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24時間100kmウォーク(9)+Tips

10月末、秋も深まる頃である。夜明け前は非常に冷える。しかし、リズム良く歩いていると寒さは感じない。川崎から築地までを歩くのはトレーニングも含め5回目だ。

川崎稲毛神社から最後の第3チェックポイントまでは8km。ここまでくると8kmがわずかな距離に思えてくる。

六郷橋を越えしばらく国道を歩くと大森警察署が現れる。さらに進むとしながわ水族館の入り口がある。でも暗いとわからず通り過ぎてしまう。もうしばらく行くといよいよ首都高鈴ヶ森の出入り口が見えてくる。そして、江戸時代には刑場だった鈴ヶ森刑場跡に着く。心霊スポットとして有名だけれど、この大会では何も気にならない。霊気も感じない。刑場跡を通りその先が第3チェックポイントだ。この第3チェックポイント鈴ヶ森道路児童遊園には救護室が設けられている。ケガの応急処置や鍼を打ってくれる。前回は各チェックポイントに救護室があったと思う。今回は新型コロナを鑑みてのことだろうここの1箇所であった。

ここでも15分ほど休み、最後の11kmへ突入。明け方になるとさらに冷える。東海道と京浜急行が並走する。歩道が狭い。立会川、鮫洲、青物横丁と京急線の各駅を横目に見ながら進んでいく。北品川を過ぎるとまさしく線路の脇を通る。東京では毎朝NHK朝のニュースで7:55に映る品川の景色だ。もう夜は開けた。日曜日早朝の品川駅高輪口前を通り過ぎる。人はまばらだ。さらに進むと左は泉岳寺、右はできたばかりの高輪ゲートウェイ駅が見える。この周辺はこれから開発されるのだろう。

この辺りから3、4人の集団となる。田町駅前を過ぎ芝5丁目を日比谷通りにそれる。NEC本社が聳える。戸板女子短期大学を過ぎ首都高と交差する芝園橋を過ぎると芝公園。その先には東京タワーと芝増上寺の饗宴だ。綺麗だ。ワーカーもみんな写真をパチリ。最高の写真スポットだ。

美しい街路樹をくぐり抜けると御成門。ここから左手には愛宕グリーンヒルズが見える。高くて上部が丸くなったような形のビル。印象的だ。芝郵便局を左手に見て進むとかつてはマッカーサー通りと言われた新虎通り。かつて道路とは見違えるほど綺麗になった。素敵なカフェなども立ち並ぶ。一方、筆者の疲れは身体中に行き渡る。ストライドが伸びない。信号が多いため止まったり、歩いたり。前にも述べた通り屈伸をするのが大変だ。足を曲げる時の膝裏の痛みがすごい。幸運にもお腹の状態は落ち着いている。行けそうだ。

西新橋のビジネス街を過ぎると日比谷公園前を通過。右手の日比谷ミッドタウン、帝国ホテルを過ぎる。筋向かいに皇居が見える日比谷の交差点を右に曲がるともうすぐゴール。数寄屋橋交差点、銀座4丁目の交差点を過ぎる。銀座だ。休日には多くの人でごった返している。さすがに日曜日の朝7時前には人も少ない。

三原橋交差点付近は東銀座、歌舞伎座が左手に見える。万年橋を渡り築地本願寺がある築地4丁目交差点に来ると係の人が立っていた。「お疲れ様です。右に行って500mでゴールです。」と言ってくれる。ワーカーは皆「ありがとうございます。」と返している。この時間帯を歩いているワーカーは足取りはしっかりしている。しかし、この後到着するワーカーたちは最後の力を振り絞って歩く場所になる。

国立がんセンター前を過ぎると筆者の妻が待っていた。妻が「お帰りー。大丈夫だね。」と筆者の姿を見て言う。「うん、今回はちょっとピッチ上げたから大変だったけど。」と言葉を交わした。まもなく築地浜離宮ビルに到着。階段を登るとゴールテープ。係の皆さんが「おめでとうございます。」と言って拍手で迎えられる。

やったー、完歩!10月31日午前7:00ちょうどのゴール。小田原城から東京築地浜離宮ビルまで100kmを21時間00分で歩き切った。ゴール証と記念のサーモスのステンレスボトルをもらうことができた。

念の為、トイレへ。やはり、水が出た。やはり体調までも変化かせてしまうロングウォークだ。

前回までは更衣室で着替えて帰れたが、新型コロナ感染対策で今回は更衣室はなし。そのまま、築地場外市場で妻と朝食をとることにした。歩いていると、反対側の道をウォーカーが続々と帰ってくるのが見える。築地場外市場では、頑張ったご褒美にネギトロ・イクラ丼と寒いけどビールを。達成感と共に舌鼓。美味かった!至福の一時だ。

100kmウォーク。並みの距離ではない。その上寝ないで歩くと言うのも辛い。ロングウォークではトレーニングが必須。筆者の場合、今回は1ヶ月半をかけ10kmぐらいからはじめ最後には36kmまで歩いて準備した。1回のトレーニングはとても時間がかかる。会社帰りや週末を利用してトレーニングを心がけた。

それからロングウォークで必要なのは肉刺(マメ)対策。必ずワセリンは足指の間、母趾球(ぼしきゅう)にはしっかり塗ることを薦める。それからスタート前だけでいいが、お尻の割れ目にもワセリンを塗ることを忘れずに。結構擦れて痛い。人によっては内腿が擦れる人もいるのでそこにもワセリンを。疲れた上に痛みに耐えるのはきつい。

さらに筆者の場合は、キネシオテープで脹脛(ふくらはぎ)とハムストリング(大腿二頭筋)をサポートした。これは個人の好みなので、おすすめとまでは言えない。今はコンプレッションタイツでテーピング機能を持つものもあるのでそれでも良いと思う。

東京エクストリームウォーク100、景色が美しいコースでやたら達成感を味わえる競技だ。キツイかもしれないけれど、この達成感を是非味わってほしい。筆者はもう100kmウォークの中毒状態である。

完了


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