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【朗読台本】タンタンコロリン【1人用】

劇所要時間:10分

人数:1人台本

演じていただける際は一度プロフ参照おねがいします

・登場人物
・俺
・男


俺:俺は爺さんの1周忌で、東北の山奥の母親の実家まできていた

俺:そこそこの大きさの日本家屋に今は婆さん1人で住んでいる

俺:一年ぶりにきたが、婆さん一人では大変なのだろう、庭が多少荒れていた

俺:久しく手入れがされていない庭園用の木々の中に、ひと際大きな柿の木が庭のど真ん中にたっている

俺:法事のついでで有給を消化しようと、まとめて1週間の休みをとってきたのだが

俺:3日目くらいですでに手持ち無沙汰になっていた

俺:深夜1時、スマホで動画を観るのも飽きてきたので、近場の手軽な観光スポットを調べていた

ざわざわ ざわざわ

俺:庭にある立派な柿の木が風に揺られて葉を鳴らしている


俺:ふと柿の木の横に人影があることに気付いた

俺:人?人か?シルエットがおかしい

俺:ごつい体の上にアンバランスなほどでかい頭がのっている

俺:非現実的な状況に気付くのが遅れたが世界から音が消えている

俺:葉が擦れる音、虫の鳴き声、生活音一切の音が消えていた

俺:いや、よく聴くと無音だと思った中にボソボソと声が聴こえる

俺:なんて言ってるかよく聴こえない

俺:音に気を取られている間に歪な人影がさっきより大きくなっている

俺:それに気付いて嫌な汗が首を伝う


俺:アンバランスな頭をゆらゆら揺らしながら、それはゆっくりとこちらに近付いてきている

俺:今すぐ逃げ出したいが座りこんだ姿勢のまま体が動かない

俺:ゆっくりと近付いてきたそれは窓をあけて室内に入り込んできた

俺:近づくと異常さがより際立つ

俺:壮年の男性の顔だが異様に大きい

俺:ブツブツと聴こえた声はこの男が発してるもののようだ

俺:異様な顔面を近付けてきてそれがはっきりと聴こえた


男:「し り を な め ろ」


俺:…何を言ってるのか理解できない


男:「し り を な め ろ」


俺:…尻?尻って言ったか?

男:「し り を な め ろ」


俺:はたからみたら吹き出してしまう状況なのかもしれないが、状況が異様すぎて引きつった笑いが張りつくだけだった


男:「し り を な め ろ」


俺:「い、嫌だよ」


男:「し り を な め ろ」


俺:「ふざけんな!!」

俺:内心の恐怖を隠すために声を荒らげる

俺:すると元々赤い色をしていた巨大な顔面が赤黒く変色していく

俺:形相も無表情だったそれから仁王像のような怒りの表情にかわる


男:「し り を な め ろ !」


俺:「うるさい!!消えろよ!!」

俺:するとそいつの口調がかわり「ふざけるな!」「いいからさっさとしろ」「この不敬者が!」と口汚く早口にがなりたてる

俺:くるりとこちらに尻をむけながも激高している

俺:なんなんだこれは…

俺:俺に向かって罵声をあびせながらもジリジリと近付いてくる

俺:「ふざけんな!!近付いてくんじゃねえよ!」

男:「早 く し な い と○○○○!!」

俺:パニック状態で男が何を言ってるか耳に入ってこない

俺:「くんな!、くんなよ!!」

俺:視界が男の尻で埋め尽くされる

俺:「ふざけんなよ!なんなんだよ!」

ズズッ

俺:飲み込まれるような感覚とともに視界が、音が、そしてそのまま意識もブラックアウトしていく




十数年後

住む人のいなくなった古い家屋の取り壊しがはじまった

庭の柿の木が伐採されたのだが、木の中から大量の人骨がでてきて村が一時期騒然となったそうだ


東北の完全にギャグ妖怪のたんたんころりんをしっかりホラーで書いてみるというお題でした


ホラーに…なってましたでしょうか???

実際のお話が気になる方はWIKIに載ってるのでしらべてみてください

そのままではホラーは無理かと思ったので、いうことを聞かなかったらたんたんころりんに飲み込まれてしまう!という設定にしました

飲み込まれるのは尻になんですが。

お手に取ってくださった方ありがとうございました!

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