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10月の音楽レク【雁】

皆さんは「初雁」と言う言葉を知っていますか?

「雁」かり・がん と読みます。
これは渡り鳥です。
毎年10月くらいになると、シベリアから越冬するために日本にやって来る鳥なのだそうです。

「初雁」とは秋になって最初に北方から渡ってきた雁のこと。
雁は秋の季語ですが、万葉集、源氏物語にも登場し、古くから秋を表すものだったのですね。

松尾芭蕉は「雁聞きに 京(みやこ)の秋に おもむかむ」と詠んでいます。

今回のテーマは「雁」にしました。


荒城の月 

土井晩翠作詞 滝廉太郎作曲 明治34年

2番の歌詞に「啼きゆく雁の数みせて」とあります。
あらためてこの曲の素晴らしさを噛みしめました。
かつての歌には季節を感じられるものがたくさんありました。
次の世代に残っていく歌が果たして今の時代にはあるのでしょうか、考えさせられますね。


名月赤城山 

矢島寵児作詞 菊地博作曲 東海林太郎唄 昭和13年

3番に「渡る雁(かり)がね 乱れて啼いて」という歌詞があります。
この歌は国定忠治を主人公とした歌です。
国定忠治は何回も映画化され、旅芝居の演目では大人気でした。

有名な台詞があります。

忠治: 赤城の山も今夜限り、生まれ故郷の国定の村や、縄張りを捨て、国(故郷)を捨て、可愛い子分のてめえ達とも 別れ別れになるかどで(首途)だ。
貞八: そういやあ 何だか 嫌に寂しい気がしやすぜ。
巌鉄: ああ、雁が鳴いて 南の空へ飛んで往かあ!
忠治: 月も西山に傾くようだあ。
貞八: おらあ 明日からどっちへ行こう?
忠治: 心の向くまま 足の向くまま、あても果てしもねえ旅に立つのだ。
巌鉄・貞八: 親分!

この台詞は皆さん、よくご存知です。
このあいだ、あるデイサービスで職員の方3人にお願いし、このシーンを再現しました。
職員の方はノリノリで演じてくださり、利用者の皆さんは大いに笑い、手を叩いて喜んでいました。


赤城の子守歌 

佐藤惣之助作詞 竹岡信幸作曲 東海林太郎唄 昭和9年

この歌も国定忠治の映画の主題歌です。

この2曲を歌い終わると、ある男性が手を上げ、自ら国定忠治について詳しく教えてくれました。
男性が好む題材、歌です。

失語症の男性が、不自由な言葉で何かをしきりに言おうとしています。
よく聞くと「病気になる前は歌が得意で、町ののど自慢でよくこの歌を歌った」と言っているようです。
誰でも過去の輝かしい自分を語るのは嬉しいもの。
その方もきっとそんな自分を思い返していたのでしょう。
その方は、気をよくしてその後の楽器活動では太鼓のソロを堂々と叩いてくれました。


涙の渡り鳥 

西条八十作詞 佐々木俊一作曲 小林千代子唄 昭和8年

「涙の渡り鳥」という映画の主題歌。

「泣くのじゃないよ 泣くじゃないよ 泣いて昨日が 来るじゃなし」という歌詞が個人的には好きです。

「母がよく歌っていました」と思い出を話される方が意外と多いです。


浜千鳥 

鹿島鳴秋作詞 弘田竜太郎作曲 大正12年

千鳥も渡り鳥だそうです。
女性が好む歌です。


湯の町エレジー 

野村俊夫作詞 古賀政男作曲 近江俊郎唄 昭和23年

歌詞に「旅の鳥」とあります。
男性も女性も好きな曲です。
初恋の人を想う気持ちは誰でも共感を呼ぶのではないでしょうか。

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