過保護な京王線

「京王線は過保護だ」
僕の持論である。

車内アナウンス。

「この列車の空調は現在、換気と暖房を使用しておりますが、この先の混雑状況により、空調を変える事がありますので、あらかじめ御承知おき下さい」

「次は千歳烏山です。千歳烏山では、区間急行と急行に乗り換える事ができます。この電車は八幡山でこの2本の列車の通過待ちをします。区間急行と急行は混雑して到着しますので、時間に余裕のあるお客さまはこのままこの電車にお乗り下さい」

「この電車は八幡山で区間急行と急行の通過待ちをします。通常の時間帯の場合、暖房効果を高める為、4つのドアのうち、3つのドアを閉めますが、ラッシュ時で乗り降りするお客様も多い為、全てのドアを閉めません。暖房をより強く致しますので、お客様の御理解を頂ければと思います」

「この電車は混雑の為、新宿到着が30秒遅れました。お急ぎの皆さまには御迷惑をおかけします。申し訳ありませんでした」

等々。

「何と過保護だ!」

なおかつ、英語でのアナウンスがあり、中国語・韓国語での表示がある。

関西に戻って、「阪急電車」に乗ってみると、どれだけ車内アナウンスが少ないか分かる。「阪急電車」は今は復活しているが、かつて「優先座席」の無い時代があった。
つまり、全座席が「優先座席」という事だ。これは「自己責任」で行動を起こせという事なのだろう。

ヨーロッパの鉄道に乗っていて驚いたのは、発車ベルも車内アナウンスも全く無い事。発車時刻に間に合う様に座席に座るのも自己責任。次の駅で降りるかどうかの判断も自己責任。

ヨーロッパでは駅に改札が無い。日本の様に自動改札機があるのは、僕が行った都市では、ロンドン・パリ・ブエノスアイレスの地下鉄くらいだろう。

そもそも、列車が多少遅れても車内アナウンスは無いし、乗客も気にしない。もちろん、日本と運転本数も違うのだろうが・・・

「過保護な京王線」

乗客からのクレームが怖いという理由もあるのかも知れない。それにしても、延々と牛のよだれの様に流れ続ける車内アナウンスは、車内で静かに本を読んでいる僕にとっては邪魔でしか無い。

「日本人の性悪説」「日本人の完璧主義」「日本人のことなかれ主義」が「過保護な京王線」を産み出した事は間違いない。

少し話は変わるが、ゴールデンウィーク頃までにコロナを「五類」にという論議が行われている。

世界中のほぼ全ての国の人々が「マスクを外している状況」の中、日本人は周りを見て、「マスクを外すタイミング」を伺っているのかも知れない。日本人が「自己責任」を持ってタイミングを逃さない事を祈るばかりの今日この頃。

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