見出し画像

【心臓の弁の枚数】僧帽弁だけ2枚なのはなぜ?

心臓の弁の解剖のうち、弁の枚数に着目して解説してみます。

まず、心臓の弁の位置を確認してみましょう。

心臓には4つの弁があります。

特徴的なのは、この4つの弁がほぼ同一平面状に配列しているということ。

こんな風に右心房と左心房を取り除くと、こんな感じで4つの弁が一平面上にほぼ配列しているのがわかります。

そして、その位置関係は、右側にあるのが三尖弁、左側にあるのが僧帽弁、そして大動脈弁が真ん中にあって、一番前にあるのが肺動脈弁になります。

右側にある三尖弁は、弁尖が3枚あります。

一方、左側にある僧帽弁の弁尖は2枚ですね。
僧帽弁は2枚からなる二尖弁なんです。
ではなぜ僧帽弁だけ2枚なのかというと、実は僧帽弁ももともとは3枚だったんです。

どういうことかと言いますと、もともと3枚あった弁尖のうち、前側にある前尖と中隔側にある中隔尖の間が消失して、前尖と中隔尖があわせて1枚になったんです。

それで後ろ側の弁と合わせて合計2枚になった、というのが僧帽弁のでき方なんですね。

なので、実は僧帽弁が3枚からなる人も約30%いるんです。
結構多いですよね。

では次に大動脈弁と肺動脈弁を見ていきます。
大動脈弁と肺動脈弁はどちらもそれぞれ3枚の弁尖からなります。
この弁尖は、それぞれ「半月弁」という呼ばれ方もすることがあります。

大動脈弁と肺動脈弁のこの3枚ずつの形は、これらのでき方が関係しているんです。
もともと大動脈と肺動脈の根元は動脈幹と呼ばれる一緒の管が分かれて大動脈と肺動脈になりました。

その過程でもともと動脈幹には前後左右4つの隆起があって、それらがこのように2つに分かれることで、合計6個の隆起になり、それが弁に変わっていった。
なので、それぞれ3枚ずつの弁尖を持っているということになるんです。

最後におまけ的な補足ですが、この大動脈弁と肺動脈弁の弁尖の先端のところは、わずかに結節状になっています。
これを「半月弁結節」といいます。

ここが結節状に、プチッとしっかり固まりをつくっていることで、この真ん中をしっかりと塞ぎます。
血液の漏れ、逆流がないように、真ん中をしっかり封鎖しているんです。

以上、心臓の弁の解剖のうち、弁の枚数に着目して解説してみました。

動画はこちら👇

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?