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音楽レク【西洋の歌に日本語の歌詞がついた曲】

明治維新後、永い間の鎖国を廃止し、西洋の文化が流入してきました。

学校教育にも音楽の時間が必要だということになりましたが、教えようにも教師が音楽を知りません。
そこで井沢修二を中心とした「音楽取調掛」ができ、最初の「唱歌集」ができました。

初期は西洋の曲に日本語の歌詞をつけたものが多く、日本人の作った曲は少なかったのです。

だんだんに日本人による「唱歌」が生まれましたが、ほとんどは作者不詳となっています。

これは当時は著作権という考え方も無く、学校教育で使うということから、作者を明らかにしない方針だったからです。

唱歌は高齢者の方々の記憶に深く刻み込まれています。
認知が重い方も、懐かしいメロディを聞くと、かなり早い段階で脳が活性化し、歌詞を思い出すことができます。
そして歌えば、不穏さや無表情さがなくなり、目に光がともり笑顔が表出します。
これはみなさんも何度も経験していることでしょう。

豊かな和声の音楽はとても美しく、私たちの心に響きます。
心が浄化されていくような感じがします。

今回はそんな清らかな心になっていただこうと
「西洋の曲に日本語の歌詞が付いた曲」のプログラムを作ってみました。

このプログラムが終わった後に「今日は格が上がった」と言った方がいました。
満足されたことと思います。


旅愁 

犬童球渓訳詞 オードウェイ(アメリカ)作曲 明治40年

オードウェイはフォスターと同時期の作曲家です。
ベートーヴェンの第9交響曲が初演された年(1824年)に生まれました。

もう日本の曲かと思われるほど定着している曲ですね。


埴生の宿 

里見義訳詞 ビショップ(イギリス)作曲 明治22年

この曲について興味深い説明があります。こちらをお読みください。

ビショップが生まれたのは1786年、モーツァルトが活躍していた頃です。

私がこの曲でいつもおもいだすのは「ビルマの竪琴」です。

第2次大戦中、戦況があやしくなった状況下で、ビルマを日本兵の一団が国境を目指しています。
食べるものや寝床は現地の人たちの施しを受けていました。

そんな時、彼らはイギリス軍に囲まれてしまいます。
そのことに気づいていない振りをすることが目的で「埴生の宿」を歌うと、思いもよらずイギリス軍からも「Home Sweet Home」の歌が返ってくるのです。

とても感動的な場面です。
音楽には敵も味方もないのです。故郷を思う気持ちも一緒です。


蛍の光 

稲垣千頴訳詞 スコットランド民謡 明治14年

卒業式で歌うほか、お店の閉店時にも使われますね。
お別れの歌です。

2番、「かたみにおもう」は「互みに」、
「さきくとばかり」は「幸くと」と漢字にすると意味が分かりますね。


真白き富士の根 

三角錫子作詞 インガルス(アメリカ)作曲 明治43年

長い間作曲者はガードンということになっていたが、研究の結果、「garden」という名の讃美歌だったということが判明。

インガルスは1764年、アメリカ独立戦争の20年ほど前に生まれました。

この歌詞は、明治43年に起きた、逗子開成中学のボート転覆事故で亡くなった12人の学生を悼んで作られました。


星の界 

杉谷代水作詞 コンヴァース(アイルランド)作曲

コンヴァースが生まれたのは1832年、
安藤広重の東海道五十三次ができた頃、
フランスで7月革命が起きた頃です。

讃美歌「いつくしみ深き」のメロディに杉谷が詩をつけました。

この歌を歌うと、難しい言葉の意味を尋ねられる時があります。
「無窮」=「無限」
「棹させよや」=「棹を使って流れに乗って船を進める」
「窮理」=「物事の道理を追求すること」


ローレライ 

近藤朔風訳詞 ジルヒャー(ドイツ)作曲 明治42年

高齢者の方はこの歌をとてもよく知っていて、そして大好きです。

ジルヒャーは1879年、フランス革命が起きた年に生まれています。

ライン下りを楽しみ、この岩を見たことがある、という方は結構いらっしゃいます。


野ばら 

近藤朔風訳詞
ウェルナー(ドイツ)、シューベルト(オーストリア)作曲 明治42年

ゲーテの「野ばら」にいろいろな作曲家が曲をつけました。
有名なのはウェルナーとシューベルトでしょうか。

高齢者の方にお聞きすると、シューベルトの方が馴染みがありました。

シューベルトは1797年、ウェルナーは1800年に生まれました。


菩提樹 

近藤朔風訳詞 シューベルト作曲 明治42年

ドイツの詩人ウィルヘルム・ミューラの詩にシューベルトが曲をつけました。
歌曲集「冬の旅」の第5曲です。

シューベルトは歌曲王とも言われ、たくさんの歌曲を残しています。

大学時代、グリークラブに所属していた方が、ドイツ語で歌ってくれました。


故郷の空 

大和田建樹訳詞 スコットランド民謡 明治21年

この曲もとても馴染みがあります。
軽快なリズムで、気持ちもウキウキしますね。

一度歌ってからベルの左右奏をしましょう。

楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。

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