【連載コラム:令和の孤独を考える】

※『市政これでいいの会・西東京 ニュースno.39』に掲載したコラムです。

昨年の大晦日、私は自宅でパートナーと夕食を取りながら紅白歌合戦を視聴していました。X:エックス(旧 Twitter。SNS:ソーシャルネットワークサービスの1つ)では、私たちと同じように紅白歌合戦を観ながら、あの歌手のパフォーマンスがすごいとか、あのアーティストの衣装が面白いなどの感想やコメントが飛び交い、過ごす場所は異なれど、同じ時間を共有しているような一体感や、不思議な「つながり」を感じていました。

元旦。
これまで慣例として行ってきた年賀状のやりとりも形を変え、我が家ではデジタルデータを作成し、それを SNS へ投稿したり、メールや LINE で友人へ送る方法へ変えました。住所や電話番号、さらにはお相手の本名を知らなくても交流したり、議論したり対話し、誕生日やクリスマスなどのお祝い事の際にも、気軽にプレゼントを贈り合うこともできます。

また、元旦に発生した令和 6 年能登半島地震は、新年早々、 多くの人々に悲しみや不安を抱かせる事態になっていますが、地震発生から1日経たぬうちにインターネット募金が始まり、1 月 3 日現在、全国から 50 万人以上の寄付が集まっています。

このように、顔の見える従来の人との繋がりに加え、インターネットサービスを通じて、繋がりやスピード感のある情報を得ることができるようになった現在は、ある面では繋がりや情報、物やお金を集めやすい環境と言えるかもしれません。

しかし、いっぽうで、孤独を感じている人の割合は、10 年前と比べて増加しているという調査結果も出ています。政府が令和 4年に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」によると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は 4.9%でした。これは、平成 22 年に厚生労働省が実施した「国民生活基礎調査」で同様の質問をしたときの 3.5%よりも高い数値です。
また、孤独感が「時々ある」と回答した人割合も 15.8%と、平成 22 年の 11.7%から増加しています。一方で、孤独感が「決してない」と回答した人の割合は 18.4%と、平成 22 年の 25.1%から減少しています。

ではなぜ、孤独を感じている人が増えているのでしょうか。社会的な要因としては、未婚率や単身世帯の増加、高齢化や少子化、地域コミュニティの希薄化などが挙げられます。また、個人的な要因としては、家族や友人との死別や離別、心身の重大なトラブル、人間関係生活困窮などが挙げられるでしょう。時代の変化によって、人と人が交流する方法や距離感なども変化しているように感じます。

そこで、この連載では、様々な視点とテーマで孤独や孤独感について考察していけたらと思います。読者の皆様にとって、人付き合いや孤独を感じる上での一助になれば幸いです。

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