【ネタバレ】ナターシャ・ロマノフについて【エンドゲーム】

はじめまして。

今回は映画『アベンジャーズ・エンドゲーム』での、ナターシャの描かれ方を中心に、ナターシャ・ロマノフという一人のヒーローについて考えていきます。どうぞお付き合い下さい。

MCU全体(ドラマ「ホークアイ」まで)のネタバレが含まれますのでご注意下さい。

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 まず、エンドゲームでの流れを大雑把に整理します。
 生き残りチームが『インフィニティ・ウォー』から五年の時を経て徐々に集合し、タイムトラベルという作戦を練っていきます。その後、作戦を実行し、各々担当のインフィニティストーンを集めに行きます。ここでナターシャは死亡することになるのですが、作戦は成功に終わり、デシメーションで消えていた人々がハルクの指パッチンによって復活します。しかし、サノスが襲いに来てしまい、最後の戦いが行われます。(Avengers…Assemble!!のシーンですね。)最終的にアイアンマンことトニーが再び指パッチンをし、サノス軍を消してしまうことでアベンジャーズの勝利となりました。

 と、こういったかんじでしょうか。

 エンドゲームではナターシャとトニーという初代アベンジャーズのメンバー6人のうち、二人も死亡することになります。ここでまず、二人の死のあり方と、その後についてみていきます。

 トニーは”Then I am Iron man.” という言葉を残し、指パッチンをした結果、その衝撃に耐えられず致命傷を負いました。このとき、朦朧としていくなかで、妻のペッパーや数々のアベンジャーズのメンバーが次々に集まって、お別れの言葉を伝えていきます。そしてたくさんの人に囲まれて息を引き取っていきました。

 そして、トニーのお葬式のシーンもしっかりと描かれていました。アベンジャーズのメンバーがたくさん参列していました。

 こうして、トニーの死というものはとても華々しい(語弊がありますが)ものであり、はっきりと鮮やかに描かれています。

 これに対し、ナターシャの死を見ていきます。
 
 ナターシャは宇宙一冷たい惑星ヴォーミアで、ソウルストーンと引き換えに命を落としました。(ソウルストーンとは、愛する者の命と引き換えに得ることができ、作品中ではホークアイことクリントがストーンを手に入れることになりました。)このときのナターシャはサノスによって消し去られてしまった幾多もの人々(この中には彼女の愛する妹エレーナも含まれていました。)を助けることしか念頭になく、彼女の”Whatever it takes.”という台詞からも、彼女はそれを達成するためには命も惜しくない、といった様子でしたよね。
そして最終的にクリントとの攻防戦に勝ち、”It’s okey.”という言葉を残し、崖から落ちていきました。(私にとっては全然okeyではありませんが)

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 そして、ナターシャのお葬式というものは作品中ではどこでも描かれていませんでした。(もしかしたら執り行われているかも知れませんが)そして、遺体はいつまでもあの冷たいヴォーミアの崖の奈落の底で朽ちていくのです。周りには誰もいません。ひとりぼっちでいつまでもあの場所で果てていくのです。

 この二人の死というものは、陽と陰のように、とても対照的な描かれ方をしています。

 次に、『エンドゲーム』全体を通して二人の死を比較して行きます。
 
 ナターシャの死が訪れる、惑星ヴォーミアのシーンは、映画全体でも中盤(具体的には物語が60 %程度進行した時点)で描かれています。ここでナターシャの死ははっきりと描かれ、ここで人々は「ナターシャ…死んでしまった…」と悲しく感じるでしょう。ですが、エンドゲームの物語はここからが本番です。指パッチンをして35億人を取り戻し、クライマックスへとどんどん物語は盛り上がっていくので、ナターシャの死は観客の心にはあまり長く残りません。そしてクライマックスとも言えるアッセンブルのシーンで観客は気づくのです。「ナターシャがいない…」と。

 これ、めちゃくちゃきつくないですか。アベンジャーズが大集合してみんながそれぞれ活躍するシーンにナターシャはいないんです。五年間生き残った人たちと連絡を取り続けてきたのも、トニーなどを説得したのも、スコットの話す作戦をしっかりと理解して率先して実行に移したのもナターシャだったんですよ。思えばトニーをシールドに加入させたのも彼女でした。そんな彼女が、アッセンブルのシーンに、いない。こんなことがあってたまりますか。正直に言って、私はいまでも乗り越えられていません笑(生き返ってほしいわけでは全くありませんが。)

 こんなかんじで、ナターシャの死はあとからじわじわ来る痛みを持つのですね。これはドラマ「ホークアイ」でも同様の描かれ方をしていました。クリントやケイト、エレーナなどの会話を通じてナターシャは間接的に登場し、登場人物も観客も胸が苦しめられる思いをしたとおもいます。

 こういったかたちで、二人の死はとても対照的ですよね。でもこれは二人の性格をとてもはっきりと反映しているものでもあります。
 
 トニーは派手なパーティなどをし、たくさんの人に囲まれてきました。それに対し、ナターシャはスパイとして育ち、映画「ブラックウィドウ」でも描かれていたように人目を忍びひっそりと生きていく人生でした。いわば陽と陰ですね。死に方にまで二人のキャラクターが現れるとはびっくりです。

 長くなりました。
 ナターシャの死はとても悲しく、立ち直り難い出来事ですが、ドラマ「ホークアイ」でクリントも言っていたように頑張って乗り越えていかなくてはなあとおもいます。でもナターシャにもう一度あいたい!

 ここまで読んでくださってありがとうございました。また何か書くかもしれません。



出典:Marvel Studio

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