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【脱炭素経営の前線から 1】日揮HD谷川圭史氏に聞く 「国内製造業の脱炭素化サポート戦略」

日本企業の脱炭素化に向けた動きが急速です。政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、さまざまな業界から脱炭素経営の最善手につながる有益な情報を求める声は、2021年9月開催「脱炭素経営EXPO」事務局にも届いております。
そこで当事務局では「脱炭素経営EXPO」出展企業やセミナー講師の皆様にご協力いただき、日本企業の脱炭素化に向けた状況をお届けする連載インタビュー【脱炭素経営の前線から】をスタートいたします。

注目の第1回は、世界トップクラスのエンジニアリング企業グループの持株会社である「日揮ホールディングス」理事・サステナビリティ協創部部長代行の谷川圭史氏が登場。脱炭素経営に悩む企業へのサポートを実現する新事業についてお話いただきます。

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●プロフィール 日揮ホールディングス サステナビリティ協創部の谷川圭史さんは、DeCaaS(デカース)事業の責任者。製造業様の脱炭素化に向けて、日揮グループのエンジニアが製造業様に寄り添い、一つ一つのプロジェクトの完遂に貢献し、「私が地球を守った」達成感を感じる、そんな事業を目指されています。

■新事業部による国内製造業の脱炭素化サポート

―谷川さんが事業を統括されているサステナビリティ協創部は、2019年10月に設立。この部の立ち上げは、日揮グループ内でも大きな組織変化であったとのことですが。

谷川:この事業部は、日揮グループの長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の策定に先駆けて、人と地球の健康を追求し豊かな未来を創るという当社のパーパス“Enhancing planetary health”を実現する部門として創設されました。
低炭素・脱炭素化に向けた時代の変革スピードが加速するなか、国内の製造業様が低炭素・脱炭素化に向けた取り組みを進められる際に、さまざまなソリューションをご提案、ご支援できる部署であることを目指しています。最初は2名でスタートしましたが、1年後には技術開発チームやDX(デジタルトランスフォーメーション)チームを追加する大型補強を行い、現在では約70名の事業部となっています。


―今回、サステナビリティ協創部が「脱炭素経営EXPO」出展を決めた狙いは。

谷川:これまで当社グループは、総合エンジニアリング企業としてエネルギー業界や製薬、食品などの製造業のお客様との事業展開を行ってきました。脱炭素化が世界のビジネスの命題となり、日本でも脱炭素化経営への知見や技術を求めている企業の数は急速に増えています。このような状況のなか、文字通り脱炭素化の経営部分に焦点をあてた「脱炭素経営EXPO」がついに開催されるということで、これまでお会いしたことのない企業様に、当社ブースに足を運んでいただける大きなチャンスと捉えています。
こうした企業と実際に対面することで、世の中の製造業の皆様が抱える課題解決に貢献したいという我々の熱意や、サステナビリティ協創部が新しい取り組みを行っている背景など、資料やWEBサイトだけでは分からない部分までお伝えできるのではと期待しています。

■目的・状況にあわせてサービスや事業を用意

―今回、出展される商品について教えてください。

谷川:いくつかのサービス紹介を行いますが、その中で大きいところと、我々の方で力をいれたいところの2つをお話いたします。
まずは、脱炭素化経営支援サービスであるDeCaaS(デカース)事業を皆様にご紹介したいと考えています。主に「熱」「電力」「サプライチェーン」といった3つの領域でお客様の脱炭素化を実現できるサービスや事業をご用意しております。
もう一つは、新しい生産設備や工場の建設をお考えのお客様で、どのように脱炭素化に対応すべきか悩まれるケースに対して、事業計画段階から設計・調達・建設まですべてでお手伝いしたいと考えています。設計から、機材の調達、現場での建設までの一連の流れの中で脱炭素化を実現した工場新設が可能になるわけです。これは、創業以来90年以上にわたり世界のオイル&ガス業界の低・脱炭素化に貢献しプラント建設を進めてきた、我々日揮グループだからこそ実現できることではないでしょうか。

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―なるほど。その中で特に来場者の方に見ていただきたいポイントは。

谷川:脱炭素化の確実な実現のためには、必要なアクションとリスクのマネジメントが大変重要です。数多くのアクションはそれぞれが複雑に絡み合い、納期・予算管理が難しいプロジェクト型業務であり、管理が煩雑になる場合もあるかもしれません。プロジェクトの成功には、実際の導入までの過程で起こり得る課題を網羅的に予測する力、予期せぬことへ冷静に対応する力、そしてどんな状況でも実行できることを1つ1つ実施し、推進する力が必要です。DeCaaS事業や、低炭素型工場の建設に際しては、プロジェクト遂行上のリスク管理も取り込んだプロジェクト運営をご提供させていただきます。

日揮ホールディングスではグループ会社を含め、数多くのエンジニアが揃っています。さまざまな技術の専門分野がありますが、我々は大学の工学部のあらゆる学科を網羅する形で各分野のエンジニアを採用し、技術を磨いてきました。そしてグローバルマーケットを相手に、生産設備をいかに安く早く作るか、高度・最新技術をどのように導入するかという課題にお応えしています。自社工場のことを最もご存じである製造業のご担当者様と、膝詰めで、高いレベルの議論ができると自負しています。

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さらに、脱炭素化に関する世の中の流れや制度の変更への正しい認識が肝心と考えます。当社グループには国内外で展開している事業を通じて多くの情報が集まってきます。海外にはこのような低炭素燃料の開発・事業計画があって、何年後には入手できるだろうといった独自の情報も加味して、お客様の脱炭素化計画をサポートいたします。お客様に必要な情報をワンストップで収集し、我々のサービスの実現性・優位性をご判断いただける点も、お客様には喜んでいただけるのではないかと思います。

―課題を抱えたお客様が日揮グループに相談すれば、プロフェッショナルのエンジニアによる技術と最前線の情報網の両輪で支援してもらえるのですね。

谷川:はい。これは実際にお客様からいただいた言葉なのですが、「世の中の技術とお客様の会社のよいところをつなぎ合わせて、システムとして構築する」といったことが可能な人材が揃っています。複雑なエネルギー系プラントの新設では、課題解決に必要な解を持った様々な企業様を巻きこみ、欲しい技術を「費用の抑制」「スピードを重視」「特別な使用環境への対応」など、目的別の目利きの後に、システムとして統合した形でお客様にご提案いたします。脱炭素化において、既存のテクノロジーだけで対応できるということはないでしょう。技術の変革と世の中の変化に常に目を配り、自分達で責任をもってシステム化していくという姿勢こそが、我々の特長でありお客様に信頼いただけるポイントであると思います。

■期待する来場者像は

―「脱炭素経営EXPO」で、特に来てほしい来場者像はありますか。

谷川:いいえ、どなたにも広く来ていただきたいです。そして、ぜひ我々日揮グループを知っていただきたいと願っています。
その中でも脱炭素経営に関して当社がすぐに貢献できる確率の高い職種をあえてあげるならば、低炭素化・脱炭素化に向けた計画に携わるサステナブル関係の部署や経営企画部の担当者様や役員の方々などでしょうか。生産設備の更新計画をされている皆様とも、ピンポイントのお話ができると思います。
また、グローバル企業と取引されている国内製造業様の中には、世界的なSDGs推進の流れを受けて、サプライチェーンの一員として「早急に脱炭素化を達成せよ」との強い要請を受けたケースもあるとお聞きしております。国際基準レベルの脱炭素化に日本の製造業が対応するための「コスト」や「手間」で悩まれている担当者様がいらしたら、ぜひ一度ブースにお越しください。これとは反対に、自社製品のサプライチェーンの脱炭素化の面倒を見ておられる調達部などの担当者様とも、お話をさせていただきたいと思っております。

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■日揮の皆様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。


<お知らせ>
第1回 脱炭素経営EXPO 秋 2021年9月29日(水)~10月1日(金)
会場:東京ビックサイト 日本初開催となります。ぜひご注目を!

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