高齢化社会における、高齢者の働き方とスマートスーツの活用
高齢者雇用とタイトルにありますが、高齢者とはWTOの定義では65歳以上の方を指します。高齢者は一般的に若い人と比べて体力がなく、場合によっては認知機能も低下して、若い人ほど仕事ができないと思われがちですが、今の高齢者は昔の高齢者と比べ、体力も知力も非常に高く、若いということが証明されています。
経験も豊かで人脈もあり、仕事でも一層の活躍が期待されています。
30年ほど前は、定年は55歳でした。日本人の平均寿命が伸び、国民の平均年齢が高くなるに従い、定年は延長され、昨年春の法律改正で定年は65歳になり、70歳までの雇用継続の努力義務が課されました。働く意欲も能力もある高齢者が働く場を積極的に整備しようという流れになっています。年齢に関係なく働く機会が提供される時代では、年齢はただの数字に過ぎません。
とはいえ、誰でも元気な高齢者になれるわけではありません。加齢とともに体力は低下し、転倒や腰痛発症などの労災リスクも高くなります。雇用する側にすれば、若い人を雇用するよりも高い労災リスクを抱えることになります。
最近では、高齢者でも安全に安心して働ける労働環境を整備する補助金も用意されています。
厚労省のエイジフレンドリー補助金がそのひとつです。
エイジフレンドリー補助金は、働く高齢者を対象として職場環境を改善するための次の対策に要した費用を補助対象としています。60歳以上の高年齢労働者を雇用している中小企業に対して、100万円を限度に費用の半額を助成するものです。
身体機能の低下を補う設備・装置の導入
働く高齢者の健康や体力の状況の把握等
高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生教育
その他、働く高齢者のための職場環境の改善対
スマートスーツは、この事業に関連して、厚労省の令和2年度高年齢労働者安全衛生対策実証等事業で「腰部の負担を低減させることで、腰痛による労働 災害を低下させる対策である」と第三者によって認証された対策になっています。(実証番号 2020-02)
労働の持続可能性を高めるためには、補助(アシスト)するだけではなく、適度な運動負荷を身体にかけ続けることで、体力を維持・増進しなければなりません。特に高齢者は、数日休んだだけで体力が大きく低下し、元に戻るまでに時間がかかります。
スマートスーツは作業によって身体にかかる負荷を最大で25%程度減らすことができますが、残りの7割強は自らの体力を必要とします。当然、疲労もするでしょう。
しかし、この疲労感が仕事の達成感とともに、やる気も増して、労働の持続可能性を高めるのです。気力も体力のうちとされています。