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PD Cafeってなに?

初めまして,PD Cafeを運営している小川です.
PD Cafeってなに?と思っている方,全く初めて聞いたよって方へ簡単に説明をしたいと思います.
昨年グランプリをいただいたソーシャルビジネスグランプリ2018のプレゼン資料を使って説明します.

2018年11月に合同会社から株式会社にしました.株式会社Smile Space代表取締役の小川です.理学療法士の資格を持っています.

2011年〜2015年まで国立精神・神経医療研究センター病院に勤めていました.この病院では神経難病という現段階では治らないとされている病気の方に対してリハビリテーションを行なっていました.その中でも,パーキンソン病の方が圧倒的に多く,私もパーキンソン病の方のリハビリを多く経験しました.

パーキンソン病をご存知の方も多いと思いますが,体が動きにくくなっていく病気です.難病の中では患者数が多く日本に約16万人いるとされています.世界を見てみると700万人います.25年後にはこの2倍になると言われている病気です.現段階では根治療法がありません.遺伝子治療等々進んで来ているので根治する病気になる可能性は高いと思っています.難病の中では運動の効果性が高いと言われています.

一般的な高齢によっても動きやすさは徐々に低下していきますが,パーキンソン病はその速度が早いです.しかし,適切な薬物療法と運動によってその速度を緩めることが可能です.なので,パーキンソン病にとって運動がとても大事です.

病院に勤務していた時に,病院でリハビリテーションを受けた人が家に帰って数ヶ月,1年後などにちょっと悪くなって帰ってくる.そういうことをたくさん経験しました.

自分のやっていたことは意味のあることだったのか?そうやって自問自答するようになりました.

そんなある日に,特に予約もなくリハビリ室に以前見ていた患者さんが私を訪ねて来ました.「退院すると一人では運動を続けられません.病院でなんとかならないですか?」
病院でなんとかしたところで,自宅に帰ったらまた同じような流れが出来るのではないのかと思いました.どうしたらこの問題を解決できるんだろうか.そう考える日々が続きます.

ある本を読んでいる中で,この言葉に出会いました.
I am a cancer
I have a cancer
上はその人=ガン
下は私はガンを持っている.つまり,私を見てということです.
あ〜そうか!そうだよなとすごく納得しました.

理学療法士は運動の専門家,患者さんは病気の専門家.この問題を解決するためにはお互いを理解して歩んでいくことが必要.そう思いました.

いてもたってもいられずに,通常の業務を投げ出して当時入院していたパーキンソン病の方を病院の喫茶店に呼び出して作戦会議をしました.
みんなに聞いてみると
「退院すると気軽に運動をする場がないんだ」
あると思っていました.
「医療保険内ではリハビリを続けられないんだ」
医療保険や介護保険で出来ると思っていました.
現実は違いました.医療保険では入院も多く出来ないし,外来は数回で打ち切られる場合が多く,介護保険は重症度が上がって来た段階で受けられます.

これらの問題を解決するために,保険を使わないで運動継続をする場をみんな(私や当事者)で作ろうという話になりました.Parkinson Diseaseの頭文字をとってPD.みんなが来やすい場にするという意味でCafe.
PD Cafeと名付けました.

病院の近くの体育館を借りて2013年からはじめました.最初はこのくらいの人数でやっていました.

徐々に口コミが広がり,たくさんの方が来てくれるようになりました.病院ではないので,パーキンソン病当事者の方々と人と人として接することが出来ました.

そんな中で,この方は司会やCMの声や東京メトロのアナウンスなどをしていて,パーキンソン病になってしまいました.もともとボイストレーナーとして活躍していたので,声も問題になって来てしまうパーキンソン病の方々に自分の経験が活かせないか?そう言ってくれました.
今では,PD Cafeでパーキンソン病でありながらボイストレーナーとして声のトレーニングをして活躍してくれています.

こうして,PD Cafeは強みを活かして主体性を引き出す場へ成長していきます.

話し合いをまとめてくれるのに長けている方も参加してくれ,その方の協力のもと,より良い場を作るためにはどうしたらいいのだろう?という話し合いを参加者を交えてしました.

そして,出来上がって来たプログラムがこちらです.PD Cafeは運動をするだけではなく,コミュニティとしてみなさんが繋がり,主体性を引き出せる場づくりをしています.ただの運動教室ではありません.
コミュニティにするための工夫としてはグループワークや今日の〇〇さんという取り組みをしています.

この方は長年,ストレッチを自分で頑張っていてみんなにも伝えたいということで,運動教室の時に肩甲骨のストレッチを教えてもらっています.今では,自らが主体的に運動教室を開き講師として活躍しています.当事者がその経験を話すことはとても意味のあることです.

40歳以下でパーキンソン病を発症することを若年性パーキンソン病と言います.全体の約10%は若年性という報告もあります.子育て,仕事,家事,様々なことを抱えながら病気を持っています.若年性は若年性の悩みがある.みんなと共有したい!という想いで,若年性パーキンソン病の方が立ち上げてくれました.

このように,お互いが課題を解決して新しいコミュニティを立ち上げるコミュニティへ成長していきました.

従来の運動教室は一方向性のコミュニケーションです.これではコミュニティにはなりません.私たちはコミュニティとするべく双方向のコミュニケーションをしています.

拠点数は2013年は1拠点だったのが,神奈川,山梨,愛知,広島と全国へ広がっています.2019年はさらに神奈川県藤沢市,千葉県千葉市,東京都江東区(予定)と拠点数を増やしています.

PD Cafeの月一回の運動教室にはパーキンソン病の当事者が積極的に関わり,中には運営をしてくれているところもあります.

PD Cafeは当事者が主体的になれるコミュニティ作りを行なっています.

2018年の時に,5年後には47都道府県へと言っています.現在2019年5月なので,あと4年.頑張ります.

私は,社会的な課題に関わらずですが,活動をしていく上で3つの軸が大事と思っています.今回の場合は
運動症状が軽度の制度ではリハビリを続けられないパーキンソン病
×
リハビリ(運動)
×
コミュニティ
という風にしています.この軸が少ないとなんだか弱く,うまくいかない印象があります.

病院から退院して家に帰って病院にまた戻ってくるではなく,自宅に帰った先に適切なコミュニティが存在すれば運動継続が出来,みなさんイキイキと暮らせる社会になるのではないかと思いPD Cafeをやっています.

超高齢化社会は高齢者を若い世代が支えよう!という話をよく聞きますが,人生の大先輩,様々なスキルを持っている方など魅力的な方がたくさんいます.病気になっても,そのスキルは持っているわけで,支えるのではなく,共に問題解決をしながら歩んでいくことが出来るのではないかと思っています.PD Cafeでは支えるのではなく,共に歩んで一緒に素敵な場を作ることを目指しています.

運動教室ではなく,コミュニティ作りを私たちはしています.
パーキンソン病の運動教室なんでしょ?
違います.
強みを活かして主体性を引き出し,みなさんが病気を持っていてもイキイキ暮らせる社会を作るためにコミュニティ作りをしています.

PD Cafeはそんなコミュニティです.

ぜひ,お知り合いやご家族にパーキンソン病の方がいたら
PD Cafeに行ってみてって言ってください.

一人じゃない仲間がいる!

https://pdcafe.jp/

今後,このnoteでは
PD Cafeや他の活動を通して
コミュニティ作りやイベントの運営などの話をしていきたいと思います.

小川順也

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