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感音性難聴-1

35歳の誕生日月の夜に、水の中にいるようなキラキラした音が聞こえはじめた。その夜は雨が降っていて雨の音と同期したがっているようなその音を聞きながら眠りについて。
朝も鳴りやまないその音に危険に感じて、近所の耳鼻科へ。

聴力低下もないし、心配はないと言われて音がうるさくて眠れないと訴える私に睡眠薬を処方した医師。

私はもう20年以上、医師のそばで仕事をしているので
医師に対する漠然とした不信感があります。笑っちゃうけど。

結局は、その3日後に別の聴力研究所という耳鼻科へ。

検査の結果、やっぱり聴力は低下していてそこからリンデロンという薬を飲み始めた。だけど、もう手遅れじゃないか?自分は突発性難聴だったのではないか?という不安いっぱい。主治医は「きっと突発性難聴だったと思うし、薬の開始が遅くなって後遺症としてその耳鳴りは一生の付き合いになるかもしれない」と私に言いました。

それから先生は24時間鳴り続ける私の耳鳴りに対していつも優しい。

35歳から40歳まではその耳鳴りに対して、あきらめるというか
忘れる努力をずっとしていたけれど、去年になって耳鳴りは暴力的な音になったので最近は3ヶ月に一度は受診している。
また突発性難聴になったんじゃないかと仕事中に思って
震えが止まらない状態で先生の前に座った私に対して

「どうして長らく受診しなかったの?」と先生。

「来ても治らないし、忘れたかったからです」と言った私に

「不安で不安で耐えながら過ごすよりも、定期的に受診して検査して変化がないことを確認する方がいいと思うし、健康的だと思うよ。結局は不安がさまざまなほかの事を掘り起こしてしまう。これからは何もなくても3ヶ月に一度は来なさい。」と。
正直、3ヶ月に一度受診することはイヤだけれど、もしもまた重大なことになったときに過去の検査歴が役に立つと思うから。

「もう二度と耳鳴りは止まらないんですか?そのうち両耳になって、最終的には聴力を失うんですか?」初めのころ、何度もそう聞く私に対して
先生は「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ほかの病気もそうであるようにいつどんな経過をたどるのかは分からないんだよ。」と何度も言い聞かせた。もう完全に精神科の域だと思う。
もしもその辺の耳鼻科へ行っていたら「耳鳴りは治りません。不安神経症は心療内科へ紹介します。」と言われただろうと思う。

誰と話しても耳鳴りという症状は皆が経験しているもの。
ただ、その音が24時間365日鳴りっぱなしでうるさいことを想像してみてほしい。死にたくなるといえば大げさだと笑うかもしれないけれど、
本当に耳鳴りで自殺する人もいる。
精神安定剤を飲んでもどんな煩い場所へ身をおいてもその音は聞こえてくる。逃げることは出来ない。その事実を正面から受け止めたら
「そうか解放されるのは眠っているときだけだな。24時間眠っていても楽しいことなんてないし、どうしようもないんだな。」という事に行きつく。

完治がない病気って人を追い詰めます。

悲しいけれど。

今は、何とか頑張っている。



















































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