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【イベント】スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウムの開催レポート(5/7)

スマートアイランド推進事務局です。
去る、8月8日(木)に、「スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウム」が開催されました。
シンポジウムでは、離島地域からの事例紹介として、三重県鳥羽市(答志島、神島など)、広島県大崎上島町(大崎上島)、佐賀県唐津市(神集島など)、長崎県五島市(福江島など)の4地域から実践者にご出席いただき、具体的なお話を伺いました。

第1回のレポートでは三重県鳥羽市(答志島、神島など)、第2回のレポートでは広島県大崎上島町(大崎上島)、第3回のレポートでは佐賀県唐津市(神集島など)の事例をご紹介しました。
ここでは、長崎県五島市(福江島など)の取組をご紹介します。


「ドローンの広域化、多用途化による2次離島を含めた輸送網の構築」
長崎県五島市(福江島など)

五島市は、大小152の島々からなる五島列島の南西部にあって、総面積は420k㎡程、10の有人離島と53の無人島で構成されています。

他の離島と同様に、島の生産年齢人口、高齢化率は、全国と比べ深刻になっています。これに伴い、医療体制の脆弱化や様々な分野での人的リソース不足などの課題が表出しており、そらいいな株式会社のドローンによる物流は、その1つの解決策として取り組んでいます。
すでにドローンによる医薬品配送は実現しており、現在は、令和5年度から離島活性化交付金を活用して2次離島等への食品・日用品の配送について、取り組んでいるところです。

固定翼タイプのドローンによる取組

そらいいな株式会社は、長崎県五島市に拠点を置き、固定翼タイプと呼ばれる小型の飛行機のような機体を使って物流事業を展開しています。飛行速度は時速100km。上空からパラシュート付きの荷物を投下するという形での配送になり、一機につき1.75kgの重量を運べます。荷物の中身だけですと1.5kgほどまで運ぶことができます。合計11機の機体があり、荷物が医薬品や食品・日用品のように分割できるものであれば、複数機を同時に連続で飛行するという形で対応することも可能です。
固定翼タイプの特徴として、航続距離が長いという特徴があり、拠点を中心に半径80kmという広さで配送が実現できます。そのため、隣接する新上五島町にも配送を行っており、さらに北にある小値賀町や佐世保市の宇久島にも届けることが可能と考えております。
そして、上空から投下する荷物の精度は半径10mです。機体の風速センサーに基づいて、上空での風の向きや強さに応じて荷物を投下しますが、そのタイミングを変えることで、さまざまな気象条件においてもこの精度での配送ができるそうです。

固定翼タイプのドローンの離陸の様子

医薬品配送からはじまり、2次離島の日用品・食品配送、さらに観光客向けサービスへ

そらいいな株式会社のドローンを活用した事業は大きく3つ。
1つ目が、既に実装している医薬品の配送。
2つ目が、今回ご紹介する日用品・食品の配送です。
3つ目は、このドローンを活用した、それら以外の実証事業への参画です。
ドローンによる日用品・食品配送事業は、2022年の9月から実証という形で、地元スーパーとの連携により開始をしているそうです。
概要としては2次離島にお住いの住民の方からスーパーにご注文いただいたものを、我々の拠点に持ってきていただき、住民の方の最寄りの投下場所まで飛行の上、配送するといった形です。
2022年は技術実証を行った上で、2023年4月からは、有償での社会実装を開始しています。

荷物投下の様子

五島市は、中心の福江島周辺に人口規模が10人から300人程度の2次離島が5島あり、こうしたところでは島内に商店もない島もあるため、週に1~2度、福江島に足を運んで、まとめ買いをしている状況でした。この2次離島は高齢化率も高く、買い物行動にも不安が付きまとうことから、こうした2次離島からサービスを開始しました。その後、順次エリアを広げながら事業展開を行っています。
2023年の10月からは特定のスーパーによらない配送事業ということで、買い物代行の事業を開始しています。この事業は、どのお店で何を買ってきてほしいか注文いただければ、スタッフがお店で買い回りを行い、ドローンでお届けするサービスです。
島から移動することなく、当日中の買い物が可能であるということで好評のようです。
今年の4月から始めた新たな取り組みでは、そらDELI事業ということで、これまでは主に2次離島の皆様、遠隔地の皆様への日常品・食品の配送でしたが、今回は、島に観光に来ている方も対象に、複数の飲食店と連携しお弁当やお総菜を配送しています。
トータルの配送実績は、医療用医薬品の方は事業開始以降、現在に至るまで、延べ1,251品目2,113点。その中には劇薬と呼ばれる抗癌剤やコロナの治療薬も配送しています。
日用品・食品は、こちらはスーパーの買い物、買い物代行サービスで34件、148点(2024年7月31日現在。2024年度実績)となっています。
飛行回数は、累積で事業開始以降2,000回超、165,000キロの距離を、目視外飛行レベル3で安定的に運航してきています。
今後の課題と取り組みに関しては、支払い・注文方法の簡便化ということがまず1つ。
そして大きな取り組みとしては、さらなる利便性を求めるため、国土交通省と随時協議をしていますが、レベル4と呼ばれるオペレーターの目視外でも有人地域の上空を飛ばす飛行形態の早期の実現を検討しています。
併せて、今年度の特区実証をもとに、さらなる規制緩和に繋げていく一助とできればと考えています。

スマートアイランド推進事務局
 

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