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smartroundで限られたリソースを有効活用。地方発×外国人起業のスタートアップが目指す世界(EF Polymer株式会社 吉川弘志さん)

※記載の状況は取材当時(2023年7月4日)のものです。

EF Polymer株式会社について

📌EF Polymerは、「オレンジの皮など、作物の不可食部分」を原料に環境にやさしい超吸水性ポリマー『EFポリマー』を開発・製造。農業における土壌の保水や生理用ナプキン・紙おむつなどの衛生用品などへの活用を通し、水不足を中心とした世界の環境問題の解決を目指しています。
公式ページ: https://ja.efpolymer.com/
smartround会社ページ: https://www.smartround.com/public/startups/efpolymer

吉川弘志さんプロフィール

📌公認会計士として監査法人、財務アドバイザリーを経て、OIST(沖縄科学技術大学院大学 https://www.oist.jp/ja )の職員としてインキュベーションセンター立ち上げなどに従事。2019年から日本にやってきた同社をサポートし、2022年10月にCFOとして入社。以降、管理部門から営業、資金調達の支援など、幅広くビジネスサイドの業務を担当している。

サマリー

・smartroundの活用で株主総会にかかる労力が激減!
・投資家とのコミュニケーションでライブラリを活用
・手持ちのリソースとツールを組み合わせて、無理のない体制づくりを

エコフレンドリーな製品で環境問題にアプローチ


ーー会社のミッションについて教えてください。

弊社は「科学技術の力を使って枯渇し劣化する地球の課題を解決し、生態系の未来を潤す」ということをミッションに掲げております。

実際に何をしているか申し上げますと、オレンジの皮などのオーガニックな原材料を使って吸水性ポリマーを作っています。このポリマーを土壌の中に投入し、植物の根の周辺で保水性を高めることで農業効率を高めるような活用や、従来の石油由来の吸水ポリマーが担っているオムツや生理用品の代替品としての活用を目指しています。従来の吸水ポリマーと異なるのは、100%自然由来のため生分解性を有し、環境にやさしい点です。

創業者はナラヤンというまだ25歳の農業工学のエンジニアで、もともとインドのラジャスタン州という乾燥した地域の出身です。地元の干ばつを解決するために考案したポリマーが起業のきっかけです。

創業者のナラヤン氏

ーーどういった経緯で日本でのビジネスを行うようになったのでしょうか。

創業者が大学1年生の時にインドのピッチイベントなどで評価され、2019年に沖縄科学技術大学院大学(OIST)のアクセラレーターに採択されました。そこで1年ほど研究や立ち上げ準備を行い、2020年3月に日本法人を立ち上げています。

現在は日本法人を本社として、業務委託のメンバー含めて10名程度、インド法人で20名強というチームです。

ーー吉川さんは現在CFOとしてご活躍ですが、業務内容やチーム体制はどのようになっていますか。

財務担当としては私と、管理全般を見ているマネージャーが1名おります。最近は更に1名、パートタイム職員が加わりました。

業務としては、CFOとしての仕事から、投資家とのコミュニケーション、財務から総務まで、色々と見ています。外部企業との提携をはじめとする事業開発領域も、担当しています。

地方発×外国人起業というバックグラウンド

ーー入社のきっかけはなんだったんでしょうか?

背景がちょっと特殊なのですが、私が元々OIST(沖縄科学技術大学院大学)の職員で、インキュベーションセンターの立ち上げをしていたんですね。

最初に創業者2人が日本に来たのが2020年くらいなのですが、その当時から密接に連携しており、資金調達なども全てサポートしていました。

その後、日本法人設立のタイミングで、事業開発担当の1人が、製造拠点立ち上げのためにインドに戻ることになったんです。日本語が話せない代表しか日本にいなかったため、2021年のシードラウンドの資金調達は私が大学側からフルコミットに近い形でハンズオンし、達成しました。

その後、日本国内外で事業が拡大し、シリーズA調達の準備を進める必要が出てきた頃、代表から「正式に入社してくれないか」と話をいただいて。ここまで乗り掛かった舟だと考え、2022年の10月に入社しました。

OIST(沖縄科学技術大学院大学)

ーー国外の方が起業する場合、言語障壁や文化の違いなど、日本人による起業では感じにくい課題もあったのではと考えますが、いかがでしたでしょうか。

課題は多かったです。まず言語面については、創業者たちが話せるのは母国語のヒンディー語と英語で、当時の恩納村で英語ができる人自体もあまり多くなかったため、事業だけでなくコミュニケーションの段階からサポートをしていました。

また、銀行口座の開設、クレジットカードの発行、経営管理ビザの発給や補助金の申請などにも時間がかかりました。特に地方都市においては外国人起業家という前例もなかなかないため、東京等と比べるとハードルは高かったと思います。一方、ダイバーシティに対しては行政側も努力を続けてくれており、最近は色々なところで風向きがいい方向に変わっていっていると感じます。

ーー市場の大きさ、営業のやり方、周囲のリテラシーなど、地方発のスタートアップ特有の課題もあるかと思いますが、この点はいかがでしたでしょうか。

メリットもデメリットも感じました。デメリットでいくと、やはり立地は大きな課題でした。

例えば、VCとのコミュニケーション。沖縄に拠点を持つVCは多くないため、多様な投資家と接点を持とうとすると、イベントへ参加したり、出張をしたりと、東京などに拠点を持つ企業と比べると移動コストが高くなります。オンラインで会議をすることができても、VCとは最終的には顔を合わせて話すことが多いため、出張はやはり必要でした。

また、採用においても立地の課題があります。職種によりますが、例えば、農業系のエンジニアだと、実験などで現地にいなければ進まないことが多く、移住前提で会話を進めないといけません。新たな挑戦とポジティブに感じてくれる人もいますが、家族やキャリアを考えるとハードルが高いと考える人は少なくなく、候補者を集めにくくなるのが難点ですね。

ーーメリットとしてはどのようなものがありますか?

地方発ベンチャーは「遅れてきた長男」だと私はいつも勝手に言っているんですが、数が少ない分、非常に可愛がられます。ちょっと頑張ればすぐ目立つことができるし、色々な人が手厚くサポートしてくれます。東京の数多いスタートアップの中の1社と違って、埋もれにくいと思います。

現在の日本は、スタートアップは都心部一極集中型。一方、米国やインドなどは、州、都市ごとに特有のカルチャーやエコシステムが存在し、それがスタートアップのダイバーシティにも繋がっていると考えています。日本においても、各都市や大学ごとの強みを活かしていける土壌が整っていくと、日本経済に厚みが出るのではないでしょうか。地方での起業には課題もありますが、そういうゴールを目指して、沖縄でも貢献していきたいと思っています。

smartroundの活用で株主総会にかかる労力が激減

ーーsmartround導入のきっかけはなんだったのでしょうか。

株主総会の作業が大変になってきて、効率化ができるツールを探していたんです。元々名前は認識していたのですが、VCから情報共有ツールとしてsmartroundを使って欲しい、と言われたのが利用のきっかけです。使ってみたら、とても便利でした。

条件を選択するだけで招集通知を自動で作成できたり、書面決議にも対応していたり、かゆいところにも手が届く仕様となっていて、加えて株主総会についてのマニュアルもついているので、安心して使えました。

株主総会smartroundが効率化する業務

正確に時間を計ったわけではないですが、smartroundを導入してからは、株主総会実務にかかる労力が半分以下になったような気がします。

投資家からのレスポンスも、メールより格段に早くなりました。

ーー株主総会smartroundとチャットの他に、使っていらっしゃる機能はありますか。

気に入っているものを挙げると2つで、1つ目はライブラリ機能。VCとのデータ共有がとてもスムーズになります。2つ目は、最近リリースされた税制適格SO行使価額算定ツールで、今までであれば専門の会社にお金を払って計算してもらっていたところを無料でできるようになった点が便利です。

スタートアップに役立つ機能を、すごいスピードで次々に実装していく姿勢に、好感を持っています。

ーー実際に使っていて、もっとよくなればと思うところはありますか?

外国人株主対応ですね。現在、英語化されているのは一部なので、完全英語版をリリースしてもらえるとありがたいですまた、弊社の株主には創業者のナラヤンをはじめ、海外の方が複数名いらっしゃるのですが、smartroundで招集通知を送っても、全てのフローが日本語でしか記載されていないため、ご対応いただくことが難しいんですね。現在は個別に案内をする形になっているので、このあたりがもっと便利になればいいと思っています。

シリーズAを迎えた先で。ツールによる効率化でリソースを有効活用

ーーシリーズAを終え、今後数年で取り組んでいきたいことは。

サービスとしてはある程度完成し、普及をさせていく段階にきており、これからは運営の盤石化に取り組んでいくことになります。CFOとしてのメイン業務である資金調達については、シリーズBに向けて引き続き準備を続けていきたいと思います。

管理部門としての業務でいうと、組織が大きくなるに従い、取締役会の運営や内部規定の策定といったルールやフォーマットの整備を進めていくことが足元の課題になっています。

ーーそれらを踏まえ、smartroundに期待することはありますか。

中長期的にはEF Polymerを世界的な成功企業にしていきたいと、メンバー一同、考えています。

そのためには、海外の投資家やクライアントも巻き込みながら拡大していかなければならないので、smartroundにもグローバルを意識した機能をより拡充していってほしいと思います。

ーー最後に、吉川さんからスタートアップの管理部門のみなさまに向けて、メッセージをいただけないでしょうか。

smartroundだけではなく、例えばSmartHRやfreee、マネーフォワードなど、スタートアップの管理部門の効率化に寄与するツールは結構たくさんあります。

ツールに限らず、スタートアップ向けに管理業務をある程度代行してくれる企業もあります。

色々なリソースが世の中には存在してるので、どのリソースをどう使うか、幅広く検討しながら無理のない体制を作るというのがいいのかなと思います。

弊社のケースで言うと、私自身が偶然、会計領域の出身者でありリテラシーもあったため、バックオフィスの設計からオペレーションまで、内製で行うことができました。

一方、極めて少人数で全業務を網羅しなければならない規模の会社や、バックオフィスのリテラシーがあるメンバーがいない会社では、外部の人材やサービスをうまく頼って、無理なく本業に専念できるような体制を作っていくのが大事になってくると思います。

ーースマートラウンドも、引き続き、多方面から吉川さんのお手伝いをしてまいりたいと思います。本日はありがとうございました!

EF Polymer株式会社の会社情報は、下記ページからご覧いただけます!

smartroundはスタートアップのバックオフィス業務・投資家とのやり取りを効率化するサービスとして「株主総会smartround」「ライブラリ機能」などを提供しています。

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