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ディープな歓楽街 湯島のゲイバー「ヒステリカ」インタビュー

上野の雑踏をくぐり抜けると現れる、知る人ぞ知る飲み屋街「湯島」。東京都文京区に位置し、学問の神様ー菅原道真が祭られる湯島天神が有名な街。上野駅からも歩いて10分ほどでアクセスも良い。落ち着いた居酒屋や小洒落た料理屋、個性豊かなママたちのいるスナックが揃う、ディープな歓楽街。

湯島と上野を区切る春日通りから1本裏に入ったスナック街の一角にある「ゲイバー ヒステリカ」の漁業組ぎょぎょうくみ あいママ(以下、 あいちゃん)と、かねこさんにお話を聞かせていただきました。

湯島のチャーミングなゲイたち

左がかねこさん、右が愛ちゃん。お店のオープン周年イベント

――ママから自己紹介をお願いします。

愛ちゃん:湯島でゲイバー ヒステリカというお店をやっております、漁業組 愛と申します。ええ、夜の世界に入ってからもう11年目でございます。

――11年!長いですね。

愛ちゃん:そうなのよ。自分でももう11年目なのかと驚きます。途中、緊急事態宣言と蔓延防止条例なんかがあったので余計早く感じますね。

ーー続いて、かねこさんも自己紹介をお願いします。

かねこさん:週末ヒロインやってます、かねこです。平日は普通の会社員をしているので、金曜日と土曜日だけ出勤しています。

――昼間のお仕事もやりながらだと大変そうですね。

愛ちゃん:気狂っちゃうよね~(笑)

かねこさん:……だから気狂ったのかな(笑)

ヒステリカの店内でお話を聞かせていただきました

――こちらのお店はオープンしてからどのくらいですか?

愛ちゃん:7年半ですね。もともとは上野二丁目で同じヒステリカという名前でやっていたんですが、2017年にここ湯島三丁目に移転してきました。

かねこさん:最初はママも愛ちゃんじゃなくて、ラファエルママだったんです。

愛ちゃん:そうそう。私はバイトリーダー。

かねこさん:私はガヤ(笑)

愛ちゃん:移転して2年くらい経ったころに、ラファエルママが引退して、このお店を受け継いでから5年経ちます。

かねこさん:ほんとよく潰れないで今までこれたよね。

愛ちゃん:ほんとに。あなたもよく潰れなかったよね。

かねこさん:低迷気味なときもあって、毎週土曜日が暇な時期がありました。

愛ちゃん:この子、土曜日にお客さんが少ないのは俺のせいかな、俺がいるからかなってネガティブ発動しちゃって。

かねこさん:当時はアタシも若かったし、大きな声を出せばいいと思っていた時代があったんです。「かねこうるさい!」って殴られそうになったことあったよね。

愛ちゃん:今じゃ考えられないけど、仲いい人にはすぐお尻出してたし(笑)

かねこさん:これはよくないなと思って、やめました(笑)

愛ちゃん:湯島に引っ越してから2年くらい経ったころに、この子1回辞めたのよ。卒業パーティーもやって。でも、辞めてからもずっと飲みに来てて、なんなら辞めた後のほうが飲みにきてたよね。

かねこさん:寂しいんだもん。お客さん側の席に座って普通に飲んで、忙しくなったら手伝う、みたいなことやってたんだけど、だんだんやりにくくなってきちゃって。なんとなくまた働き始めることになりました。

愛ちゃん:いつの間にかだよね。5年ぐらい前から本格的に復帰して、それ以降は週末ヒロインやってくれてます。私はずっと変わらずここにいる人です。

左 かねこさん / 右 愛ちゃん
バースデーイベントや周年イベントでは女装をして楽しませてくれます 

――かねこさんから見た、愛ちゃんはどんな人ですか?

愛ちゃん:あら、私休憩タイムね。おトイレいってくるわ。

かねこさん:普段はディスってばっかりいるんだけど、尊敬してる部分もいっぱいあります。オールマイティーな会話のトークスキルとか知識量とか、すごいと思います。団体のお客さんが急に来ても対応できる。でも、いい面を知ってるからこそ、力を出し切れてないときは、もっと出来るじゃん!と、もどかしい気持ちになることも多いんですよね。嫌な部分が見えてきたときは悲しくなるし、イラっとするのが正直なところです。

愛ちゃん:(トイレから帰ってきて)褒め終わった?

かねこさん:くそだよ、本当にただのくそ。公共料金も払えないからね。何度ガス止まったことか。この前彼氏が電気代の支払い忘れてたって文句言ってたけど、同じことしてるから。

愛ちゃん:そうなのよ、玄関開けたら普段は廊下の電気がセンサーでつくんだけど、この前帰ったらつかなくてさ。
アレクサ!電気つけてー。…アレクサー!………アレクサ?ってね。
もうさ、アレクサに無視されたときの寂しさったらないよ、すんごい心細かったんだから。

愛ちゃんバースデーディズニー

ディープな歓楽街ー湯島の魅力

ヒステリカ前の道
大通りから1本裏に入ると一気に増すディープ感

――お店を移転されるとき、なぜ湯島を選ばれたんでしょうか?

愛ちゃん:移転した当時はラファエルママだったので、私の意見は2割だったんですが、色々な物件を見てここに決まりました。同じビルのママさんたちも仲良くしてくれるし、ご近所の飲み屋さんも仲良くしてくださるので、結果的にはここで良かったなと思っています。

――湯島がお好きなんですね。

愛ちゃん:あ!好きー!好きっていうか、住めば都って言葉あるじゃない。それが本当に当てはまっていて、もちろんご近所の仲のいいママさんとか、それこそ湯島三丁目に移転してきてからのお客さんもいっぱいできましたしね。もう大好きです。大好きざます。湯島で良かったと本当に思います。

かねこさん:どちらかと言うと私たち陰キャなので、いかにもな繁華街じゃなくてちょうどいいんだよね。

愛ちゃん:そうそう、しょぼすぎないし明るすぎないし、丁度いいのよ。湯島が好きです。こんなこと初めて言ったわ。

――お二人のおっしゃっている事が良く分かります。街全体が居心地の良い感じがします。

愛ちゃん:目の届く範囲の湯島の治安は私が守ってるからよ。目の届く範囲だけね。私近視だから。

ーー引き続きお願いします(笑)。お二人から見た湯島はどんな街かお聞きしたいです。

愛ちゃん:どんな街かと言われたらね、難しいね。人情味あふれるとかそういう気持ち悪い言葉使いたくないからさ、私。優しいおばちゃんがあふれる街という感じかな。あと、美味しいもんいっぱいあるよ。意外とお洒落なお店もあるし。

かねこさん:なんか穴場っぽい店多いよね。

愛ちゃん:穴場は本当にあるよ、あんた。一個曲がるところ間違えたらね、謎の美味しそうな熟成肉のお店とかあるんだから。

かねこさん:あとは、ここ数年でガールズバーとかコンセプトカフェが増えたね。

愛ちゃん:今日もコスプレしてる子たち立ってたものね。

かねこさん:私もホワイトボード持って行ってこようかな。ちょうど制服着てるし。

愛ちゃん:そうだよ、晒しものになってきな。

かねこさん「制服とショートパンツ貰っちゃった」と突如始まったファッションショー

――いってらっしゃい(笑)。湯島で飲んでいる方たちはどんな人が多いですか?

愛ちゃん:ここのヒステリカが入っているビルはうち以外ほとんどスナックで、湯島自体スナックが多いんですけど、お客さんも良い方が多いし、飲み慣れてる方が多いですね。

かねこさん:たまにね、変なのもいるけど。たまーにね(笑)

愛ちゃん:基本的にはスナックが多いような飲み屋街だからこそ、飲み慣れてる人、変な飲み方しない人が多いかなと思います。湯島はそんなにメジャーな街ではないじゃない。だから、本当に湯島が好きで、湯島にある店が好きで、この辺りで飲んでる人たちが多いのかなというイメージです。

――ヒステリカに来る人たちはどんな方が多いですか?

愛ちゃん:うちの店を狙ってきてる感じの方が多いですね、体感で7割ぐらい。うちに来るために1軒目は他のところで飲んでから来るような感じ。普段からこの辺で飲んでる方も多いですしね。

あとね、うちの看板ピンクでよかったなと思う。昨日もいらしたんだけど、看板が目立ってたから入ってきたという方がいて。他の店の看板と比べると目立つカラーなのよ。それで入ってきたという方も結構います。前のママが看板のデザインをしてくれたんだけど、ピンクでよかったわ本当に。

かねこさん:ピンクの看板ないもんね、この通りで。

愛ちゃん:黒とか紫とか白が多いわね。私は全然ピンクの要素はないけど。

お店の入口:ピンクの看板が目印

初心者でも楽しめるゲイバー

――ヒステリカは初心者向けのゲイバーだなと感じますが、いかがですか?

愛ちゃん:そうですね、完全に初心者向けのゲイバーだと思いますよ。ゲイバーというよりも、スナックで働いてるのがゲイだと思っていただければ。

かねこさん:そうだよね、たまたま”オカマ”しか働いてないという感じです。

愛ちゃん:スナックよりも料金設定としては低くて、90分3000円で飲み放題なので、そういう意味では本当に初心者向けだと思います。そもそも飲み屋というものに行ったことない人にもいいんじゃないか、ぐらいの感覚です。たまに学生とかも来てくれるんですよ。

かねこさん:大学を卒業したばっかりですとか、今年卒業しますとか、若い子もたまに来てくれます。

愛ちゃん:そのたびに小遣いやろうかという気持ちになるわ。お小遣いやるからちょっとおいでって。

かねこさん:具合悪いわぁ。

愛ちゃん:あのー、来たければ、来てください。うちはたまたま”オカマ”しか働いてないスナックですから。

――個人的にゲイバーデビューしたい人にはおすすめなお店だと思っています。

愛ちゃん:来やすい店かなとは思っています。自分からごちゃごちゃ言うと罠はってる蜘蛛みたいになっちゃうからさ。

かねこさん:私たちのプレースタイルも若干違うから、ウケるお客さんの年齢層が違うのも良い所だと思ってますね。

愛ちゃん:そうね、私は下品寄りの言葉は使うけど、行動は下品じゃないはずだから。

――行動的に下品なのはかねこさんですね(笑)

かねこさん:え?全然自覚なかった。やばいやばい、ほんとに自覚なかった。

貴重なお時間ありがとうございました。

編集後記

実は、ヒステリカは筆者の行きつけなのですが、私のゲイバーデビューもこちらのお店でした。イメージしていたゲイバーとは全く違う、「スナックで働いているのがたまたまオネエ」という表現がピッタリ。湯島のディープさと、ゲイバー初心者でも安心なアットホームさを兼ね備えたお店です。

■店舗情報
・名称:ヒステリカ
・住所: 東京都 文京区 湯島3-37-11 TSツインビル2F
・電話:03-5834-3959
・営業時間:20時~翌5時
・定休日:日曜日(公式Xにてご確認ください)
・アクセス:東京メトロ千代田線 湯島駅より徒歩2分、JR御徒町駅・都営大江戸線 上野御徒町駅・東京メトロ銀座線 上野広小路駅から徒歩5分、都営日比谷線 仲御徒町駅から徒歩8分
・公式X:https://twitter.com/histerica_ysm



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