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【イベント】スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウムの開催レポート(3/7)

スマートアイランド推進事務局です。
去る、8月8日(木)に、「スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウム」が開催されました。
シンポジウムでは、離島地域からの事例紹介として、三重県鳥羽市(答志島、神島など)、広島県大崎上島町(大崎上島)、佐賀県唐津市(神集島など)、長崎県五島市(福江島など)の4地域から実践者にご出席いただき、具体的なお話を伺いました。
第1回のレポートでは三重県鳥羽市(答志島、神島など)の事例をご紹介しました。
ここでは、広島県大崎上島町の取組をご紹介します。


「自律航行船の活用による、移動制約のない島暮らしの実現に向けた挑戦」 広島県大崎上島町(大崎上島)

離島という特性上、24時間いつでも本土に渡れないという課題を持つ大崎上島町。島と本土を結ぶフェリーは、早朝・夜間の時間帯は運航がなく、町民はフェリーの時間に合わせた生活を送っている現状があります。フェリーを拡充しようにも、運航事業者にとっては、人材確保の問題や人件費の問題があり困難となっていました。

大崎上島町としては、24時間利用可能な海上交通環境を将来的に見据え、現在は時間の制約で叶わない、本土の総合病院での午前中早い時間の受診や、広島市内での日帰りのナイター観戦やコンサート鑑賞、そして無理のない行程での県外出張など、離島でありながら、フェリーの制約のない生活の実現を目指していました。

大崎上島町企画課 高本氏

そんなとき、株式会社エイトノットとの出会いから、自律航行船の共同実証に取り組むことになります。

大崎上島町と株式会社エイトノットの出会い

株式会社エイトノットは、令和3年度に広島県のスタートアップ支援事業「ひろしまサンドボックス」の最終企業30社に採択されており、「大崎上島町で物流の自律航行の実証を希望しているスタートアップ企業がある」と、広島県から大崎上島町に紹介があったことで繋がりました。

株式会社エイトノット代表取締役 CEO 木村氏

この出会いをきっかけに、令和3年度には大崎上島町の2次離島である生野島への自律航行船による日用品の輸送実験を行いました。令和4年度~5年度もテーマを変えながら、スマートアイランド推進実証調査を活用し、自律航行船の共同実証を行ってきました。
エイトノットは2021年創業。創業直後に、大崎上島町に足を運び、町民の方にどういった点が島での暮らしの困りごとなのか、ヒアリングして回ったそうです。
そのときに、船の制約があってなかなか自由に移動できない状況、将来歳をとったときに、今の暮らしを捨てて本土に移動しなければいけない不安などを伺い、自社の技術で島民の課題・不安を解決できるのではと思い、大崎上島町での実証実験を熱望したそうです。
マッチングの背景には、大崎上島町が抱えていた課題感とともに、エイトノットの熱い想いがあったようです。

自律航行プラットフォーム「AI CAPTAIN」

エイトノットのシステムは、小型船舶向け自律航行プラットフォーム「AI CAPTAIN」というもので、既存の船に後から取り付けることができ、使い方も非常に簡単で、カーナビを使うような感覚で目的地を指定すれば、後は船舶自体が自動で目的地まで航行していくというもの。移動中、他の船や障害物を検出して、それらを避けて目的地まで進んでいくということも既に実現できているそうです。
20トン未満の小型船舶であれば、どんな形の船にでも搭載可能。また、遠隔モニタリングの仕組みも導入しており、遠隔地からの監視を通じて安全性の強化も図っています。

AI CAPTAIN搭載の船舶

将来的に、規制緩和が進めば、今船に乗られている船長さんが、陸に上がって陸の船長として一人で複数の船を監視していただくという、新しい職業を誕生させることができるかもしれません。

遠隔監視の様子

自律航行船の採算性を追求していくために

2次離島の生野島では、スーパーマーケットや商店がないため、そういった方向けに日用品を購入して輸送することができるのではというコンセプトで実証を行いました。
実際に島に物を運び込むだけではなく、島のごみを島外に搬出することにも使えるということが、実証をやってみての気付きとしてありました。

荷物を船に積み込む様子

今後は、物と人、それぞれで運んできたものを、組み合わせて(貨客混載)いくことで事業化ができるのではないかと考えています。
当然、離島に関しては人口減少が進んでいて、事業の採算性という面で見た場合は、単一の事業だけだとなかなか黒字化が難しい側面があり、それを解消するために、貨客混載の可能性を検討し、そして将来的には、一つの航路ではなく、エリアをカバーして、便利に使える海上タクシーのような世界を実現していくことが、離島の海上移動・海上輸送の新しい形になっていくのではと考えています。

スマートアイランド推進事務局
 
 

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