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ことばすら

樹は話さない
いくらわたしが幹に耳を当てても
わたしに話しかけてはくれない

でもね
わたしがあきらめて帰ろうとすると

樹は話す

風の力を借りて
樹の天辺の枝がさわさわと

振り向いたわたし
ずっと抱き締めていた
樹は
わたしと違って

ことばすら
風に借りないと話すことができなかったのよ