In the bookstore

SPBS本店での新しい試み、In the bookstoreの初回イベントに行ってきた。観客40人の小さなライブ。ゲストはMIZ。
19:15開場、19:30開演。整理番号順とはいえ自由席なのに、開場時間にはまだ半分も埋まってなかった。ゲストがやってきても、案内をゆるゆると続ける運営の方。ライブに来たというより講演会に来たという雰囲気で微笑ましかった。
MIZは奇奇怪怪を通じて知った。そのとき進めている活動によって、「MIZの玉置周啓です」ということもあれば「MONO NO AWAREの玉置周啓です」ということもあって、いま思えばそう難しいことではないのだけど当初は混乱して、この人は結局何の何なんだ?と思っていた。
それで玉置さんの人となりはなんとなく知っていて、というかすでにだいぶ好きになっている状態で初めてのライブに臨んだのだけど、昨日は私にとっては加藤正順さんの日だった。
写真を見てもらえればわかると思うけど、本当に演者と客席が近いセッティングだったんです。目の前に玉置さん。まっすぐ向けば完全に目が合う位置で、こちらが緊張してしまうぐらい。ずっと目を伏せて歌っている。下ばかり向いているから声が出ないのか、と途中自分で気づいたように語っていたけど結局最後まで床を眺めていた。そこにいづらそうに。
一方で加藤さんの緊張感のなさ、穏やかさ、温かさ、安心感。玉置さんに向ける柔らかな笑顔。なんなんですかあの方は。一曲目で目があったように感じたのだけどその瞬間からもう心奪われてしまった。そしてその気の広さみたいなものが音に出ていて、聴いていてとっても気持ちよかった。おおらかな背景の中で、玉置さんの繊細さが美しく響く。

本屋さんのイベントということで、おふたりが選書した本が売られていて、私はいがらしみきおさんの『IMONを創る』、伊藤紺さんの『気がする朝』、それから『フランシス・ベーコンインタビュー』を買った。
同行してもらった初対面の方が、このフランシス・ベーコンのインタビュー集が好きで何度も読み返したと言っていた。
詳細には書けないけれど昨晩はほかにもいろなセレンディピティが起きていて、こういう夜があるからまあ生きていてもいいよなと思う。生きていてよかったとも特に思わないけれど、生きていることの面倒くささを束の間忘れられる。セレンディピティも同じ因果のなかにあるのだけどね。

振り返ってみれば、SPBSのイベント『やさしいはつくれる?』は2022-2023における私の転機だった。SPBSにはだいぶ救われている。お礼に今後も本をたんまり買おう。
新卒で2年間本屋さんに勤めて、本屋さんになりたいという気持ちは萎えた気でいたけれど、SPBSの活動を見ていると楽しそうだなあと思う。中途採用やってるかな。

足を伸ばせばぶつかりそうな距離で音楽が生まれてた

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