木は約束を持たされて
立っている
植えられたその日から
何百年かけて
どんな天気にも耐え
風や雨に雪に耐えて
いったい何人のひとに
出会えるか
幹を撫でられている大木が
約束を守って律儀に立っている
幹の身体は剥がれかけている
何人にも触られて
まるで数百年という時をひと泳ぎしてきた
魚のように幹は鱗を剥がしてしまっている
時を泳ぐ回遊魚
…今日ね
こどもがおかあさんの
お腹の中のあかちゃんに
触れるように
お腹に触れ
耳を当てて
わたしの様子を伺ったんだよ~
そんな声が木から聴こえた気がして…