夢を見ていた。 いつか当たり前のようにスーツを着て働き、 モデルとまではいかない綺麗な奥さんと結ばれ、可愛い子友達に囲まれる。 それは決して無理難題ではなく、努力せずとも ある程度は自動的に叶うと考えていた。 定員割れとは言え、公立の高校を出て、 所謂Fランだが大学もストレートで卒業した。 小さな中小企業の内定ももらったが、友人に誘われベンチャー企業に籍を置いた。 学生の頃は気が付かなかったが、私の睡眠サイクルは尋常とは言えないほどにズレていた。 昼夜逆転なんて
『あんたの孫はいくつだったか。』 ざんぎり頭の長身の男が波風も立たない 静かな湖を眺めながら呟いた。 『今年で大学を卒業する頃だったかな。』 答えたのは小太りで白髪混じりの初老の男だ。 『それはあんたが生きていればの話だろ。 お前が七回忌であっちに戻った時には孫を抱いていたと言っていたじゃないか。』 意外と知られていないが、あの世に時間という概念は存在しない。 つまり時は流れない。 人間やその他動植物生あるもの全てには魂が宿り、三途の川を渡るその時には平等に
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