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東京ラッキーホール

「東京ラッキーホール」をご存知だろうか?



深夜のワイドショー「11PM」の「風俗最前線」というコーナーのディレクターをやっていた時、取材に行った。場所は新宿・歌舞伎町。

女の子と遊ぶ「ファッションヘルス」が一階にあるビルの五階にその風俗はあった。「現実の女の子」と遊ぶ「ファッションヘルス」の料金は取材当時60分11,000円。

エレベーターの無いビル。五階まで階段を息を切らしながら上がって行く。

階段の途中には、「各鉄道の終電時刻表」が貼ってある。

「東京ラッキーホール」に来るお客さんは安い料金で手軽に楽しめて、基本、終電までに帰りたいサラリーマンや学生が多いのだろう。

五階にたどり着き、受付を済ます。
「お客様、一名様ご来店!」
受付にいた男性店員が濁声で奥に伝える。

待合室には、読み古された「少年マガジン」や「少年サンデー」が山積みになっている。

店内は薄暗い。少しピンク色の照明が漫画を読んで待つお客の顔を照らしている。

「お待たせしました。どうぞ中にお入り下さい」
と先程の濁声が言う。

「東京ラッキーホール」は三面ベニヤ板張りの簡易電話ボックスの様なものが三つくらい並んでいて、客は中に入って後ろ手にカーテンを閉める。

中森明菜のポスターが貼ってある
「東京ラッキーホール」の個室内部



目の前の壁には、「中森明菜」や「松田聖子」のポスターが貼ってある。待合室から、より一層暗くなったボックス内。

ちょうど男性客の「もの」の位置に「穴」が一つ開いており、ベニヤ板の向こうから一条の光が差し込んでいた。

「東京ラッキーホール」の料金は「一回2000円」。一階の「ファッションヘルス」とは料金体系が違う。

客は正面の壁上部にとり付けられた「金属製の手すり」を両手を拡げて持ち、両足を目一杯開いて、横顔を「中森明菜」や「松田聖子」に押し付ける。そして、「もの」を「穴」から出す様に微調整。

「東京ラッキーホール」
壁の向こうのゴールドフィンガーを持つおばちゃん



「穴」の向こうでは、それを誰かが手で包んでくれるのである。

一回すればプレイは終了。

このボックスを取材で撮影。ベニヤ板の継ぎ目にたくさんのタバコの吸い殻があった。

店の人に訊くと、興奮してすぐ「イッテ」しまわない様に、タバコを吸って我慢するお客さんが残した跡なのだそうだ。

取材なので、「穴」の開いたベニア板の裏側も見せてもらった。

受けとめるアルミホイルを敷いた受け皿が各ボックス毎に設けられていた。

お店の人曰く、「ゴールドフィンガーを持ったおばちゃん」がおり、その人の手にかかると誰でもすぐイッテしまうそうだ。

イッタら、「おばちゃん」がベニヤ板を「コンコン!」と叩き、それを合図にして、客は「もの」を穴から引っ込める。

向こう側に誰がいるのかもしれない「穴」に大事な「もの」を入れるのは怖くないのだろうか。もしかしたら、「穴」の向こう側には「ゴールドフィンガーを持つおっちゃん」がいるかも知れないのに。

お客さんは、「中森明菜」や「松田聖子」との事を思い浮かべながら、思い出し笑いをし、スキップ。スッキリした気持ちで帰宅の途につくのだろう。

僕は取材していて、何故か明るい気持ちになった。

「東京ラッキーホール」、今は無き、偉大なる「風俗」よ・・・

※「下ネタ」が嫌いな皆さん、ゴメンナサイ。どうしても、「東京ラッキーホール」の事、書きたかったもので。

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