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MOTコレクション 歩く、赴く、移動する (後編)

東京都現代美術館のMOTコレクション展のレポート後編です。
※前編で書いたように、ガイドさんの案内で回っています。本レポートではその一部を取り出して書いています。


移動としての作品 


オラファー・エリアソン 《クリティカルゾーンの記憶(ドイツ-ポーランド-ロシア-中国-日本)no. 1-6》2020



作家のや体を介さず、移動=輸送そのものが記録された、オラファー・エリアソンの作品です。

2020年に東京都現代美術館で開かれた「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」。ここで展示する作品は、SGDsに強い関心を持っていたエリアソン本人の希望で、陸・海路、つまりトラックや鉄道、船といった手段でベルリンから日本へと輸送されたのだそうです。

写真の「クリティカルゾーンの記憶」は、道中の振動や傾きに応じてペン先が紙上を動くドローイング・マシーンを輸送箱に設置することで、約2か月にも及ぶ作品たちの移動の軌道が、抽象的な線描へと置き換えられています。移動そのものが新たな作品になったのですね。

線に、移動の鼓動を感じる

想像/創造の歩みと飛翔

さて、続いては美術家、福田尚代さんの作品です。現代に生きる本を素材としています。

繰り返し読んだ大切な本のページを切り落とし、紙に針を通し、刺繍糸で小さな結び目をいくつも連ねていく

「本」と呼ばれるこの形のものって何だっけ…?という気持ちが湧き出てくる。
自分がいつも手に取ってるものが全然違うものに見えてきてクラっとします。面白い。

小さな苔の地が生まれていた

生誕100年 サム・フランシス

カリフォルニア生まれの抽象表現主義の画家として知られるサム・フランシスの生誕100周年を記念した展示です。

写真じゃ伝わらないんですが、めちゃくちゃ大きいです。

「自分は本当は、飛んだり浮んだりしていたいんだけど、重力というものが自分を縛っているからできない。絵を描くことはそれから解放される唯一の方法だ」、かつて画家はこのような言葉を残しました。

展覧会パンフレットより

大きな大きな作品なので、なんか作品の中に入り込んで、一緒に浮かんだり進んだりしているような気分になる。気持ちいい…!

特集展示 横尾忠則ーー水のように

横尾忠則《20年目のピカソ》2001

横尾忠則さんの作品が40点ほど一気に見られる展示。
横尾さんの作品をまとめてみるのは初めてだったのですが、次、展覧会がある時は必ず行きたい!と思いました。
なんだろう…まず、構図の決まりかたがすごい。
「こうでしかない」と思わせるものかある。
そしてそれが美しいと感じる。
あと、真実味がある。切実さがある。
「分かりたい」と思わせるのは何故なのだろう。

まとめ

いやあ、見所いっぱいでした…!
このコレクション展、次の会期も行こう。
4月6日から開催みたいです!

音声ガイドはよく利用するのですが、今回のように、ガイドさんの案内で回ったのは初めてでした。
作品や作家のバックグラウンドを聴きながら見られるのはよかった。
音声ガイドを使っていても、私はパネルの文字情報をついつい読んじゃう。で、割とそっちに脳内リソース割かれちゃう感じがあったんです。一方、ガイドさんの案内だと、半ば強制的に歩みを進めていくので、パネルはほぼ見ていない。作品にいつもより集中できた気がします。

ガイドさんの案内のあとに自分でもう一周すると、より深く楽しめたなあ。
ガイドさんに感謝です。


そうそう、東京都現代美術館はパンフレットがいつも素敵なんですよね。

チケット代500円でここまでのクオリティ…すごい!

では!

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