見出し画像

6年生を送る会で6担が号泣した話

つい先日、6年生を送る会があった。
終わってから、6年生の担任の先生が私にこう言った。
「発表見てて涙止まらなくて、でも拭いたらバレるから垂れ流しにしてたんだ笑」

いやいや始まった6年生を送る会練習。

1ヶ月前、私は6年生を送る会の学年出し物を企画することになった。
私の担当する学年は、6年生との繋がりが、これといってない。
しかも学校一、荒れている学年。

こんなことなら、学年の子供達がもつ「エネルギー」をうまく使うしかない、
そう思った。

ネタ&替え歌+ダンスの発表にした。セリフはゼロ。
(もちろんネタや替え歌の中に感謝や励ましの言葉はある)

学年の発表シナリオは考えたものの、なぜか学年発表運営まですることに。
学年練習がスタートしても、子どもたちは、振りが小さいわ、声が小さいわ、表情が暗いわで、
こんな発表、6年生の子供達が見て喜ぶだろうか、と不安と焦りでいっぱいだった。

しまいには、毎日の休み時間練習がきついから、と、6年生を送る会の出し物リーダーは辞めていく始末。

表情が暗いので、練習中に「笑って!」と言えば、「ガハハハ!!!!」とふざけて笑う子供達。

「先生が伝えたかったことはそういうことじゃない」と叱れば「笑って、って言ったじゃん」と言われる。


全校が見る中で、やる気のない子供達がふにゃふにゃとこんにゃくのように動く、
ズタボロな学年の子どもたちの有り様を突きつける見せ物の会になるんじゃないかと思った。


子供達から何を言われても、やってくれなくても、思いは伝え続けた。

そこから、毎日、子供達に思いを伝え続けた。
「表情や、目線や、姿勢や、声で、6年生への感謝の気持ちを伝えよう」

どんなにふざける子供がいても、やろうとしない子供がいても、
どこが良くないか、どうして欲しいか、伝え続けた。

練習中に紙飛行機を飛ばす子もいた。
練習している子供たちの合間を縫って鬼ごっこをする子もいた。

噴火しそうな怒りを抑えて(いや、爆発していたかもしれないが)
ダメなことはダメなんだと叱った。

1日、1日、少しずつではあるが、だんだん動きが揃ってきた。声が出てきた。
「6年生を送る会」への目的意識も出てきたのか、練習に真剣に取り組もうとする子も増えてきた。

子供たちに私の思いが伝わったかは分からないが、本番、
子供達は動きを揃えて発表した。
できる限り大きな声を出して発表した。

この子達にしては100点だ。
なんとか、事故なく終わったなあ、と安堵した。


感動するとこって、そこ!?!?

放課後、6年生の担任に呼び止められた。

「学年の子供達の発表、よかったよ。」

わざわざ、どの学年にも声を掛けて回っているんだな。
そう思い、にこっと笑って「ありがとうございます」と軽く返した。


「唯一、学年からの発表で泣いちゃったよ」
その先生が耳元でそっと話してくれた。

え!?!?!?!?こんなネタ路線の、やんちゃ学年の発表がですか!?!?

オーバーリアクションにも程があるレベルの声の大きさで、反射的に聞き返してしまった。

「自分でも、なんで泣けてきたのか分からなかったけど、一生懸命練習したんだなあって伝わってきたんだよね。」

しかも、よくよく話を聞くと、その先生が感動したタイミングは、
ネタの決め台詞でもなんでもなく、

結構序盤の「僕たち、◯年生です!」の決めポーズで、グサっと心を抉られたらしい。(笑)
その先生にトドメを刺した(涙腺を崩壊させた)のは、子供たちのハートの決めポーズ。


もっと真剣な内容の発表にすれば良かったかなあ、と悩んだこともあった。
こんな荒れ荒れの学年の子供達がまともに6年生に思いを伝えられるのか、不安で泣いた日もあった。

でも、学年の子供達はやりきってくれた。
そして、一人の先生に、いや、きっと多くの6年生の子供達に、その思いは届いた。

大事なのは、「形」だけでなく、「言葉」だけでなく、
そこに「想いがあるか」なんだ。
そう強く思った瞬間だった。

想いが届くって、こんなに嬉しいことなんだ。
6担のほころんだ笑顔を見ながら、しみじみと感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?