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野薔薇

思考せし野薔薇のような
自我
その思考を続けることは

まるで野薔薇を掴んでそのまま歩くように
皮膚を切り裂き
血を滴らせる

それが棘のような自我をそのまま思考しているがゆえ
点々とある

掴んでいる思考

俺の思いどおりにならなければ意味がないじゃねえか

という棘の羅列

通り通り
思い通り

強く握りしめていればいるほど叶わないとは露知らず

離せば野薔薇を失ってしまうという恐怖

喩えそれが薔薇とは言えない程の代物だったとしても

いつかの同級生の女子のうなじ
いつかの喧嘩とも言えない掴み合いの勝利
いつかの駄々をこねて買ってもらいし玩具

それらが薔薇であったと掴みし執念の自我
それらを掴み続けること
思考し続けることが夢だと

玩具箱をひっくり返し
こんなゴミ
と義父に罵られし憎しみ

自我を続けよ
自我を続けよ

その棘の蔓を持ち思考し続けることが生であると

思いし野薔薇の藪の中

思わず離してしまった両手の平
闇に吸い込まれる棘の鞭
消える薔薇

野薔薇の闇

俺が思うようにしてきたことが結局は

我だけなんだよ
我、我、棘、蛾、自我しか映さない思考

思考しているだけで
傷つくなんて
地獄じゃねえか

掴んでいるものを離せ!!

思考を止めよ
ただ野薔薇のことだけを思い
眼を瞑り
すべてを闇に

考えていないことが自由なんだ

考えていないことが自由なんだ

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