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悪魔とロリータ_制作秘話

SM Rabbit主催の狐鞭です。
2022年4月15日の22時よりレーベル最新作のボードゲーム「悪魔とロリータ」のクラウドファンディングをCAMPFIREにて現在開催中です。

本日はせっかくなので制作裏話を書き連ねてみようと思います。

焦点としては
・新作ゲーム制作までの流れ
・新作のシステム・フレイバーが出来るまで
・イラスト等のディレクション
をメインにまとめていこうと思います。

お時間ありましたら是非お読みください。

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本レーベルも早いもので活動暦が5年を迎えました。
2017年のストーカーマンションから制作をスタートし、二作目のスーパーアンダーグラウンドアイドルのCFスタートが2020年、
新作「悪魔とロリータ」を合わせても5年で3作と決して制作スピードの早いレーベルではありません。

しかしこの5年間、ほぼ毎日SMRabbitのTwitterは更新され、それをまったく考えてない日はなかったような気がします。

ただ前作「スーパーアンダーグラウンドアイドル」の制作は難産中の難産で、制作と販売が一通り終わってから少し気が抜けてしまったのが正直なところです、今だから言えますが。


私はゲーム制作をする上でいつもテーマを決めています。

一作目のストーカーマンションは「背徳感」
二作目のスーパーアンダーグラウンドアイドルは「下剋上」

しかしこれはあくまでプレイ感の話であって、制作者としてのスタンスの部分では別の目標もありました。
二作目で掲げた目標は「ボードゲーム」を作ること。

それはストーカーマンションを作った時の私には実はない感覚でした。
ストーカーマンションを作った時の私はボドゲ暦も浅く(1年未満)だからが故に、「 狐鞭=きつね無知 」と名乗り、業界へ参入していきました。結果的には思っていた以上の反響があり、ボドゲ業界の暖かさを知ることができました(当初はテーマ的に怒られると思っていた節もありました)

期待以上の反響があった1作目、となると「2作目で失望させたくない!」という気持ちも芽生えます。

たくさんの試作品を制作しては潰し、制作しては潰しを繰り返し、出来上がったのが前作の「スーパーアンダーグラウンドアイドル(ストーカーマンション2)」でした。

よく言えば意欲作、悪く言えばプレッシャーの上で制作したタイトルであります。
もちろんたくさんの試作品の屍の上にできたタイトルなので思い入れはものすごく強いです。
ただ、このスタンスで作り続けていくのは正解なのだろうか、という疑問も生まれました。


気づいてしまったんです。
別に自分は凄くないと。
そりゃそうですよね、当たり前のこと。

もちろん作品制作への責任やクオリティを放棄する訳ではありません。
ただレーベルの流れや見え方などは気にせず「作りたいものを作ろう」という気持ちに素直に立ち戻れたのは2作目があったからだと思います。

ストーカーマンションシリーズからも、今までお世話になったイラストレーターのかぶあや子さんからも一旦離れ、全部ゼロから作ってみよう。それなら今までの2作に共通していた隠匿要素もアイドル要素もぜーーーんぶ置いていこう、そんな気持ちになりました。

もっと言うと「今はあのシステムが流行ってる」みたいな部分も無視しました。

そしていつもフレイバー先行型で制作を行っていたのですが、今作「悪魔とロリータ」ではシステム先行で制作を進めていきました。

システム面において今作には明確に出発点となったゲームが存在します。

それは「花札」です。

もともとライナー・クニツィアの「ロストシティ」、セバスチャン・ポーションの「ジャイプル」、ディルク・ヘンの「ローゼンケーニッヒ」などの2人対戦型のボードゲームがとても好きだったのでいつか2人対戦のボドゲを作りたいなーという気持ちはありました。
ただスタート地点となるゲーム、例えて言うと「このリズムのゲームが作りたい!」と思えるゲームがなかなか無い状態でした。

そんな中でふと久々に花札を遊んだ時に「これだ!」と思い、そこからは制作はスムーズに進んで行きました。

花札のリズムは対面する対戦相手との繰り返しの会話のように気持ちがいいのです。

一方通行で終わっていくゲームよりも、反復の中で見えてくる互いの筋がゲームの流れの中で見えていきます。


麻雀やポーカーの感覚的にも近いかもしれません。

「そういうものが作りたい」

ここまで決まってしまえばあとはシステムの構築とテストプレイの繰り返しです。

また花札にはあまりなく、個人的にはゲーム内に存在させたかった「ジレンマ要素」も組み込むことが出来、約半年ほどで母体となるゲームは完成しました。ジレンマに関しては先述した「ロストシティ」と「ジャイプル」の気持ち良い悩みどころを思い返しながらカード枚数などを調整していきました。

システム制作の中盤からフレイバーの構想も固まり始め「ロリータを集めるゲーム」にすることにしました。

これも花札からの引用です。
「月見で一杯」や「猪鹿蝶」など集めた札で名前のついた役が出来上がり得点が入る。
これをSMRabbitのレーベルカラーに変換すると「ロリータを集めてポイントゲット!」になるのです(倫理観は一旦置いておきます)

ただ「なぜロリータを集めないといけないのか」という疑問は払拭しないとゲームの違和感として存在してします。もちろんそういうゲームがあってもいいとは思います。

ただ、その目的が明確であればあるほど感情は乗ると思うのです。体験としてもより記憶に残るものとなる。

スーパーマリオに「ピーチ姫を助ける」という目的がなければ、ただの横スクロール散歩(たまに出てくる邪魔な栗っぽいやつを潰そう!)になるわけで、そこのデザイン(設計・創意工夫)は個人的にも毎回力を入れるところであり、ゲーム制作で一番楽しんでいるところでもあります。

「なぜ集めるのか」の理由は「牧師のおじさんがロリータたちを自分で立ち上げた宗教に入れたいから」としました。
ただバリバリの宗教感を出すと色んな意味で嫌悪感を抱く方もいらっしゃると思ったのでロリータたちのために作った「ねこ教」と「りぼん教」という可愛いネーミングにしました。キャッチー、ファンタジー、作り物、気持ちよく乗れるバランス。

ここにロリータを狙う第三勢力の「悪魔」と、争いの無意味さを語る「マリア」を登場させれば「悪魔とロリータ」の世界観は完成です。


STORYーーーーー

その街には2人の牧師が住んでいた。
2人は共に幼い女の子が好きだった。

街にはたくさんの女の子たちが住んでいた。
皆まだ何も知らず、何も信じていなかった。

2人の牧師は女の子ために、それぞれ「りぼん教」と「ねこ教」という宗派を立ち上げた。
互いの布教活動は2人の対立も意味していた。

その街には悪魔も度々訪れた。
悪魔はとても魅力的で、女の子たちも興味を持った。
悪魔は女の子と遊び、交わった。

2人の牧師は共に悪魔が嫌いだった。互いに知恵を出し合い悪魔への対抗策として十字架を拵えた。

平和主義者のマリアは女の子たちに対立の無意味さを説いてまわった。
2人の牧師はマリアのことも好きだった。
マリアは牧師たちのことが悪魔と同じくらい嫌いだった。

牧師は自分の理想とする世界の為に今日も女の子を集めてまわる。たくさん集めて自分の世界の構築を進める。

マリアは今日も男の愚かさにため息をつく---------

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イラストは元から大好きだったイラストレーターのシウさんに発注を行いました。
どのタイミングでシウさんを知ったかの記憶は曖昧ですがフェチフェスなどのイベントフライヤーなどだったと思います。
ちなみに前作のスーパーアンダーグラウンドアイドルの「カジノ」と「ガールズバー」のカードイラストもシウさんです。

ディレクションの方法としては上記のストーリーや世界観をお伝えした上で、キャラクターの年齢、性格、カラーリングなどを指示させていただき、あとは丸投げでイラストの完成を待ちました。

結果的に僕の想像を遥かに超える魅力的なロリータたちが誕生しました。

名前を
メアリー(11歳)
ボニー(12歳)
セシリア(13歳)
テレサ(14歳)
ラックス(15歳)

と言います。

イラストレーター様とのこの共同作業が私はたまらなく好きです。
ここまでの作業を共有していることでイラストレータ様の中にも世界観は作られているので大きく軸がズレることはありません。

また、私はゲームを作る上でカード等のデザインは出来上がり次第逐一イラストレーター様に見せるようにしています。
もちろんイラストレーター視点の「プラスのアイデアを頂ける」などもあるのですが、それよりも「一緒に作っている感覚」というものが作品をより良くしていくと信じているからです。

仕事の場合は納期等の問題でその辺りをショートカットせざるをえないこともあるのですが、ボードゲーム制作の場合はこの工程はできる限り丁寧に進めています。
イラストの納期もゲムマ等に合わせて作っている訳では無いので遅れても問題なし、とにかく先述した世界観をイラストレーター様はイラストで、私はデザインで行っていく。形がうっすらと見えてきた木片から何かを削り出すように、少しづつ仕上げていきます。

そうして完成したのが本作「悪魔とロリータ」であり、本レーベルの作品群です。

そう思えば5年で3作は結構頑張っているような気がテキストを打ちながら思えてきました。

もちろん時間をかけることが正解と言っているわけではありません。
それぞれの制作者様や企業様にはゲーム制作の「目的」がそれぞれ存在するからです。


ただ私の場合はその目的が売ることでもゲムマに出展することでもなく「ゲームを作ること」であり「デザインすること」なのです。

「デザイン」したいから「デザイン」する

「創意工夫」したいから「創意工夫」する

気持ちがいいのです。

フレイバーとシステムとイラストとデザインがカチッとハマった瞬間が。

数ミリにズレが気になるのです。

たまにこのパズルを終わらせたく無いと思う瞬間もあります。

でもボードゲームの面白いところはゲームをゲームとして存在させるには「プレイヤー」が必要不可欠なところです。

新作「悪魔とロリータ」がより多くの人(プレイヤー)の手に、目に、心に触れられるように、制作を頑張っていこうと思います。


まだまだコロナ禍ではありますが、ボードゲーム業界は少しづづではありますが元気を取り戻して行っているように感じます。
皆様も体調第一で良きボドゲライフを。


それでは!!(クラファンがんばりまーーーーーす!)

SMRabbit主催
狐鞭


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悪魔とロリータCF(2022年6月12日まで開催中)
https://camp-fire.jp/projects/view/577076


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