灯台のぼる記 #15 鍋島灯台
見た目はいわゆる「ブラントン灯台」。
※ブラントンとは、明治期にお雇い外国人として来日し、開国間もない日本の黎明期の灯台を数多く設計・指揮した偉人、リチャード・ヘンリー・ブラントンのこと
でも、なんとなく気になるのが、その光り方。
「赤緑互光」。
灯台といえばたいていは白色や黄色の光を放つイメージなのですが、こいつに関してはクリスマスカラーなんです。
とはいえ、赤と緑の互い違いの光を放つ灯台というのは別に珍しいものではありません。
たとえば、熱海市にある初島灯台。
それから、ホテルのベランダに建つ「神戸メリケンパークオリエンタルホテル灯台」。
これらの灯台では、表と裏の2方向にそれぞれ赤と緑のフィルムが貼られていて、その光源を回転させることで互い違いの光を放っています。
船から見ると、赤い光と緑の光が交互に見えるわけですね。
今回訪れる鍋島灯台も同じようなものかと思っていましたところ、ちょっと様子がちがいました。
百聞は一見に如かず、見ていただきたいこの光。
めっちゃ美しくないですか?
赤と緑の光が同時に見えています。
鍋島灯台の灯器は、全方向に対して光を放つ「不動フレネルレンズ」というもの。
おそらく、このレンズの周りに半分赤・半分緑のかぶせ物をして、それをぐるぐると回転させているみたいなのです。(レンズごとまわしているのか、周りのかぶせ物だけまわしているのかはわからないけど)
赤と緑が絡み合ってサイケな印象を与える光。
32秒で1周して、周りにちょっぴり淫靡なムードを漂わせます。
私がここを訪れたのは5月のある日の午前3時ごろ。
瀬戸内海の暖かさのせいか、もわっと霧が立ち込めて、灯台の玻璃板もびっしりと結露していました。
それがまた光を拡散して、なんとも幻想的。
赤も緑も同時に見えちゃっているもんで、はたして船から見た時にちゃんと灯台の役目を果たしてるんかな、と不安にならなくもないです。
が、美しいならOKです。
やがて朝が訪れまして。
照度センサーで自動点灯・消灯する灯台。
太陽の光が当たれば、このムーディーな光ともお別れです。
ひとけのない夜の間だけ、ひとときの舞踏会のようでした。
そんな素敵な鍋島灯台、瀬戸中央自動車道の与島PAから、徒歩10分ほどで訪れることができます。
ただし、夜中は道が真っ暗なので、懐中電灯(と自衛対策)はお忘れなく…。
2023.5.20
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