見出し画像

悲しみ

ひとの悲しみ
どんなにひとびとが
泣いたとしても
その涙の流れは
一時
あたりに降る
雨の量には及ばない

そしていくら嘆きの声をあげたとしても
あの驟雨の前には
かき消されてしまう

ひとは悲しみということですら
自然の前に無力なのだ

しかし
その悲しみの雨が終わるとき
その悲しみが天に届いた時に

かみは雲間からひかりと
虹をもってして
ひとびとに話しかけてくれる

虹を仰ぎ見る時に
溢れる笑いは

静かだが確かに雨のやんだ
あたりに風のように聴こえてくる