性分に合っていると語る浄さんだが、みんなで楽しいことをやるためには、嫌なこともやらなければならない。でも、それ以上に楽しいことの方が多い。穏やかな語り口とは裏腹な、ほとばしるパワーが伝わってくる。


続いて、もうひとりの「変態研究者」、松永エリック匡史さん。

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豆彦:まずはこの写真。正直、最初は会いたくなかったんですよね(笑)。なんか芸能人みたいな感じがして。そしてもはや何者なのかわからない肩書…。

マスターの言葉に、エリックさんとこの日が初対面の浄さんも、苦笑しながらも納得といった表情。

エリックさんは、青山学院大学の設置5年目というロックな学部の教授であり、音楽家でもある。音楽家としてのデビューはなんと15歳!記念すべき最初の仕事が「8時だヨ!全員集合」に登場したアーティストのバックギタリストだったというから驚くばかり。

その後は、私が個人的にも憧れている、ボストンのバークリー音楽院に留学。バークリー音楽院といえば、世界のナベサダさんをはじめ、ジャズピアニストの上原ひろみさんや小曽根真さんら、卒業生の顔ぶれは錚錚たるもの。ここで音楽を学んだ松永さんは、一流のプロミュージシャンなのに大学教授。加えて経営コンサルタントと、マスターの、「もはや何者なのかわからない」という言葉は、言い得て妙なり!

エリック:ずっと音楽畑でやってきたんですけど、普通の仕事をやりたいと思うようになって、日本の大学に入り直しました。卒業後は20年以上外資系の経営コンサルティング会社にいて、一昨年から青山学院大学で教えながら、個人でもコンサルティングをやっているという感じです。浄さんと同じで、とにかく好奇心の塊なんです。

:あれ?同じ生き物でしたか!(笑)

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エリック:僕の発想は音楽家の考え方が根底にあると思うんです。例えば普通の経営コンサルタントって、まず分析をするんです。凡例を組み合わせて、これだ!ってやるのが昔の経営コンサルタントのスタイル。僕はそういうのには興味がないから、発想しかないんです。例えばお客さんのところに行くと、まず結論から言っちゃうんです。こんなことやりませんか?と。そういうやり方をする経営コンサルタントはいなかったんですよね。

:それって邪道って言われちゃいません?

エリック:そうなんですよ。エビデンスは?とか言われますよ。そんなものはどうでもいいんですよ。まさに浄さんが仰っていたみたいに、面白いことをやって、あとで考えればいい。後で理由づけすれば。これは経営でもそうですけど、人生も同じで、みんなに影響されるんじゃなくて、あなたの好きなものは何?あなたのグループは何をやっているの?そこから色々なプランを考えて、あとから理由づけする。そういうことを今やっています。

豆彦:ただ、エリックさんの文献には、「イノベーションは思い付きじゃない」と書かれていました。アーティスト思考とかアート思考って、非連続で変わったことを言ったり、今までのことからジャンプしないと!みたいな風に解釈している方も多いんじゃないかと。

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エリック:さっきの浄さんの話の中で合点のいくことがあったんです。過去の研究からあふれた人が新しいものを作るという話、ありましたよね。でもこのあふれた研究者って、実はものすごく優秀だと思うんです。何がそうさせるかって、要は過去からの基礎力。基礎がわからない人の発想は、単なる思い付き。ただそれだけで、それ以上でもそれ以下でもない。音楽も同じで、クラシックなど過去を何も知らない、基礎を何も知らない人がやったらだたの思い付きなんです。基礎の知識をちゃんと勉強して、自分の体にそれが染み込んだときに出てくるものは、単なる思い付きではなくなるんです。

:まさに筋トレ!

エリック:そうそう筋トレが重要なんです。しかもトレーニングをしているところを見せないのが美学なんですよ(笑)

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ではビジネスでいう基礎は何か?というマスター豆彦さんの問いに、エリックさんは、春日井製菓を例にあげてわかりやすく話を進めた。

エリック:製品だけ見て、マーケットシェアはどうのこうのって言うのは誰でもできる。そうではなくて、たとえば創業者の想いとか、なぜこの土地なのか、どういう背景で今までやってきたのか、というようなことを社員の皆さんがちゃんと理解した上で、新しいものを生み出していくというのがすごく大事だと思うんです。

色々な企業のコンサルティングをやっていて思うのが、どの企業もイノベーションだ!と言っているような最近の若い人たちって基礎がない人が多いんです。会社のこともろくに知らない。

たとえば、通信ネットワークの会社だったらネットワークの質問をする。ネットワークの会社の社員なのに、まったく答えられない人が多いんです。
一方で、実は会社のことを知り尽くしているのに、知らないふりをして、こんな新しいアイデアどうですか?っていう人もいる。そういう人が、僕はカッコいいと思うんですよね。

今の若者は、会社の古い体制を打ち壊せ!と言われるから、そこを期待されていると思っている。でも体制を壊しちゃったら何もできない。新しいことをやるには人脈も必要で、やっぱり基礎がしっかりしていないと難しい。土台がしっかりしていないのに、その上にどんな見た目がカッコいいものを作ったところで、所詮張りぼてにすぎないということなのだろう。

:僕たち、見た目はこんなんですけど(笑)、意外にしっかりしているんです。頑張っているんですよね。

エリック:そうそう

:同志、同志

万琴ママ:変態同盟ね!(笑)

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万琴ママ!マスター豆彦さんとの息もピッタリな、ナイスジャブ!!!
浄さんは続けた。

:若い人に会社のことを聞くと、不平不満が結構出るんです。自分の会社に誇りをもっている人があまりいなくて。自社すら分析できていないんじゃないかと。可能性をすごく秘めているのにもったいないですよね。

エリック:本当、もったいない。最近のSNSでも思うんですけど、人のことをディスるのは、誰でもできるんですよ。でも人を褒めるって結構大変なんです。だから褒める癖をつけることがすごく大事だと思っていて。

ここから、ゲストふたりの共通項である、“教育”についての話に展開していく。

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本当にやりたいことができる場を作ってあげたい

今、小中学校では、褒めることが悪のようになっているとエリックさん。みんな平等でなければならないという風潮が恐ろしい、と。昔は足がめちゃくちゃ早い“運動会のヒーロー”がいたし、絵がズバ抜けてうまい子とか、ピアノがめちゃくちゃ上手な子とかいた。でも高校受験を前に、急に偏差値というものが出てきて、頭がいい子から序列ができていく。これこそが教育の崩壊の原因だとエリックさんは語る。

エリック:我々の仕事は、子どもたちに知識を詰め込むことじゃなくて、子どもたちを伸ばすような環境を作ることじゃないですか。研究者だって研究の内容を知ることじゃなくて、自立した研究者になってもらうことが、僕らがいる意味だと思うんですよね。

:そうそう。その子がやりがいがあると思ったことをやらせてあげたい。ただし、お作法だけは厳しく言いますけど。「それはやり方が違う、論理的な考えが必要」「そこは俺の方が知っているから過去の事例もしっかり聞いてみようか」「そこはちゃんと学んで」「基礎力をつける筋トレもやってね」とか。その代わり、面白いテーマはやろう!もっと世界を広げていこう!って好奇心を刺激させたいなと。

万琴ママ:ポスドク(ポストドクター:博士号取得後に任期制の職に就いている研究者)の子たちと一緒に、エクサウィザーズという人工知能のベンチャーを創業したんですけど、好きなことやらせたいですよね。ただやりたいことをやるためには、お作法は覚えておいた方がいい。ということは話しますね。

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実はエリックさん。青山学院大学では、あの駅伝で有名な原晋監督と机を並べているとか。原監督の素晴らしいところは、生徒を自立させていることだと。
箱根駅伝になんて、到底出られるチームじゃなかったのに、連覇している。生徒たちに自立させているから、みんな楽しそうに走っている。
昨年、選手がガッツポーズをやったことが、問題となったのは記憶に新しい。どのスポーツもそうだが、喜びを派手に表現するのは慎まなければならない、という暗黙のルールみたいなものがある。でも、生徒たちからすれば、思わず出てしまうアクションっていうものも当然あって…。

エリック:原監督、そんな生徒たちになんて声をかけたと思います?「アクションが薄いなあ。もっと派手にやれ!」と言ったんですよ。それがやる気だと思うんですよね、そう言われたら、たとえディスられても監督がわかってくれているなら、もっとやろう1と思うわけですよ。

万琴ママ:一番の応援者というわけですよね。

エリック:そうそう、僕もそういう応援者でありたいんです。

この段階で、視聴者数が120人!開店から1時間ほど経っているが、お客さんも楽しんでくれているようで、現場のスタッフもテンションアップ!「映像がカッコいい」「どうやって撮影しているの?テレビ番組みたい」などのリアルタイムでのコメントも届き、ノミーさんチームの3人の息もぴったりと合っていく。

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日本の若者の伸びしろは大きい!

ここから、ようやく今回の本題へ。

若者たちの意識が、国によってどう違うかを見て、ゲストのふたりが考えること、さらにこのコロナ騒動の次を見据えて、何をやろうとしているかを紐解いていく。
このなごのキャンパスのテーマである「100年先を見据えた人材を、開いて、混ぜて、生まれる」ということにも絡めて。

まずは国別の若者の意識調査から。

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この結果を見ると、すべての項目で日本の若者は意識が低い。特に「将来の夢を持っている」「自分で国や社会を変えられると思う」という数字の低さが気にかかる。

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さらに、「自分には長所がある」と思っている日本人が極端に少ない。

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最後に「社会をよりよくするため、自分が社会における問題の解決に関与したい」という割合もどの国よりも低い。

こうしたデータを悲観して、どうしようもないなぁと嘆くのではなく、自信のない学生たちに、お二人はどんなアドバイスをしているのだろうか?

そもそも長所が定義されていることがおかしいとエリックさん。長所はあってしかるべき!ということを誰かが決めている。しかし長所ってそういうものではなくて、自分がいいと思っていることと、人がいいと思っていることは違う。人がいいと思うことを長所だと定義されたら、結局は偏差値と同じで序列がつく。だからほとんどの人は長所を認められないというのがエリックさんの考え方だ。

長所と言われるものは、たとえば最後までやり抜く集中力があるなど、誰から見てもカッコいいこと。その時点で違うと思っているし、長所云々とは関係なく、実は社会における関与に関しては、Z世代(98年〜2015年生まれの人)と言われる若者はかなり関与したいと思っていると感じている、と。

確かに長所は、誰もが認めるいいこと、カッコいいこと、という定義づけ自体がずれているという見方にハッとさせられる。自分軸と他人軸で、長所が違うのは当たり前のことなのに。

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エリック:最近のZ世代の人は、自分は大学に興味がないですから、とはっきり言うんですよ。我々の時は、そんなことを言うヤツは逃げている、と思われていましたけど。別にかっこつけて言っているわけではなくて、彼らは自分の価値観で生きているんです。これが正しいと思うんです!と言っている彼らがかっこよく見えるんですよね。
僕たちは、大学出なくちゃいけない、一流企業に入らなくちゃいけないって言われて育ってきたんですけど、そんなこと関係ないよ!って言える時代になってきたんだと思います。僕はそんな若者から学ぶことがすごく多いと思っていて、最近敢えてそういう若者と話をするんです。僕自身が学ばないといけないから。僕がまだ凝り固まっているので、ほぐしてもらっているんです。

:リバースメンタリングですね。確かに自分で決めて生きている人が増えてきました。僕はワクワクの解析というものをやっているんですけど、ワクワクの気持ちって指標がないんですよ。それをうちのメンバーがワクワクっていうのを評価するための軸を作るためのアンケートを、社会心理学者と一緒に研究しながら作っているんです。小学生から高校生まで対象にしているんですけど、確かに受験勉強とともにワクワク感は下がっていくんですが、高校生になると学年が上がるにつれて、ワクワク感も上がってくることがあって。そこには「自分主人公感」というのがとても重要なんですよ。

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そのワクワク感に興味を持っていたというエリックさん。今のようにパソコンがなかった時代、彗星の如く現れたMacへの胸キュンエピソードから、このワクワク感を生徒たちに教えているという。

エリック:たとえば学生にモンブランのボールペンを買わせるんです。2,000円ぐらいの。そのペンについてどう思うか?というレポートを書かせるんですが、ただのボールペンなのに高い!150円で十分じゃないの?ということを書いてきます。次にモンブランの歴史を調べてから改めてモンブランへのワクワク感というか重さというか、そういうものを書いてくる生徒が出てくるんです。2割ぐらいかな?
それでもわかってくれる人がいれば、そこを開花させてあげることはすごくいいことだと思っています。彼らには彼らなりにワクワクすることがあるんです。それを見つけてあげたい。

:今度、そういうワクワク感を追求して、スタートアップ企業家の精神を学んでもらおうという、日本の大学では初の「アントレプレナーシップ学部」で粟生さんと一緒に教鞭を執ることになりました。

万琴ママ:2021年の4月開学です。ワクワクの追求ですね。

:自分の知らないことを知り、そこに自分の意見が入って、誰も知らないものになったときに、自分主人公感を得られると思うんです。そのチャンスを作ってあげたい。

Z世代の若者が、ワクワクするような学びの場であり、自分主人公感に気づく場でもある。そんな新しい大学で、浄さんと万琴ママが学生と向き合う。きっと大きな化学反応を起こし、いつか「あ!あそこで学んだ学生さん」という日が来ることを、ワクワクして待ちたいと、私も心から思った。

今は筋トレ期間

ここで、マスターの豆彦さんからゲストへの質問が。新型コロナウィルスにより、色々な価値観が一変してしまったけれど、次を見据えて具体的にどんな行動をしていますか?と。

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:めちゃくちゃインプットしています。本や論文を読んだり、分野の違う人の話を聞いたり。自分自身の思想がどういう方向に向かっていくのか、ちゃんと準備をしておかないといけないなと思っています。何が起こるかわからないですからね。

豆彦:今までのインプットとは違う?

:人のつながりが大事かなと。僕のまわりには僕のことを知っている同じ分野の人や専門家が当然多いんですけど、今回みたいに、たまにまったく関係ない分野で生きている人と会うことがあると、そういう人たちの本を読んだり、そういう人たちの周りにいる人たちとまたネットワークを作ったりして、その世界を知りたいと思っています。いわゆる筋トレ期間ですね。

豆彦:でもなかなか会えない状況下で、ネットワークってどうやって作ってるんですか?

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:変態研究者って肩書きが付いていますけど、専門は免疫学で。免疫学の研究者です!っていうとその分野の人しか寄ってこないわけです。そうじゃなくて、いろいろなことをやっている研究者です、ときちんと発信していけば、色々な角度から色々な人たちが来てくれます。そういう人たちと話すようにしています。

豆彦:その話すっていうことが、今はなかなかできないじゃないですか。ウェブミーティングみたいな感じですか?

:ZOOMなども積極的に使ってますよ。あと、仕事ではテレワークという形になっている部分も多いとは思うんですけど、裏にはどうしても外せないインフラって存在しているじゃないですか。医療とか。そこは間違いなく次の進化が必要とされているなと感じています。全員がテレワークでできるかって、実は分析でも5、6パーセントぐらいの人しかできていない。もちろんそこには伸びしろがあるっていう考え方もありますけど。実はインフラを作っている側というのは、こうやって実際に出会った時にしか物事が起きないと思っているんです。世界初みたいなことは。そういう部分はあらためて見直されると思うんです。

一方で、ウェブでできるものも、それはそれで進化したと思うんです。そういう意味で、「分断」は起こっていますけど、その分断をどういう力に変えていくかということころに一番興味があります。

リンパ組織って若いころはすごくきれいに分かれています。T細胞領域とB細胞領域と。それが歳を取ると、だんだん混ざってきちゃうんです。そうすると免疫反応って弱くなってきてしまいます。つまり隔たりがあるっていうことは、実は強い反応を起こすチャンスであって、ある意味ビジネスチャンスでもあるんです。それなら、こういう分断された世界のときに、自分が世界初でどんな提案をして、何を作っていくかということを、今筋トレしながら考えています。これを次世代の人たちと一緒にやりたいなと思っていて。

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豆彦:えーっと難しすぎて、よくわからないです…。たとえばどんなことですか?

:それがわからないんですよ。もしかしたらアジアの各国と接続することかもしれないし。例えばテレワークと、研究と、ロボットという3つのキーワードがあったとして、自宅で実験ができるような接続を大学でしておけば、24時間、自宅で実験をコントロールできる。遠隔操作ですね。

豆彦:なるほど!分断中でも、要はオンとオフを活用して、今までできなかったことをやるということですかね。

:それもひとつ。他にもいろいろあると思うんです。今、こんな状況でもご飯がちゃんと食べられるのは、誰かがどこかで作ってくれているからですよね。その人たちは、休みだ、テレワークだなんてないわけで。いろいろ思うところはあるんですが、それを自分で飲み込んで昇華しようと、頑張って筋トレしているわけです。

エリック:コロナ禍で、すべてがオンラインになりましたよね。多くの人はそれをすごくネガティブに捉えているんです。「こんなのはミーティングじゃない!」とか。そういう気持ちも分からなくもないけど、僕らの下の世代って、オンラインのコミュニケーションの方が実はリアルだったりするわけですよ。僕たちの世代は、インターネットがリアルの後にできたから、僕らのリアルはリアルなんですよ。でも、今の子たちにとっては、リアルの方がバーチャルなんですよ。リアルとバーチャルの区別はなくて、全部ひっくるめてリアルなんです。
 結局、ネットだけでもちゃんと完結する人間関係はあるし、それだと何がいいかって、あり得ない距離の人と会えるわけです。これからそれができますよね。

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エリック:あと、教育者としては、新しいサービスってリプレイスだったら意味がないと思っているんです。たとえば、本がネットで買えるだけでは意味がないと思っていて。ネットだからこそのサービスがないといけないと思っているんです。教育でも同じで、ただ僕が黒板に書いたことをもう一回きれいな画像で撮って配信するだけじゃなくて、ネットでしかできない授業って多分あると思うんです。それを今チャレンジしています。チャレンジの時に必要なものは、運動量しかないと思っています。とにかく数をやってみるしかないんです。やってみて学ぶ。筋トレですね。

一方で、もともと対人でのコミュニケーションが、SNSになって、承認欲求依存が高まりました。それで今何が起こっているかというと、もう誰がどんなご飯を食べたとか、個人的な文句とかどうでもよくなっています。僕は、この次に何が起こるかというと、コミュニケーションの分断化が始まると思うんです。コミュニティがどんどん細部のコミュニケーションになっていって、見えなくなっていくんじゃないかと。本当に大事な仲間とだけ繋がるネットがメインになってくると思っていて。もちろん一方では承認欲求の塊みたいな人たちは存在すると思うんですけど、どんどん分かれていくんだと思うんですよね。

万琴ママ
:仕事もそうなりますかね?

エリック:そうなってくると思います。企業と企業じゃなくなったんですよ。昔ってコラボレーションって企業と企業だったんです。それが今は人と人なんです。

そう語るエリックさんも、実際、相手が有名企業だから一緒に組んでいるわけではなくて、競合他社に行こうが、フリーになろうが、自分がこの人と組みたい!と思う人と仕事をしていると。そういう時代が来るんじゃないかと。ネットになると、もっと色々な人と知り合えるようになる。そこで期待しているのがAI(エーアイ)だ。

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そして話題は、現在の就職活動の問題点へ。
企業の人間が学生を選ぶという限り、やはり固定概念があるから、たとえば一流大学と聞けば、どんなことを言っても、そうかなと思ってしまう。それは人間がやる限り、学歴以外のパラメーターがないから仕方のないことだ。エリックさんは、AIを使って学歴というパラメーターじゃないもので一次選択をすれば、大きく変わってくるのではないかと。

エリック:僕、一度おもしろいことにチャレンジしたんです。まず企業の人を集めて、集まった学生に対して、企業人たちのタグを全部消したんです。要するに、その人は何者かわからないんです。学生とコミュニケーションをした時のルールは、絶対に会社名を言ってはダメ。業界も言ってはダメ。そうして1、2時間話し合った後に、学生に誰と話したいかということを個別に聞くんです。その後、初めて面接が始まる。

万琴ママ:すごい、それ!おもしろい!

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エリック:でも、めちゃくちゃ評判が悪くて。タグが付いている人は来たがらないので。

これをAIが判断してくれたら、すごく公平ですよね。感情がないところをうまく利用すると、さらにスクリーニングされた人と会えるわけでしょ。そうすると採用も変わってくると思います。アフターコロナでは、企業も余裕がなくなってくる。本当に実力のある人しか採れない中、どうすれば実力のある人を採れるかということが問題となる時代になります。優秀な女性の採用は当たり前に。今まで当たり前のことができていなかったんですよね。

:こうやって分断されると、絶対に必要とされる人材とか、人材像が変わってきますね。そして、コロナ禍にあって、雇用形態を会社側も、雇われている側も自分で選べるようになりましたよね。これはチャンスかな。自分の生き方をもう一度考えられる。今こそ筋トレをして、自分で自分主人公の生き方を考えるいい機会だと思います。

エリック:いつ死ぬかわからない。今回みんなそれを思ったんじゃないかと。もっと自分の人生をちゃんと考えよう!と思えるようになるんじゃないかと。

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リアルとバーチャルが融合する社会で

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ここで配信中に寄せられたコメントを紹介。

・時間がかかる規制緩和や変革が、コロナ騒ぎのおかげで一気に進むのはいいことです。

・家でできる実験。たとえばデジタル治験とか、医師による定期薬の処方などの診察や、薬剤師による内服指導もオンラインでOKの時代が来ましたね。

・ゲストの皆さん、博学ですね。日曜日の深夜番組を見ているみたいです。

・映像がきれいです!

そしてこんな意見も。

人と人が接すれば、媒体が何であれ、リアルというお言葉に共感します。ただ、正面から対峙、対話しているか否かによって、リアル度は大きく異なると思います。たとえば、一方的に相手を攻撃している人にとっては、あくまでも仮想空間で自らは安全。一方、攻撃される方はリアルな現実。リアル空間の関係性は大きく異なると思います。

この意見には全員が「確かに!」と頷いた。

松永さんは、ネットの中で一番嫌いなことは、叩く人を探している人がいる、ということ。その原因のひとつはメディア自体だとも。インターネットメディアは、結局ビューが取れればいい。極端な話、炎上するのが一番。これをやるから悪い投稿がどんどん増えていくと。

後日、ネットで叩かれた若い女性が自死するという痛ましい事件が起こったが、まさにこうしたメディアが招いた悲劇だと、あらためて腹立たしい気持ちになった。

:いいニュースって閲覧数がすごく低いらしいんですよ。

エリック:逆に、いいことをやるビューの人たちが集まればいいと思います。僕らがいくらメディアに抵抗したって無理だから、だったらみんなで、いいことを話し合おうよと。そこまで褒めるか!みたいなグループを作りたいよね。ポジティブな言葉しか使わないと、それが癖になっていくんですよ。
僕は性善説に立っているので、ディスるグループより、褒め合っているグループの方が気持ちがいいはずだって仮説を持っているんです。

豆彦:誰かをディスる人は、その人が満たされていないからなんじゃないですかね。誰かを傷つけることで、満たされているように感じるけど、そういう人ほど、実は寄り添ってあげないといけないのかもしれないですよね。

さらにリモートワークを経験する中で、マスター豆彦さんの意見が続く。

豆彦:リモートワークだと、お互いにある程度ハッキリ言わないと伝わらないと感じています。これって、リアルでも同じで、ありがとうという気持ちをポーズで言うんじゃなくて、美点凝視っていう言葉どおり、いいところを見ようとすることで、相手をリスペクトができる言葉が出てくると思うんです。離れているからこそ、その人がいてくれるありがたさみたいなものを噛み締めて話すと、わかり合えるんだと思うんです。

:僕がこれまで生きてきて、これをやれば仲間が増える!と思ったことがあって…。それは僕自身を、わかりやすく発信することなんです。浄って結局、こういう奴なんだということをわかりやすく発信したら、急に仲間が増えました。
若い頃ってちょっと謎めいている方がかっこよかったりするじゃないですか。でも結局、僕は僕なんですよ。好きなものは好きだし、できないものはできない。そんなふうにわかりやすく生きるということをちゃんと表現する。浄として浄を表現する。それがとても重要だなと思って、そうするようになってから仲間が増えたというか、共感を得てもらえるようになったんです。

エリック:要するに、うその自分についてきている人って合わない人ですから、オープンにしないとダメなんですよね。

:もし悩んでいる人がいたら、自分というものに自信をもって発信していったらいいんじゃないかと思います。そうしてできた本当に信頼できる仲間が何人かいれば、がんばれると思うんです。仲間がいるといいなと思いますよ。

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アフターコロナ・ウィズコロナ

そして最後の質問は、免疫学者である浄さんへの直球。
「対コロナワクチン、どんな動きがありますか?期待できますか?」

:新型コロナウイルスが出てきた時に、世界中で何が起きたかというと、さきほどの上位概念で、これに対して解決しなければいけないと始まりました。実はコロナウイルスの研究者ってめちゃくちゃ少ないんです。
他のウイルス、免疫、微生物って広がっていって、生命科学に関わる人たち全員が何ができるかという流れになり、ものすごい量の論文がものすごいスピードでできたんです。

現在、中国も合わせて、新薬の認証試験が400ぐらい世界中で行われているぐらい世界は繋がっていて、ウイルスに対して動いています。ワクチンの開発は、効果があるか実際に人で見るというのなら、多分来年か再来年だと思うんですが、まずは対処療法として今ある薬が効くかどうかという研究は進んでいて、まもなく出てくると思います。
ニュースでパラパラと耳にすると思いますが、日々いろいろな論文が出ています。最初の武漢のウイルスに関しての情報は、研究者が一気にシーケンスを解析して世界に出すということを積極的にやったので、世界中の人がその情報を元に、また新たな研究ができるようになっています。抗体を作っている人たちもいて、無料で研究用に配りますと言っている沖縄のベンチャー企業もあります。

今回、これが本当にいい例で、世界の課題に対して世界中でいろいろな分野の人たちが解決に取り組むという。これは自分の宣伝でもあるんです。今回のコロナでは、世界のいろいろな課題を解決していく事例が見えたと思うんです。実は海のゴミ問題とか、貧困の問題とかも同じで、誰かが旗振り役になれば、絶対できるんだなと思います。

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エリック:学術の人たちがつながって論文と意見を交換する。インターネットの一番元の目的ってこれですからね。

:研究不正はダメだけど、うそじゃない最新の情報を出せるということは、研究者ができることのひとつで、研究を止めてはいけないというのはそういうことなんですよね。インフラで止めてはいけないところで頑張っている人たちがいて、テレワークしている人たちのご飯を作っている人たちがいて、と考えると、インフラを止めずに新しいことを起こすという世界が、ようやくできるんじゃないかと思いますね。

エリック:メディアも政治の悪口を言うんじゃなくて、そういう人たちにスポットを当てて、こんなに頑張っている人がいるんだよという方が絶対効果があると思うんですよね。


スナックかすがい名古屋店の再開を願いつつ…

あっという間に2時間が過ぎ、20時30分の閉店時間に。
最後にマスター豆彦さんから。

豆彦:コロナ。誰もが今この名前のおかげで滅入ったり、複雑な気持ちになっている中、みんながつながっていることでそれに向けての解決策が生み出されようとしている。それは元々インターネットの持つ力だったのかもしれないけれど、その力が確実に大きくなっていることをお二人から聞けて、すごくいい発見をいただきました。また、こんなときだからこそ、自分をもっと認めてあげていいんだ、というお話も。

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エリック:そうそう、自分を認める。人を気にしない。

豆彦
:誰かを気にしすぎしない一方で、誰かを喜ばせることを自分らしくやれると、次に進んでいけるのかなとも思いました。本当に今日は面白かったです!

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当日の様子を映像で見たい方はこちら

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奇しくも、この原稿を書いている今この瞬間、日本で一日あたりの新型コロナウイルス感染者が過去最多を更新したとのニュースが飛び込んできました。緊急事態宣言が解除され、きっと世の中のすべての人が様子を見ながら、慎重に半歩ずつ前に歩き始めてきたはずなのに。確かに数字だけではない。もっと中身を見て判断を、と言われていますが、やはり数字という一番わかりやすいものを目の前に突きつけられると、どうしても気持ちが落ちてしまいます。これからどうすればいいのか、どうなっていくのか…。

でも、世の中はどんどん変わっていきます。井上さんのお話からも、ウイルスの研究は確実にさらに駆け足で進められていくし、新しい生活様式の中で模索しながらも、「生きる」ということへのモチベーションを上げる、自分なりの智慧を、ひとりひとりが考えて実践しているはず。少なくとも私の周りはそうです。

エリックさんが話してくださった、「自分を認めて人を気にしない」ということを意識すれば、どんな状況でも惑わされることなく、今自分がやるべきことは何か、足下をしっかりと固めていくことに集中していけばいいんだと思えます。そうそう、これが筋トレなんだと。

しっかり筋トレをして、がんばっている自分をちゃんと認めてあげよう。今までで、一番好きな自分、なりたい自分に近づけるかもしれない。あの時間があったからこそ、今の自分があるんだと、いつか自信をもって言える時が来るその日まで、頭も心もそして体もしっかり筋トレしよう!そう思いました。

またいつか、スナックかすがい名古屋店が再開することを願いつつ、そしてこの日食べた、衝撃的に美味しかった海外限定発売の春日井製菓「パイナップルグミ」が日本で発売されることも願いつつ…。


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ビールをご提供くださった人

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この体験記を書いてくださった人

真下 智子さん|Mrs. Satoko Mashimo
フリー編集者・ライター。同志社大学社会学科新聞学専攻卒業。
食品メーカーの社員として、社内報を担当したことからライター業へ。ブライダル、旅行、企業広報誌と紙媒体からウエブまで、幅広い媒体に執筆。心の声を聞き出すインタビューをモットーに、これまで300人以上の人にインタビューを行ってきた。あんこと温泉をこよなく愛する、二児の母。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。satchy@sc.dcns.ne.jp


この体験記の写真を撮ってくださった人

野村 優さん NOMY|Mr. Yu Nomura
昭和54年生まれ。岐阜県出身。人物、商品、建築、料理、映像などを撮影するプロカメラマン。大学でグラフィックデザインを学んだのち、レコード製作/販売会社、オンライン音楽配信会社、ECサイト運営会社を経て独立。野村優写真事務所を開設。2014年7月、「さぁ、みんなでカメラ楽しもう!」をテーマに「撮れる。魅せる。伝わる。カメラ講座」開始。岐阜、名古屋、東京、大阪、神戸ほか全国に展開中。
趣味は、ジャズのレコード収集、DJ、ハーブを使った料理、もうすぐ7歳の息子とカメラ散歩。
素敵、かっこいい、面白い。そう思った時がシャッターチャンス。
その気持ちが写真に写り込むように。
https://www.facebook.com/yu.nomura.92


好奇心旺盛な大人たちが、生ビールとグリーン豆をお供に、気になる人の気になる話を聞いて楽しむ社交場、それが「スナックかすがい」です。いっしょに乾杯しましょう!