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24時間100kmウォーク(6)

江ノ島で海岸線と別れを告げ藤沢の街へ向かう。あたりは日も暮れかかる。今までより周囲は随分参加選手が少なくなる。藤沢駅前を通り藤沢橋へ。そこにはコースを示してくれるボランティアのおじさんがいた。「はーい、お疲れ様。ここで40kmだよー。頑張ってー。」と声をかけてくれた。周囲に参加者が5、6人いたけれどなんだかみんなホッコリしたようだ。さらに「みんな、早いよ。ここにいる人たちは早いほうだよ。」って元気づけてくれる。

藤沢橋を右に曲がると長い上り坂。箱根駅伝でも勝敗を分ける遊行寺の坂だ。ウォーキングではそれほど大変ではないが、走るにはきつそうだ。すっかり暗くなった。坂を登り切ったあたりの赤信号で止まると、やはり5、6人に参加者が小休憩。足を伸ばし疲れを癒している。隣の女性もガードレールに足を乗せ脚裏を伸ばしたり、アキレス腱を伸ばしたりしている。筆者が「この後、屈伸ができなくなりますよ。」と言うと、驚いたように「そうなんですか?!」と。さらに「何回目の参加ですか。」と聞かれるので「3回目です。」と言った。信号が青に変わりウォーキング再開、その方とはそこまでの会話だった。

この第1チェックポイントと第2チェックポイント間は長い。36km歩いた後の20kmだ。さらに日も暮れて夜の道となる。街道筋を歩くため街灯はあるが、昼間ほどの見通しはよくない。前をいく参加者の緑色のルミカライト(コンサートなどで使うペンライト)がボーと見える。この大会は明るい時間より暗い時間を歩くほうが長い。歩いていて時間がわからない。夜7時ごろなのに夜中のようだ。精神的にキツくなる。体力も消耗する。しかし、自分のペースは保つ。自分のステップに合う音楽を頭の中で奏でながら。筆者の場合はパトリシュ・ラッセンの"Forget me not”。これを自分のペースに合わせる。

夜7〜8時ごろになると周りから人が減ってくる。そうすると誰かをペースメーカーとして使い出す参加者がいる。筆者は、主にペースメーカーに使われるほうだ。気分が悪い。ペースを落とせば相手も落とす。ペースを上げれば相手も上げる。本当に嫌だ。歩きづらい。信号が赤で止まった。青に変わる時、シューレースを結び直し、相手を先に行かせた。後ろから見ているとどうもペースメーカーがいなくなり歩きずらそうだ。

そんなこともありいよいよ第2チェックポイントに近づく。ここは横浜市児童遊園地の中だ。この公園は山に中にあり、上り坂の先にある。参加者はみんな文句を言いながら歩いていく。「なんだよこの坂。キッツ!」「まだかな。遠い。」など、特に初めての人は思わず声が漏れる。確かに56km歩いてきたところでこの坂はき大変だ。でも、ここでの食糧は結構充実していた。冷たい飲み物から温かい飲み物、一口羊羹、それにパン。筆者は大きめの二色パンをもらい食べた。ちょっと食べすぎたかも。

自分の予定では第2チェックポイント到着が夜10:15であったが、9:30ごろに到着。45分ほど早い。いいペースだ。ただ、この後はペースも落ちてくると思われる。どこまでそれを抑えられるか。15分ほどの休憩後再出発。次は横浜港に向けての歩く旅になる。

そういえば、この日は総選挙前日。

つづく

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