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【脱炭素経営の前線から 3】「中小事業者の脱炭素化が、 急速化した理由とは」 エコスタイル 社長 木下公貴氏

「CO2削減は大企業の課題で、うちはまだまだ先の話」。そう思っている方に、ぜひ読んでいただきたい今回のレポート。日本企業の脱炭素経営に役立つ情報をお届けする「脱炭素経営の前線から」第3回は、企業向け再生可能エネルギー調達支援を行うエコスタイル 社長の木下公貴氏が登場。脱炭素経営が日本の中小事業者の存続を左右すると言われる現状についてお聞きしました。

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●プロフィール 株式会社エコスタイル 代表取締役社長 執行役員の木下公貴さんは「子供たちの未来にエコ電力」という使命のもと、脱炭素経営(CO2削減)を目指す企業様向けに再生可能エネルギー電力調達手段を提案、コーポレートPPAの普及に取り組んでおられます。                      


■カーボンニュートラル宣言後に、起こったことは


―エコスタイルは、小売電気事業者をメイン顧客とした再生可能エネルギー調達支援を行っています。政府のカーボンニュートラル宣言後に御社では何か変化はありましたか。

木下:はい。カーボンニュートラル宣言は2020年10月26日でしたが、その日を境として、各企業様がいっせいに動き始めました。当社のメインのお客様の中でも、大手の小売電気事業者様やRE100宣言などをされている環境経営企業様はいち早く太陽光発電による再生可能エネルギー調達の検討に入られたという状況です。
当社には、電力需要家の建物の屋根に発電事業者が太陽光発電施設を設置し、そこから電気を供給する「オンサイトPPA」というスキームがございますが、こちらに関してもこれまで長く「検討中」とされていた電力需要家様が、皆さんいっせいに行動に移されたという変化がありました。


―いっせいに動きだした企業がある一方、どうしたらいいのか分からないという方もまだ多いのではないでしょうか。

木下:そうですね、社内上層部の指示で情報収集をはじめた段階のところも多いですね。今はまだ、国の政策もすべてが出尽くされたわけでなく、全容を見てから動こうと待っている会社もあります。
一例をあげると、大口の需要家が市場から直接、安く非化石証書を調達することが可能になる「再エネ価値取引市場」の創設が検討されています。2021年後半から実施される予定です。今まで小売電気事業者しか参加できなかった「非化石価値取引市場」に新たに大口需要家が参加できるように変わります。
また、需要家が再生可能エネルギー発電事業者から直接再エネを調達できる「コーポレートPPA」と言うスキームの解禁も予定されており、脱炭素経営の強力なソリューションとして注目されています。


■いよいよ2021年9月から、本格的な動きが

木下:再エネ調達の具体的な施策発表の後、2021年9月から本格的に需要家の動きが活発化されると予想します。そしてまさにこのタイミングで、御社の「脱炭素経営EXPO」と「脱炭素経営セミナー」が開催されるわけですから、私としても非常に注目をしております。

―ありがとうございます。「脱炭素経営EXPO」で御社が展示予定のソリューションは、「コーポレートPPA」がメインとなると聞いております。

木下:はい、一部はオンサイトの太陽光発電もありますが、「オンサイトPPA」と「コーポレートPPA」がメインです。海外では「コーポレートPPA」は既に普及していて、アメリカではRE100宣言を行った会社が「コーポレートPPA」で再エネを調達している現状があります。日本もこれに追随する流れがつくられることは、エネ庁の動きから見ても確かでしょう。
日本が今後必要とする再エネ電力は、既存の再エネ発電所から買い取るだけでは到底追いつかない状況です。そのため政府は昨年12月にグリーン成長戦略を打ち出しました。これは「脱炭素への投資を促し、経済成長をつくる」というものです。民間企業が持つ240兆円の預貯金を環境投資に使ってもらうことを狙っていますから、そのためにグリーン投資減税措置が盛り込まれていますが、まだ施策が出尽くしていない状態であります。減税措置を好機ととらえていただきたいですね。

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■サプライチェーン淘汰の時代に伝えたいこと


―木下社長には、「脱炭素経営セミナー」にも登壇いただきます。今回はどのような内容になりますか。

木下:真剣に環境経営を推進されている事業者様でありながら、まだ行動しきれていない状況にある皆様に向けて、脱炭素経営のツールである「コーポレートPPA」を発信したいと考えています。そして脱炭素経営は、想定よりずっと広い範囲の事業者に関係することだとお伝えしたい。
環境先進地域であるEUへ製品を輸出し続けるためには、脱炭素経営に取り組まなければEUへ輸出できなくなります。これは一例となりますが、日本を代表する自動車メーカーであれば400社近い一次取引先があり、末端までつらなるサプライチェーン全体で約3万社あると言われています。その3万社がすべて脱炭素経営に向けて行動する必要にせまられているのです。EUでは環境規制のゆるい国からの輸入品を対象とした「国境炭素税」の導入が予定されています。アメリカでも同様の税の議論が始まりました。環境対策をしていない炭素まみれの製品に対し関税をとられるわけで、価格競争力がなくなり炭素まみれの製品は売れなくなる。
今後は、サプライチェーンを構成する個々企業において、脱炭素化ができているかを厳しく問われることになりますから、脱炭素に向けた行動ができていないと判断されると、当然淘汰されます。脱炭素化は日本の中小事業者の存続を左右する大問題であるわけです。


―サプライチェーンが淘汰されるとは厳しいですね。その他にはありますか。

木下:再エネには「追加性」のあるものとないものがあり、「追加性がある」ことが脱炭素経営において非常に重要であることもお伝えしたい。「追加性がある」とは、その再エネを購入することで新しく再エネ発電設備の導入が期待できることを意味しています。脱炭素のためのツールを選ぶ際には「追加性のありなし」をしっかりと見極めることです。炭素を大量に排出する鉄鋼やエネルギー系企業には、国が用意した安い非化石証書を調達することが可能であったりもするでしょう。しかしそれは一部の大企業向けの話であって、それ以外の事業者は自ら努力して脱炭素の行動をしていかねばなりません。そのときに「追加性のありなし」を意識していただくことの大切さとメリットを説明させていただきます。


―脱炭素に取り組まないといけない現実を前に、ハードルの高さに悩む方も多いように感じます。

木下:おっしゃる通りです。大企業のサプライチェーンの一員として自分たちは何をどうすればよいかと、悩まれている方は少なくありません。むしろそちらが大多数かもしれませんね。その方たちに経済性もあってなおかつ意義のある脱炭素への行動をしていただける「コーポレートPPA」スキームの提案をしていきたいです。

―ピンチはチャンスと言いますけれど、いち早く脱炭素化を達成できれば新しいビジネスチャンスも広がりますよね。

木下:そういうことです。品質や価格に縛られずに、脱炭素化により差別化ができます。選ばれる存在になれるのです。


―最後に、「脱炭素経営EXPO」への来場を考えている方へのメッセージをお願いします。

木下:地球温暖化というマクロな話ではなく、今、あなたの会社が存続していくために脱炭素経営が必要であり、今すぐ行動が必要なのだと意識していただきたい。そのための経済性あるツールを私たちはご用意いたしておりますので、ぜひ当社ブースへお立ち寄りください。

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■エコスタイル様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。

https://www.eco-st.co.jp/


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