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【連載】新卒ズのぶれぶれ日記 vol.1『米惣動』という騒動

こんにちは。新卒ズの内山です。

vol.1は、私がPM(プロジェクトマネージャー)を担当したプロジェクト「米惣動」について。

「米惣動」とは、これまで倉庫や文化に光をあてる「PASS THE BATON MARKET」や規格外食品などを扱う「パスザバトンの食料品店」ブースを通じて、各地の生産者や食品メーカーと出会ってきたスマイルズが、収穫から1年が過ぎた「古米」に注目した新たな企画です。

今回は、名前しか決まっていなかった企画「米惣動」が、実際に初回開催に至ったまでの舞台裏を、スマイルズ初心者だった私の目線でお届けします!



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企画の立ち上がりは、まるで蜃気楼のよう

入社後すぐの5月。Outlookに新たなスケジュールのメールが入ります。題名には「米騒動」という物騒な文字が。お米をメインとした企画を実行しようというプロジェクトの、初回の会議だそうです。

会議当日。「お米好きな人~~?」という野崎さんの第一声。
野崎さんが、みんなを代表して言いだしっぺの役割を担うと、堰を切ったように、集まったメンバーそれぞれがお米への思いを語りだします。

・お米と言えば、新米があるなら古米もあるね。
・炊き立てのご飯は、ご飯のお供と食べるのがもう最高。
・品種ごとの食べ比べって意外とやったことないけれど気になる。
・最近、土鍋でご飯を炊くようになったんです!炊き方大事。
・しゃもじやお茶碗炊飯器、道具もついでに見たいかも。
・そういえば、米粉パンって意外と美味しいし、アレルギーでも食べられるね。
・一人暮らしで家でお米炊くことが少ない分、外だとご飯をたくさん食べちゃう。
・ちなみに日本酒も大好きよ。

この日のゴールは、具体的な実行計画を立てること以前の、妄想で夢を広げて実現したいシーンを描くこと。それが企画の最も根幹を担うことを全然わかっていなかった私は、蜃気楼のようにつかみどころのないアイデア出しの進め方に驚き、茫然と口をあけていました。

決まったのは、「米」を「惣菜」で動かす「米惣動」という企画名と、古米に着目したらいいかも?というジャストアイデア。私はその後の宿題として、日本の米の需給バランスと古米の関係性をリサーチし、「余っている古米を消費する」という企画が実情にそぐうかどうか確認することにしました。

後日完成した「米惣動」ロゴ


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電車の中で「プロジェクトマネージャー内山」誕生

気づけば暑い夏の日。日本の米のリサーチをひと通り終え、その後の会議で「地域の倉庫に眠った古米(その存在や社会背景を確認済)を、地域の惣菜と一緒に美味しく食べよう!」「入場料制で、お米は食べ放題!」という企画の骨子が見えてきました

米惣動の企画が少しずつ進む中、別のプロジェクトの関西出張で西宮から三ノ宮に向かう電車内で、今日も特注の帽子をかぶって何でも入っているメッシュのポーチを下げた須永さんが切り出します。

「内山さんさ、そろそろ『米惣動は私がやります』って言っちゃいなよ。」

「あ、やります、やらせてください。」

須永さんの「やる」という言葉の意味は、単にプロジェクトメンバーとして参加するというだけの関与ではなくて、PM(プロジェクトマネージャー) としてみんなを引っ張るレベルで「やる」という意味です。

スマイルズでは、プロジェクトアサイン時にはまだ自分の役割が決まりきっていないこともしばしば。進める中で徐々に役割が見えてきて、チームになっていきます。あるプロジェクトでは"切り込み隊長"をしていた人が、別のプロジェクトでは"後方支援"を担当するなど、各人が状況を見て柔軟に立ち位置を調整することも特徴の一つ。

米惣動では、自分の関与の物足りなさを感じ始めていたものの、なかなかPMやりますと言い出しきれず、もぞもぞしていた私自身。そんな時に須永さんの背中プッシュという最後の一撃があったことで、”米惣動PM・内山”が誕生しました。

PMとして、実際に自分が何をどうやってやるのかはまだピンと来ていないながらも、まずはチームの中で一番頑張ってみよう!と思っていました。頑張り方がわからないあまり、パソコンの予測変換が「米騒動」の前に「米惣動」を表示するほど頻繫に文字入力をしている自分に気づいた時に、変な達成感を覚えた記憶があります。

出張先で、もなかを待つ須永さん


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須永さんの背中を追いかける富山出張

引き続き、季節は夏。米農家と米にあうお惣菜の事業者さんを仲間にするべく、須永さんと蓑毛さんと一緒に、歴史上の米騒動発祥の地、富山に来ていました。右手に米惣動の企画書、左手に会社案内を持って、次々と各事業者さんをまわる一日。

でも、ここで難しさに直面します。

初対面で、スマイルズという会社を知らない方々に
・まだこの世に存在せず、不確定事項ばかりの「米惣動」という企画をご説明して
・一緒にイメージを膨らませて共感いただいて参加したいと思っていただく

これらを実現するには、何をどうやって話せばいいのでしょう?

困り果てた私は、まずは誰かのマネをするところからと思い、同行している須永さんのマネできる部分を探すことにしました。ちなみに須永さんは、初対面の人をフラットな関係性で仲間に引き入れるコミュニケーションを最も得意とするタイプ

観察する中で一つ気づいたことが。それは、単に資料化している内容を伝えるだけでは不十分で、初回会議のアイデアブレストの内容を須永さんなりの言葉でブラッシュアップして差し込んでいるのが効果的だということです。そうしてはじめて、「よくわからない部分もあるけれど、なんか面白そうなので、ぜひ一緒に参加させてください。」という事業者さんの関与につながっているようです。

わかったらあとは実践あるのみ!おぼつかない足取りで、私も少しずつ、自ら面識のない事業者さんとお話する実践の場を積んでいったのです……。

富山で入手した食材をテストキッチンで試食


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実行までのカウントダウンの中で、目を血走らせる日々

富山から戻ってすぐ。同時進行で進んでいた会場検討がまとまり、「米惣動」初回の開催日と場所が決定しました。日付は、来る11月12日と13日の土日。「新米の時期に古米の話ができてちょうどいいね」だなんてみんなは言うものの、準備に残された期間は二か月半。

すでに確定しているのは、コンセプトとデザインイメージのみ。具体的に、誰をターゲットに、何の商品をどういう価格で提供して、そのために誰にどう協力いただく必要があるか等々は、まだ一切決まってない状態です。

私のタスクは、大きく2つ。

①全体のスケジュールとタスクの管理
制作物・空間デザイン・飲食物のデザイン・オペレーション構築と多岐にわたるプロジェクトで、気づけば社内のメンバーも10人近くに増えている状態の中、制作物や機材調達のスケジュールを後ろから切っていき、会議のアジェンダを設定し(もうアイデアブレストではなくて、決めるための会議です!)、必要なものを抜け漏れなく準備できるようみなさんとコミュニケーションを取ること。

②商品発注
富山出張やその後の接点でつながった事業者さんに継続的に連絡をして、仕入れの数量・金額・タイミングを調整し、発注書作成から請求書の起票までを行うこと。

初めてやることしかない日々ですが、何も進まないことが一番危険だと察知。気づけば、「がんばったらPMっぽくなれるかな」という悠長な状態を卒業して、「多少間違えてもとにかく前っぽい方へ進む目血走りPM」に変身していました。

会場内部をはじめて視察した日


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迎えた当日、古米とハッピーイエローに包まれて

気づけばもう新米の季節。すなわち、古米を打ち出す米惣動の開催日。

気温も適度で、半分屋外・半分屋内の会場に気持ちのいい風が通る朝。
お米の形のバルーンや、古米の消費量を可視化する「おこめーたー」と、
米惣動のキーカラー黄色が散りばめられた会場。
早朝から米炊きチームが準備を開始して、11時に会場オープン。

普段は気に留めないお米や古米の存在に興味をもってもらえたり、お気に入りのご飯のお供を投票するブースも盛りあがり、富山からはるばる来てくださった事業者さんに喜んでいただけたり。準備不足な部分も多かったですが、臨機応変の極致のようなみなさんの対応でなんとか走りぬけました。


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PMをしたことで得られたものは、意外な3つ

当初はゆるゆると動き出したはずが、いつの間にか全身を使うプロジェクトになっていた米惣動。そんな嵐のような日々の後には、台風一過の青空ならぬ、予想外の実りがありました。意外な3つを紹介します。

1つ目は、心の余裕と、ある種の開き直り。

「あの時の、あの私にとっての」米惣動プロジェクトに比べたら、目の前のプロジェクトが外部案件で難易度が高いものでも、「まだ大丈夫」という心の余裕ができました。米惣動のハードさは、入社後すぐというタイミングもあいまって、全般的なわけわからなさと、やることの多さが、みっちりタッグを組んでいる状態だったこと由来。でもそんな状況を「すべてをコントロールすることはできなくても、なんとか前に進める」のはプロジェクトマネジメントそのものだと、今となっては思っています。

2つ目は、のびのびできる社内環境。

人は危機に瀕した時に本性が出ると言いますが、私の場合は、わかりやすく頭を抱えて、しかめっ面やうめき声をオフィス全体にお届けします。(本当に騒々しくてすみません。)米惣動プロジェクト期間中は度々そんなモードを発動して、助けていただきました。まだ関わったことのなかったメンバーと、私のピンチを機に新たな接点が生まれたり、そもそも感情を垂れ流すタイプなのだと知ってもらえたりしたことが、米惣動以降、社内でのびのび仕事をする下地になっています。

3つ目は、「夢は大きく、一歩目は小さく」の基本指針の体得。

妄想を膨らませるアイデアブレストの際、この企画は将来全国展開できるかも!と夢を広げていました。と同時に、それを形にする一回目で上手くいかないと、夢は幻になってしまうもの。だから、「一回目は、小さくても実行しきって、成功したと思えるようにすることが大事」と野崎さんが100回くらい言っていました。米惣動を経験した今ではその意味がリアルにわかります。新規事業を目指す外部案件のクライアントさんに、視野を広げて遠くを狙いつつ、目の前の最初の一歩を確実に踏み出せるよう同様のお声がけをすることがある中、そこに体感値を持てることがありがたいです。

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去年の米惣動から、もうすぐ一年。獲得した余裕や安心感を覆すほどのプロジェクトがそろそろできるかなと、ドキドキしている昨今です。


▼この記事を書いた人


内山美紀(うちやまみき)| プロジェクトマネージャー
1999年生まれ。東京大学卒。人のしあわせとは何かに興味を持つ。身近な人の病気を機に、医学部の健康総合科学科に進学。面接時に「うちに来ない方がいい」と言われたのが面白くて、2022年にクリエイティブ本部に新卒で入社。入社後は、業界を問わずにプロジェクトに参画。PASS THE BATONのスピンオフイベント「米惣動 Vol.0」ではプロジェクトリーダーを務める。


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