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038 増毛ゴルフ倶楽部と増毛町

札幌から増毛へ

 札幌で開催された「札幌マラソンフェスティバル2021」の会場周辺を視察した後(沿道観戦はしていませんよ。念のため)、レンタカーにて今回の旅のもう一つの目的地の増毛町へ。札幌と増毛の位置関係はこんな感じ。

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 普通に行けば車で大体2時間ちょっと、距離にして約100キロ少しだから、関東で言えば都心から湘南や箱根あたりに日帰りや一泊で遊びにいくような感覚でしょうか。

 ただ、この日は上述の通り札幌市内でマラソンフェスティバルが開催されていたため市内の至るところで交通規制が敷かれていて道路は大渋滞。大会開催の是非については散々ニュースでも取り上げられていたけれど、100人にも満たない参加者に対して770人ものスタッフを配置して、更に市内の交通網を麻痺させてまで「オリンピック」の御旗の下テスト大会を開催することに、さすがのスポーツ産業調査担当の私も首を傾げたくなる気持ちになりました。まあ、現地で様々なら矛盾を身をもって体験できたのは良い経験ではあったと思いますが。。。。

 市内の大渋滞を2時間近くかけてようやく抜け出すと、「オロロンライン」と名付けられた海沿いの道に。ちなみに「オロロン」とはウミガラスの別名らしいです。

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 さっきまでの渋滞が嘘のように道は空いていて、1時間ほど快適にドライブしているととある漁港に釣り人の姿が。

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 話を聞くと、現地で「ガヤ」と呼ばれるエゾメバルが数匹釣れているとのこと。仕掛けはどうやらサビキっぽい感じ。しばらく見学していると1人の釣り人の竿が大きくしなり始めた。結構なサイズの獲物っぽい。ほどなくして上がってきたのは・・・・

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 何と30センチクラスのホッケ!北海道のオカッパリでホッケが釣れるということは話には聞いていたけれど、何の変哲もない港でこんなサイズが普通に釣れるなんて。開きの姿しか生で見たことのない自分にとって、かなり衝撃的な絵でした。

北海道、恐るべし・・・・。

 カルチャーショックを受けながら更に10分ほど車で走り増毛の街へ。今回のお宿「オーベルジュましけ(町内で唯一の宿泊施設らしい)」にチェックインを済ませて、施設内にある温泉(日帰り入浴可)に浸かって夕食の場所を探しに市街地へ。

 何軒かの飲食屋さんがあるらしいのだけれど、何故かこの日はことごとく閉まっていた。ホテルから市街地までは距離にして2キロ弱なんだけど、その間歩いている人と1人も会わなかった。さすがに若干心細くなりました。

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 フラフラと街を歩いているとようやく営業しているお寿司屋「寿し忠」さんを発見、迷わず飛びこむ。

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 先ずは瓶ビールで喉を潤し、刺身をオーダー(写真撮り忘れたけれど、アブラガレイが美味かった)。ビールの次は増毛の酒蔵「国稀」をチョイス。

 仕上げに増毛で採れたアマエビをこれでもか!と乗っけた「エビ丼」を。確かこれで1800円くらいだったかな?非常にお得感は高かったのだけれど、人間そんなにアマエビばかりを大量に食べることはできない、ということを齢52にして初めて知りましたw。ホテルに戻り残った仕事を片付け、軽く晩酌して北海道2日目は無事?終了。

いよいよ増毛ゴルフ倶楽部へ

 2日目は朝イチで増毛町役場の方との面談へ。

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 街の産業や観光業の現状について話を伺いつつ、私が勤務している矢野経済研究所の紹介、スポーツを介した地方創生の事業プランやスポーツワーケーション実証実験の成果や課題などについて情報を共有。
 なーんて書いちゃうとアカデミックなムード漂う実り多き面談のように見えちゃうんだけど、実際には役場の人は「何言ってんのこの人?」的な反応でした。調査会社・シンクタンクの人間が東京からやって来ること自体、多分「歓迎」よりもある種の「警戒」であったり頭の中の「ナゾ」の方が支配的になってしまうんだろうなあと思う。過去にも幾つかの市や町の役場に行ってスポーツツーリズムやワーケーションの構想を話してきたけれど、どこも最初は大体同じような反応。もちろん自分自身のプレゼン能力の低さが主要因ではあるのだけれど、ここでも自治体を切り口としたスポーツ地方創生の「遠き道のり」を実感したのと同時に、それ故の「可能性」も再認識した次第。街の「やる気スイッチ」をどうやって探して、そのボタンをどうやって押すか、的な。

 町役場訪問の後、ついに増毛ゴルフ倶楽部へ。このゴルフ場、以前は上述した増毛の酒蔵「国稀」さんがオーナーだったらしいのだけど、現在は(株)旭川メモリアルカントリークラブさんの系列コースになっているらしい。増毛ゴルフ倶楽部の代表に私がお世話になっている日本ゴルフフィットネス協会の岡森さんが就任されて、その伝手で岡森さんにお願いして取材と視察ラウンドさせて頂いた、という訳。

 ラウンドには同倶楽部の小林さんが同行してくれて、コースの現状や課題、また街全体の現状と課題などについて親切丁寧に教えて頂きました。

 そのあたりは後述するとして、コースの素晴らしい景観を先ずはご覧下さい。

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 この日は尋常ではない海風が吹いていて、同行頂いた小林さんも「こんな風の中でプレーしたことない!」と仰るくらいで、大袈裟ではなく本当にピンフラッグが折れるんじゃないか?というレベル。でも私としては、こんな風の中でプレーできたこと自体ラッキーという気持ちでした。「風の中のゴルフ場」としての価値を活かすことは可能なのではないかと。

 後は何と言っても素晴らしかったのが夕陽の美しさ!プレーが終わった後、陽が沈むまでゴルフ場にいたのですが、高台から見る水平線に沈む夕陽は感動ものでした。「風」とともにゴルフ場から見る「夕陽」も強烈なコンテンツになり得るのではないか?と感じました。夕陽を浴びながらハーフラウンドする「サンセットプレー(決して薄暮と言ってはいけない)」や、最終組がラウンドを終えた後の「夕陽&星空鑑賞&キャンプ」のようなアクティビティを事業化することによる「スキマ時間のマネタイズ」など、様々な可能性を感じた次第。言うまでもなく人口減が進行する地方都市部における「働き手の確保」という課題はあるのだけれど。

 コース自体はスタイミーなホールも幾つかあるものの、フェアウェイは広く初心者でも楽しくラウンドできるのではないか?と感じた(但し風が吹かなければ)。ロケーションは全く違うけれど、茨城の「古河ゴルフリンクス」に近いニオイを感じた。グリーン周りは芝の剥げている箇所も多く、小林さんも「コースの品質を如何にして上げてゆくかが今後の課題」と仰っていたけれど、それが実現されれば道内だけでなく関東からも「わざわざ訪れる価値のあるゴルフ場」になる可能性は十二分にあるのではないか?と感じた。

地元の人たちの「しあわせ」実現

 夕陽を堪能した後は、有難いことに小林さんが夕食に誘ってくれました。初訪問の土地で2日連続のぼっち飯を覚悟していた身としては非常に嬉しかった!最初はおすすめのお寿司屋「まつくら」さんに行こうと言ってくれたのですが、何と魚が無くなったため夜の営業はしないとのことでw、地元の焼肉屋「うしだや」さんに連れて行って頂きました。

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 せっかく東京から来た、ということで海鮮料理も出して頂きました。勿論海鮮も美味かったのですが、お肉も全てハイレベルでトドメに出てきたピザがこれまた絶品!

 美味しい料理に舌鼓を打ちつつ、小林さん、焼肉屋さんのオーナーと「ゴルフ場をハブとした地域活性化」について意見交換。焼肉屋のオーナーも、上述したお寿司屋さんの大将も増毛ゴルフ倶楽部のメンバーらしく、既にゴルフ場をハブとした地元のコミュニティはしっかりしたものができているみたいでした。そこに道内の他地域や道外からの交流人口を導く仕組みをどう構築するか?がこれからの課題と言えますが、特に増毛のような総人口が少ない地域では交流人口を増やしつつ地域住民のベネフィットをどうやって実現するのか?がとても大切なのではないかと感じた。

 こうした思いは自分が初めて2014年の「しまなみサイクリング」第一回大会に参加した時から持っていたもの。「しまなみサイクリング」が自分にとって初めての大々的なスポーツイベントへの参加だったのだけれど、コース沿いの道では老若男女問わず数多くの地域住民の方たちが応援してくれました。その温かい声援が自分にとってとても嬉しく、力になったことを今でも鮮明に覚えている。見知らぬ土地を初めて訪れたのだけれど、地元の方たちに「受け入れられている感」を強く感じたというか。その経験から、スポーツを介した持続的な地方活性化の実現のためには「地域住民の理解と協力」、換言するならば「地域住民もしあわせを実感できる」仕組みの構築が必要不可欠である、というのが変わらぬ考えになっている。

 今回も小林さんや焼肉屋さんのオーナーなど、地域に根を張って生きている人たちとの触れ合いによって、その想いをより一層強くしました。今回の旅で、増毛地区における(地域住民の「しあわせ」にも繋がるような)ゴルフ・スポーツを介した地域活性化プログラムのアイデアが幾つか思い浮かびました。もう少し「交通整理」は必要ですが、近いうちにまとめてみたいと思います。

増毛港の半端ない爆発力を目の当たりに!

 翌日は増毛を立って札幌に帰る日。少し早めにホテルをチェックアウトして、今回の旅のもう一つの目的である「フィッシングツーリズム」の可能性を探るために車で5分ほどの増毛港へ。数多くの車が駐車されている岸壁に行ってみると、そこには衝撃の光景が!!

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 岸壁はまさに「人の入るスキマもない」ほどの人だかり(ちなみにこの日は平日です)。自粛警察系の人が見たら、ソーシャルディスタンスはどうした!とか、密じゃないか!などと怒り出しそうなレベル。

 そして何よりも衝撃的だったのは、ひっきりなしに釣り人の竿がひん曲がり「入れ食い」状態で魚が上がっていたこと。釣れていたのは開きでお馴染みのホッケ。1人のおじさんにお願いしてビクを上げてもらったのですが、中には大量のホッケが!

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 大きなお世話ながら「そんなに釣ってどうするんですか?」的なレベル。もしかしたら、季節柄たまたまホッケが港の中に入ってきただけなのかもしれず、年中こうした光景を見られる訳ではないのかもしれませんが、「釣り」も強力なコンテンツになれることを強く感じました。メチャクチャジャストアイデアですが、釣ったホッケを使って「マイ干物」を作りコンテストを開催する、とか楽しそうだな、と思ったりしつつ増毛の街を後にしました。

 夏の増毛は湿気が少なくカラッとした日が多く、増毛ゴルフ倶楽部も穏やかで今回のようなロケーションとはまた違う趣があるそう。

 また機会があれば訪れてみたい、そう思わせる魅力があるようです。お世話になった皆様、本当に有難うございました!


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