さくらと若葉
裏道
人通りの少ない
その道を行く
車で
歩行者はめったにいない
安全な道
その安全な道は
みんな知ってると見えて
人気がないのだけれども
こどもの通学路になっている
花のような帽子をかぶった
こどもたちが下校してくる
T字路でとまり
右から来る
こどもたちを先に行かせようと
待っている
すると
こどもは幾人も立ち止まり
手を振り
車に先に行けと合図している
歩行者優先なのに
これから下校の道の遊びがあるのか
こどもたちは
どうしても
わたしを先に行かせようとする
わたしは手を振り
笑顔でおじぎをして
通りすぎる
ああ稲荷山に満開の桜が
でも散り初めている
道を譲られたわたしは
ルームミラーから
見える花たちを
眼を細めて見る
さくらの花も
若葉に道を
ゆずる日があるのだろうか?
わたしは若葉じゃないんだけれども…